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東北、東陵、仙台育英が今年の中心!3強に続く実力校の存在は?【宮城抽選会後 展望】

2016.07.05

 仙台育英甲子園で準優勝をしてから1年。再び、頂点を目指す戦いが始まる。23日、宮城大会の組み合わせ抽選会が行われ、それぞれ対戦相手が決定した。

■組み合わせ表もあわせてチェック!

【第98回宮城大会組み合わせ表】

強力打線・東陵は、1988年以来の甲子園出場を目指す

小畑 拓斗(東陵)

 今春の東北大会では、東陵東北仙台育英の3校が上位を独占。決勝戦は東陵東北と、県大会と同じ顔合わせとなった。夏の戦いも熾烈を極めそうだ。

 さて、この春、9年ぶりに優勝した東陵。制球力が高いエース・八鍬 晃貴はこの春の公式戦全12試合中、11試合に先発している。地区予選準決勝から県大会を挟み、東北大会初戦まで7試合連続完投と鉄腕ぶりを発揮。攻撃も3番・小畑 拓斗、4番・菅原 幸治を中心とした打線が機能し、エースを強力援護でき、投打にバランスが取れている。近年では2014年センバツ大会に出場しているが、夏は88年の1度きり。春の県大会を制し、東北大会も準優勝と、28年ぶりの夏の甲子園出場に助走はつけた。初戦の相手は、開幕戦の迫桜古川黎明の勝者だ。

 この東陵のブロックでは、本吉響・気仙沼西の連合チームと岩出山が対戦するが、本吉響は昨秋、岩出山と連合チームで公式戦を戦っており、まさかの初戦での対戦となった。登米は昨春、創部67年目で初の東北大会に出場。この時も4番を打っていた佐々木 幹太、2枚看板の1人だった菊地 圭佑ら経験者が多数いる。古川には昨夏、第3シードだった柴田を相手に好投して勝利に導いたエース左腕・鈴木 優作が残っており、今年はどんな快投を見せるか。

 制球力のある塩釜のエース・中山 剛志も評判の高い投手だ。この春、創部初の8強入りを果たした富谷はシードで迎える初めての夏。宮城工仙台東の勝者と初戦を戦う。

 第2シードは東北県大会で準優勝し、東北大会では12年ぶりに優勝を飾った。地区予選初戦から東北大会決勝までで出場メンバーが変わるなど、試行錯誤をしながら成長。渡辺 法聖が投打に一皮むけたのは大きい。ショートのポジションが定まらなかったが、地区予選の敗者復活戦から1年生の杉澤 龍を抜擢。守備は荒削りだが、安打を重ねてダイヤモンドを駆け巡る姿は1年生とは感じさせない。

 東北のブロックに入ったシード校は東北学院榴ケ岡昨夏は23年ぶりに4強入りし、このは92年以来の8強入り。平日は2時間ほどと短い練習時間で工夫を凝らした練習をし、結果も追いついてきている。今年は昨年の成績を超えようと燃えている。

 昨夏、49年ぶりの8強入りとなった岩ケ崎は、2年生選手が入部しておらず、3年生9人、1年生11人と2人の2年生女子マネージャーで挑む。2005年のセンバツ大会に21世紀枠で出場した一迫商も地域の過疎化により昨年は1、2年生のみ9人の部員と助っ人で出場。今年は昨年を経験している選手たちに新入生を加え、初戦は多賀城と戦う。

 昨秋の「関東・東北豪雨」でグラウンド横の川が氾濫し、グラウンドが使用できなくなった中新田も10人の選手が力を合わせて昨夏8強仙台二に挑む。春は加美農と合同チームで公式戦を戦ったが、加美農中新田ともに1年生が入部し、夏は単独で出場する。黒川も昨秋の豪雨でグラウンドが被災。道具などで支援を受け、感謝の思いで夏を迎える。チームをまとめる高橋 伽維主将が選手宣誓を務める。

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[page_break:仙台育英のブロックは実力者揃い]

 昨夏、34年ぶりに8強入りした、2年連続で夏に8強入りしている石巻もこのブロック。昨夏の8強以上が5校もひしめき、先輩越えを目指すチーム同士が熾烈な争いを繰り広げそうだ。

仙台育英のブロックは実力者揃い

中島 隼也(仙台育英)

 仙台育英は第3シードだが、実力者がそろっている。1、2番を打ち、二遊間を守るのは昨夏の甲子園でベンチ入りしていた瀬戸 泰地西巻 賢二。3番・譜久村 慧斗、4番・福山 龍旺と続く打線は迫力が出てきた。投手陣も中島 隼也鈴木 俊介らが春で経験を積めたことはチームにとっては大きなプラス材料。昨夏の結果はついて回るが、一戦必勝で「自分たちの野球」をできるかどうか。

 仙台三佐々木 博一聖和学園相沢 英希仙台佐藤 隼輔ら好投手が散らばっているのもこのブロックの特徴だ。仙台高専名取はこの春、卒業して専攻科に進んだ小野 大輔監督が“学生監督”として指揮をとる。また、1番を打つ野澤 孟司南部地区予選の初戦で最後に本塁打を放ってサイクル安打を達成している好打者だ。涌谷阿部 奈央部長は石巻高時代、宮城県初の女子選手だった。高校時代は途中でマネージャーとなるも自主練習では選手にノックを打っており、この春、初任で赴任した涌谷でもノックバットを振るっている。

 この春、2年連続で4強入りした第4シードの柴田3年前に準優勝した時のエース・岩佐 政也(現仙台大)の弟・公太が2年生ながら背番号1を背負う。1番を打つ主将の鈴木 謄磨がチームの起爆剤として多く出塁したいところだ。

 このブロックには柴田をはじめ、公立の実力校がひしめく。仙台商地区予選東北に勝利し、仙台育英戦は敗れたものの延長に持ち込んだ。2年生のエース左腕・乙戸 詠央を中心に攻守にそつがなく、上位を虎視眈々と狙っている。2011年の代表校で昨夏の決勝に進出した古川工は、将来性のあるエース・鹿野 魁平ら昨年の経験者が多く残る。対する泉館山のエース・庄司 啓人は、低めへのコントロールがうまく、地区予選仙台育英を7回まで1失点に抑えた好左腕。

 利府石巻工に加え、昨秋8強の宮城農もこのブロックだ。また、村田芳賀 崇監督は仙台育英2001年センバツ大会で準優勝した時のエース。昨年は部長として指導していたが、今年は監督として初めての夏となる。

(文・高橋 昌江


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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