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センバツ帰りの早稲田実業、日大三を追う各校の強豪たち【東京都展望】

2017.03.30

【春季東京都大会組み合わせ表】

 4月1日から春季都大会の本大会が始まる。本大会の出場チーム数は、昨年より16増えて112チーム。1回戦は全て、1次予選を勝ち抜いたチームと、本大会から出場するチームの対戦になった。本大会から出場するチームは、今年初の公式戦になる。1次予選で公式戦を経験したチームとの対戦では、思わぬ波乱が起きる可能性もある。また、昨年までトーナメント表の四隅に配された第1~3シードの4チームは、3回戦からの登場であったが、今年は2回戦からの登場になる。したがって、夏のシード校になるベスト16(4回戦)に進むには2回勝たなければならない。これも波乱の要素である。

 この大会の決勝戦に進んだ2チームは関東大会(5月20日~、茨城県)に出場する。怪物・清宮幸太郎早稲田実関連記事)は、まだ関東大会に出場していない。3年生にして初の関東大会出場なるかも注目される。今回はトーナメント表をABCDと4分割して、注目のカードや、大会の行方を展望する。

早実に挑む岩倉、創価、八王子

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早乙女 大輝(八王子)

 まずAのブロックは、清宮擁する秋優勝の早稲田実が抜き出ているが、創価八王子も手ごわい。早稲田実にとっては、夏のシード校をかけて3回戦で当たる可能性が高い岩倉との一戦は最初のヤマになる。岩倉は、1回戦国士舘に2対3で9回サヨナラ負けを喫しているが、昨夏を経験した三田 知樹投手を中心に、チーム力は高い。

 昨夏の西東京大会、4強のメンバーがほとんど残る創価は、日大三と延長13回に及ぶ熱戦を繰り広げた。しかし今大会では、初戦(2回戦)は大角健人ら強打者がいる成立学園、3回戦は、日大三を苦しめた好投手・吉田永遠のいる駒澤大高と当たる可能性があり、楽な戦いはできない。

 昨夏の西東京代表の八王子は、早乙女大輝米原大地の両投手が残ったが、初戦で昨夏の東東京大会準優勝東亜学園と当たる見込み。東亜学園にも福田拓海藤下凌也ら昨夏を経験した投手が残っており、接戦が予想される。順当に勝ち上がれば4回戦で昨夏の準決勝と同カードの八王子創価になり、勝者が早稲田実に挑むことになる。

前年度優勝の関東一に、秋4強の国士舘

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高橋 晴(関東一)

 Bブロックは、関東一国士舘東海大高輪台が3強か。昨年の春の都大会夏の東東京大会を制した関東一高橋晴石橋康太の大型バッテリーを擁し、実力は早稲田実日大三に引けを取らない。国士舘永田 昌弘氏が監督に復帰し、走塁などに磨きがかかり、秋は4強に進んだ。初戦は都立豊多摩明大明治の勝者との対戦になる。豊多摩は、都立日野に敗れたが2対3と善戦。平岩 了監督の下、力を付けている。明大明治には好投手・柳澤 憲人がいる。どちらと対戦するにしても、面白い試合になりそうだ。

 東海大高輪台のエース・宮路 悠良の球威は都内屈指。伊東翼をはじめとする打線に破壊力もある。また、昨夏8強の国学院久我山、都立江戸川の戦いぶりも注目される。

[page_break:投打に充実の帝京に、投の城西大城西、打の都立日野]

投打に充実の帝京に、投の城西大城西、打の都立日野

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松澤 海渡(帝京)

 Cブロックは、秋4強の都立日野に、帝京城西大城西などが絡み混戦模様。都立日野は身長158センチの小林龍太を、秋は八王子投手陣に打ち勝った強力打線が支える。中学生時代U15日本代表だった松澤海渡投手が成長した帝京は、投打ともに高い戦力を有する。好投手のいる立教池袋明星、機動力野球の日体大荏原のいずれかが3回戦で対戦することになっており、どこまで食い下がれるか。

 プロも注目する好投手・後藤茂基擁する城西大城西は初戦、明大中野八王子聖パウロ学園の勝者との対戦になり、好ゲームが期待される。特に明大中野八王子には、小林知樹、打でも中心の後山宗一郎という2人の好投手がいる。昨夏、初めてシード校になった東京日本ウェルネスは、複数の好投手がそのまま残り、佼成学園は攻撃力が高い。東京実は身体能力の高い選手が多く、旋風を起こす可能性もある。

日大三を中心に群雄割拠

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金成 麗生(日大三)

 2回戦帝京に敗れ、今大会はノーシードになった二松学舎大付がどのブロックに入るかが、組み合わせ抽選会の焦点になっていたが、Dブロックに入り、初戦に勝てば、2回戦は早大学院との対戦になる。3年前の秋のこのカードでは、延長15回の熱戦になった。今回も二松学舎大付には永井敦士関連記事早大学院には浦野聖弥など注目の選手がおり、2回戦で最も注目されるカードだ。

 Dブロックでは当然日大三がターゲットになる。センバツでは初戦履正社に敗れたものの、力は全国区。投打の中心・櫻井周斗関連記事、怪力・金成麗生など役者がそろっている。初戦は目黒学院都立葛飾野の勝者との対戦になる。代表決定戦都立葛飾野は、茨木亮丸が8回を奪三振15、ブライト健太が2打席連続本塁打を記録している。

 夏のシードがかかる3回戦は、名門・修徳都立文京か。文京の佐山 智務は、球の切れがいい。4回戦は、東海大菅生が有力だが、都立小山台も侮れない。両校とも、力のある投手が複数おり、連戦にも対応できる。
2回戦で対戦が予想される都立城東日大豊山も好カード。日大三、二松学舎大付、東海大菅生などビッグネームに気を取られていると、思わぬ伏兵が登場するかもしれない。

 秋優勝の早稲田実と準優勝の日大三が一歩リードしていることは間違いないが、関東一帝京、二松学舎大付など、東東京勢も巻き返してくるだろう。ひと冬越して、どこまで成長したか、新たな注目選手は登場するか、なども見どころだ。大会は、1回戦は3日間行われるものの、あとは4回戦まで1日おきに試合が続く(雨天などで変更の可能性あり)。チームとしての体力、勢いが問われる大会になりそうだ。

(文・大島 裕史

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2017年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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