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2016年の高校野球を占う【群馬編】「今年も桐生第一、樹徳、健大高崎の私学を中心に激しい争いを展開」

2016.03.16

 健大高崎前橋育英の躍進により、近年、激しさを増している群馬県。
今年は桐生第一選抜出場。群馬県は2012年から毎年春夏のどちらかで甲子園ベスト8以上を経験しているが、今年も全国で躍進を見せるのか。今年の群馬の有力校を紹介していきたい。

桐生第一、樹徳など昨秋4強入りチームの課題とは

内池 翔(桐生第一)

 まず選抜出場の桐生第一は、同校の先輩・藤岡 貴裕2011年インタビューに憧れるエース左腕・内池 翔がキーマン。
昨秋は60回2/3を投げて59奪三振とほぼイニング同等の奪三振を奪える投手。一冬越えてよりストレートのスピードが出てきて、狙い通りのところへ投げられる「コマンド」が磨かれればドラフト候補に浮上する可能性を持っている。
また昨秋7試合に登板した青木 快人は、右下手の技巧派。さらに安定感が増してくると、より活躍が期待できそう。さらにこの2人以外の投手陣が台頭し、いくつか継投パターンが確立できると面白い。

 打線では昨秋、打率.471を記録した追川 恵太、4番鏑木 風雅と左の好打者が並ぶ。
果敢に攻撃していく打撃スタイルで春、夏と群馬の頂点を駆け上がることができるか。全体的に打線のレベルの底上げができると、県内では盤石の戦いを見せてくれそうだ。

 そして昨秋優勝を果たし、復活傾向にある樹徳。その中心は正捕手で主将の嶋田 翔。逆方向にも長打が打てて、好投手と対戦しても動じない打撃、さらに二塁ベースまで一直線に伸びていく強肩が魅力の嶋田は昨年12月に行われた北関東選抜でも存在感を示していた。

 投手陣では昨秋、1年生ながら、130キロ前半の速球、キレのある変化球をコントロール良く投げ分け好評価を得た小寺 伶弥の成長がカギだが、小寺以外の投手の台頭を望みたいところ。
打線では4番を打つ大関 優虎関東大会で本塁打を放った茂木 丈汰などパンチ力ある野手が揃うが、さらに打力を磨き上げ、春、夏と頂点を目指していきたい。

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[page_break:総合力を高めたい前橋育英 利根商が新たな風を吹き込むか]

 昨秋の県ベスト4、3年連続の夏の甲子園出場を目指す健大高崎は投手力強化が一番の課題になりそうだ。
1年から実戦の経験を積んでいる左腕・石毛 力斗、また外野手を務めている右投げの高原 蓮が投手として期待されており、左右のエースとして活躍を見せられるか注目。
また例年、健大高崎が勝ち上がるときは捕手もいい。2012年選抜ベスト4まで勝ち進んだ時は長坂 拳弥東北福祉大)、昨夏柘植 世那HONDA鈴鹿)がいた。そんな先輩達のように、チームを引っ張る好捕手の登場を期待したい。
自慢の機動力はしっかりと仕上げてくる同校だけに、バッテリー力が鍛えられれば、やはり春、夏では有力候補になっていくだろう。

 同じくベスト4の前橋工は、主砲・中林 幹弥に注目。
均整がとれた体格、さらに、選球眼の高さ、そしてスイングスピードの速さが光る打撃が魅力。まだ芯を外している打席が多いが、しっかりと芯にコンタクトできる能力が高まると、本塁打量産が期待できそうだ。
課題は投手力強化。20年前の1996年は甲子園ベスト4まで勝ち進んでいる。節目の年にあっと言わせる戦いを見せていきたい。

総合力を高めたい前橋育英 利根商が新たな風を吹き込むか

佐藤 優人(前橋育英)

 ベスト8では、前橋育英が総合力を引き上げることができるか。右腕・佐藤 優人は、昨年の時点では130キロ前半だったが、投球フォームの土台が良く、始動からフィニッシュまでの一連の流れが良い。しっかりと腕が振れるフォームになっているので、身体ができれば140キロ台まで期待できそうだ。また強肩捕手・森田 健斗は昨年から経験十分。課題は昨秋の準々決勝、0対1で負けた打力。総合力を高めて優勝争いを見せていきたいところだ。

 伝統校・高崎商は、俊足で、さらにミートセンスが高い左打者・松本 健太郎がチームを引っ張る。
また、昨秋ベスト32ながら、前橋工に1対3で接戦を演じた桐生工は、安定感ある投球を見せた金子 稜人など、しぶとい活躍を見せた選手が多かった。

 最後に今年、話題になりそうなのが利根商。多くの選手の代理人を務めた団 野村氏がコーチを務め、監督には、これまで関西方面の高校で40年以上の指導歴もある豊田 義夫氏が就任。昨秋は初戦敗退だったチームが、経験豊富なスタッフの就任により、甲子園出場を狙えるチームへ成長するのか目が離せない。

 このまま昨秋上位の桐生第一樹徳といった強豪私学中心の大会になっていくのか、それとも利根商のような学校が群馬に新たな風を吹き込んでくれるのか。
今年の春季関東大会は群馬開催なので、4校出場できる。例年以上に多くの学校が高いレベルに触れるチャンス。新戦力が浮上することを大いに期待したい。

(文・河嶋 宗一


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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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