甲子園で一躍ドラフト候補に?!浜屋、松山、平林・・・まだまだいるぞ!甲子園注目投手!
「甲子園の注目投手第1回」ではプロ注目投手を紹介したが、今回は前評判は高くなくても甲子園で注目を集めそうな好投手、そして甲子園の登板次第では、ドラフト候補に浮上しそうな投手をピックアップした。
鹿児島実打線を抑えた畠中、浜屋の左腕コンビなど実戦派左腕が集う
浜屋 将太(樟南)
まず今大会の特徴として、140キロ台の速球を投げられ、さらに切れのある変化球も投げられる実戦派左腕が多いことが挙げられる。その特徴に当てはまる投手を紹介していきたい。
三季連続の甲子園出場を狙う鹿児島実業と死闘を演じ、見事に甲子園出場を決めた樟南は、左腕のダブルエースに注目だ。背番号1の浜屋将太は、44.2回を投げて、64奪三振を奪った鹿児島のドクターK。肩ひじが柔らかく、コンパクトなテイクバックながら、しっかりと胸を張って投げられる連動性のあるフォームから繰り出す直球は140キロを超え、さらに落差抜群の縦スライダーで三振を量産。
背番号10の畠中優大は、178センチ73キロと均整がとれた体格から、140キロ近い速球とキレのあるスライダーを投げ込む。踏み出しからフィニッシュまでの動作が実に滑らかな投手で、まさに将来大化けが期待できる投手だ。今年はこの2枚看板で上位を狙う。そして今秋のドラフト候補となりうる投球を見せられるか。また甲子園の投球次第でドラフト候補に浮上する可能性を持っているのは、5年連続11回目の出場を決めた鳴門のエースの河野竜生だろう。最速145キロのストレート、多彩な変化球を織り交ぜる実戦派左腕だ。まだ全国的に話題になっていないが、甲子園ではその名を轟かせることができるか。
3年ぶり出場を決めた神奈川横浜。エース・藤平尚真(関連記事)が注目されるが、ダブルエースとして活躍する石川達也の投球も面白い。最速142キロのストレートでガンガン押す投球に、スライダー、チェンジアップ、カーブを上手く使えると大きい。また打撃センスもある石川は、春の県大会でも豪快な本塁打を打っている。さらに強肩が光る外野守備も魅力で、まさに野球センスの塊だ。
また東邦の藤嶋健人(関連記事)とともにダブルエースで活躍した松山 仁彦(関連記事)は、140キロ超のストレート、キレ味抜群のスライダーがウリの好左腕。大会では16.1回を投げて24奪三振とイニングを上回る三振がとれる。そして打っても長打力のある選手だ。
高川学園の左腕・山野太一は、最速145キロを誇る。山口大会決勝では、常時130キロ中盤~130キロ後半のストレートを両サイドに投げ分け、キレのあるスライダーのコンビネーションで勝負。そのストレートは非常に回転が良く、さらに成長を予感させる投手だった。
高松商を破る原動力となった尽誠学園のエース左腕・渡邊 悠は、130キロ後半のストレートを徹底的に右打者の内角へ突く強気の投球が持ち味。さらにスライダーを低めに集めることができて、フォームの土台も良く、将来大化けを期待したい大型左腕だ。また二季連続出場を決めた秀岳館のエース・有村大誠も独特のテイクバックから繰り出す140キロ前半の速球、キレのあるスライダー、チェンジアップで勝負する投手。甲子園では春よりパワーアップした姿を見せられるか。
激戦区を勝ち抜いた市立尼崎の平林、前橋育英の佐藤の投球術に注目
平林 弘人(市立尼崎)
激戦区を勝ち抜いた市立尼崎の平林弘人は、140キロ近い速球とカーブ、チェンジアップ、スライダーを上手く出し入れしながら勝負する好投手だ。春季大会までは、ボールに力はあるけれど制球力に課題を持っている投手だった。それが夏になると制球力が大きく向上。しっかりと課題に向き合って取り組めば、これほどの投球ができることを教えてくれた投手だ。ぜひ甲子園でも勝つピッチングを披露していただきたい。
また強豪が揃う群馬大会を制し、3年ぶりの甲子園出場を決めた前橋育英のエース・佐藤優人は、全6試合に登板して、粘り強い投球で甲子園に導いた。140キロ近い速球と90キロ台のカーブ、50キロ差の緩急をつけて打ち取る投球に注目だ。そして3年ぶり2回目の出場を決めた富山第一のエース・中津原元輝は、最速144キロのストレートを武器にする好右腕だ。
全国最多となる37回目の出場を決めた北海のエース・北海大西健斗。140キロを超える速球とキレのあるスライダーを投げ分け、51回を投げて、10失点の好投で2年連続の出場へ導いた。大西は昨夏の甲子園で登板したが、打者1人も打ち取ることができず、降板をしている。悔しさしか残らなかった昨夏の甲子園。それからは故障もあり、登板できない日々が続いたが見事に復活。ぜひこの夏は投打で大暴れしてほしい。
北北海道代表のクラーク国際の投打の大黒柱・平澤津 虎揮(とらき)。右サイドから、130キロ後半の速球、曲りが鋭いスライダーを武器にする。右打者のインコースへ厳しくつくためか、プレートの一塁側を踏んで投げる投手で、インコースへのストレート、また強烈なインステップをして投げ込むので、決め球のスライダーは右打者からすれば背中越しから来る感覚なのでかなり厄介な投手だろう。
選抜優勝の智辯学園は春夏連覇を目指して戦う。エースの村上頌樹は、130キロ中盤の速球と多彩な変化球を投げ分け勝負する好右腕。完成された投球フォーム、内外角だけではなく、高めのつり球を使うなど、まさに投手のお手本というべき投手。奈良大会では苦しい場面もあったが、自慢の粘り強さで切り抜けたマウンド捌きは甲子園でも発揮されそうだ。
2年ぶりの出場を決めた市立和歌山は、エースの赤羽陸に注目だ。コンパクトなテイクバックから打者寄りで離すことができる実戦的なフォームから繰り出す140キロ前後の直球には切れがあり、同じ腕の振りで投げるスライダーも厄介。プロから注目される赤羽。この大会で評価を高めることができるか。
2年生では、中学時代から大器として騒がれた140キロ右腕・栗尾勇摩(山梨学院)が初登場。そして富山大会決勝で完封勝利の140キロ右腕・森圭名(富山第一)、好調時は140キロ台の速球を投げ込む清水力斗(星稜)、最速144キロ右腕・渡辺 啓五(いなべ総合)も夏で登板があるか、注目をしていきたい。秀岳館では、ともに140キロを超え、キレのあるスライダーを投げる田浦文丸、川端健斗の両左腕も注目投手になりそうだ。
聖地となる[stadium]甲子園[/stadium]。こういうひのき舞台だからこそ、想像以上の力が発揮される。名前を挙げた投手は、前評判以上の投球を見せられるか。また新たなスター候補が出てくるのか、大いに注目していきたい。
(文・河嶋宗一)
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