夏の主役はこの選手だ!!【東日本編】
後編では、東日本地区の逸材を紹介したい。夏を盛り上げる選手は非常にいるが、厳選してピックアップした選手たちのプレーぶりに注目してほしい。
大江・清宮で盛り上がる東京地区 関東地区の逸材たち
走攻守で魅せる清宮 幸太郎(早稲田実業)
関東地区に話を進めていくと、東京都では清宮幸太郎(早稲田実業<関連記事>)と大江竜聖(二松学舎大附<関連記事>)の2人はやはり注目だろう。清宮は守備、走塁面で進化を見せており、野球選手としてはかなり理想的な成長を見せている。この春からはセンターに挑戦。だんだん打球の追い方も良くなり、スローイングもなかなかの強肩であるということが分かる。初のセンターとして想像以上に動きが良く、まだまだ伸びていきそうな予感があった。そして走塁面でも都立昭和戦(試合レポート)では中前安打から一気に二塁へ。これは外野手の守備がかなり深かったというのもあるが、これほど積極的な走塁ができることに驚かされた。初戦の都立町田戦で高校通算36号を放ったように、打撃に関しては高校生トップクラス。今年の高校3年生野手を含めても全国1、2を争う野手へ成長を遂げている。
大江竜聖は、3回戦の日大鶴ヶ丘戦では4失点したが、4回戦の都立日野戦では完璧なリリーフを見せた。ただ、まだ変化球の精度に課題を残している。2年ぶりの甲子園出場へ、速球、コントロール、変化球も文句なしの精度に仕上げていきたい。また東東京の主役になりそうな選手がもう1人いる。それが関根智輝(都立城東)だ。昨秋から140キロ台の速球を計測する右の本格派として注目されていた関根だが、今は投打に引っ張る大エースとして二季連続で都大会ベスト8進出の原動力となった。投手としても最速144キロまで伸ばすだけではなく、打撃でも試合を決める活躍を見せるほどの打力を身に付けた。まさに主役に相応しい実力を身に付けたといっても過言ではない。西東京では最速144キロ左腕・長谷川宙輝(聖徳学園)の投球に期待が集まる。
埼玉県ではドラフト候補として注目される高橋昂也(花咲徳栄)は、選抜で威力不足に終わったストレートを磨き直し、夏は復活した姿を見せたいところ。
神奈川県では、最速152キロまで球速を伸ばした藤平尚真(横浜<インタビュー>)は、悲願の甲子園出場へ向け、観客を魅了するピッチングを見せてくれそうだ。さらに、大型1年生・万波中正のパフォーマンスも注目したい。また146キロ右腕・北村朋也(東海大相模)も、プロ注目右腕。3年連続の夏の甲子園出場へ向け、投手としての総合力を高めたい。
千葉県は、選抜ベスト8の木更津総合のエース・早川隆久(インタビュー)は県内のライバルを寄せ付けない投球ができるか注目したいところ。
続いて茨城県に目を向けてみる。選抜初戦敗退に終わった常総学院だが、県内でも実力は頭一つ抜けており、エース・鈴木昭汰、2年生スラッガー・宮里豊汰は今年の茨城を引っ張ってくれそうだ。最速149キロ右腕・長井良太(つくば秀英)も県内の強豪校を抑え込む投球術を覚え、目立っていきたい。
そして山梨県では中学時代、最速144キロを計測した大型右腕・小野寺瑞生(東海大甲府)が県大会デビューを果たした。夏へ向けて調整が順調にいけば、スーパー1年生として注目を浴びるに違いない。
北信越・東海・北海道・東北の逸材たち
自慢の長打力を全国の舞台で見せたい今井 順之助(中京)
北信越地区では敦賀気比の山﨑颯一郎と林中勇輝(インタビュー)の2人はドラフト候補として引き続き注目されるだろう。山﨑は選抜の青森山田戦(試合レポート)で完封したことで自信をつけた。夏へ向けて、ストレートをさらにボリュームアップさせたいところ。また選抜2試合の敦賀気比の全得点である2得点をたたき出した林中。打線の調子が上がらない中、状態を上げたのはさすがである。走塁、守備のレベルも高校生トップクラスで、勝負となる夏でどれだけ自分の実力を発揮できるか。夏では主役と呼べる活躍を多く見せていきたい。
東海地区では、東邦が主役として盛り上げられるか。投打でハイレベルな藤嶋健人(インタビュー)、松山仁彦(インタビュー)の2人がどこまで素質を伸ばすことができるかに注目だ。強豪が多い愛知県だが、2回戦敗退で終わった悔しさをバネに群を抜く強さを見せられるか。そして、それに待ったをかけたいのが中京大中京、愛工大名電の2校だろう。中京大中京は大型左腕・長谷部銀次が昨夏、昨秋の経験をもとに一皮むけるか。昨秋から130キロ後半の速球を投げ込んでいた投手なだけに、東邦を苦しめる投球に期待したい。愛工大名電の大型スラッガー・高橋優斗は覚悟を持ってラストイヤーに臨んでいる。今年の愛知もこの3強を巡って熱い勝負を見せてくれるのは間違いない。
岐阜県では高校生ナンバーワンスラッガーを目指す今井 順之助(中京<インタビュー>)は自慢の長打力で岐阜県を沸かせることだろう。秋から春まで、いろいろな高校生を見てきたが、この選手に並ぶ威圧感、スイングスピード、長打力を持った選手は清宮幸太郎(早稲田実業)ぐらいではないであろうか。まずはチームとして岐阜を勝ち抜く総合力を身に付けられるか。甲子園に出てくれば、主役になる可能性は十分に持っている。
逸材が多い静岡県では、最速148キロまで球速を伸ばした横尾蓮太(静清)も気になる存在だ。また3年連続の夏の甲子園出場を目指す静岡は、146キロの速球と落差鋭いフォークをウリにする村木 文哉、走攻守の総合力ならば今年の高校生外野手でもトップクラスと評される静岡鈴木将平も、夏へ向けてクローズアップされそうだ。
これから予選が本格的に行われる北海道・東北はどうだろうか。東北では、選抜出場した青森山田と八戸学院光星が引っ張る存在になりそう。青森山田は選抜で目立った活躍できずに終わった大型遊撃手・三森大貴が夏では走攻守すべてにおいて活躍する姿を見せていきたい。八戸学院光星は、田城飛翔、益田敦成の両スラッガーは夏を盛り上げる存在になりそうだ。そして2007年から始まった10年連続の甲子園出場を目指す聖光学院は、投打にパワフルな鈴木 駿輔、巧みなバットコントロールを見せる小泉徹平が面白い選手だ。
山形県も面白い選手が多く、昨冬の山形県選抜に選出され、木製バットでも抜群のバットコントロールを披露した鈴木一朗(山形中央)、ポテンシャルならば全国トップクラスの大型外野手・石垣 雅海(酒田南)のプレーも注目だ。
北海道では最速148キロを投げるといわれる古谷 優人(江陵)に注目。この実力が本物ならば、今年の北海道を盛り上げる逸材に違いない。昨年は全道大会には出場していないが、まずは春、夏と全道大会に出場できる実力を身に付けていきたい。
(文・河嶋 宗一)
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