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【明治神宮大会】今年は投打ともに人材揃い!神宮大会で光った選手たちをピックアップ!

2015.11.19

 高松商優勝で幕が閉じた第46回明治神宮野球大会。今年は例年以上に好選手がずらりと揃い、非常に見応えのある大会となった。
そんな中、来春ブレイクが期待される好選手を厳選してピックアップ!投打に分けて紹介をしていきたい。

投手の主役となったのは150キロを記録した高山 優希(大阪桐蔭)


150キロが計時された電光掲示板

 

高山 優希(大阪桐蔭)

 神宮大会に出場した投手の中で主役となったのは高山 優希大阪桐蔭)だった。
普段の試合では常時130キロ前半~130キロ後半で、初戦木更津総合戦でのマックスは141キロ。自己最速でも145キロと130キロ台が多い高山だが、続く準決勝高松商
では140キロ後半を連発し、最後は150キロを計測した。
わずか1日で、アベレージのスピードが10キロ以上も違ったのだから、驚愕の一言である。

 140キロ後半を計測した時のストレートの勢いは本物で、腕の振りも、こんなに鋭く腕が振れる投手なのかと驚きを隠せなかった。
大阪桐蔭西谷 浩一監督は、1イニングなので全力でいけと送り出したが、わずか1イニングで、神宮大会どころか、来年の高校生左腕の中でも主役と呼べる存在となった。

 高山が全国デビューしたのは、選抜準決勝
長身から140キロ前後の速球、曲りが鋭いカーブを投げ込む姿には高い将来性を感じさせた。
ゆくゆくは、145キロ以上を投げ込む速球派左腕へ成長してほしいと思っていたが、想像よりも速いスピードで進化を遂げていた。あとはこの凄味のあるストレートを継続的に投げられる体力を身に付けていきたい。145キロ前後のストレートをしっかりとコントロールできるようになり、さらには投球術もより磨きがかかれば、全国ナンバーワン左腕と呼ばれる日はそう遠くないだろう。

 準優勝投手となった山崎 颯一郎敦賀気比)は投げるたびに良くなっていた。
初戦となる創志学園戦では140キロに達することも少なく、全体的にばらつきも多い投球だったが、投げていくたびに良くなっていった。決勝では、135キロ~130キロ後半とはいえ回転の良い速球で、130キロ台のフォーク、120キロ前半のスライダー、110キロ台のカーブのコンビネーションが嵌ったときの投球は見事だった。

 しかし決勝では7回まで無失点に抑えたものの、8回に逆転を許した。これはセーフティバントで攻められリズムを崩したものであった。
勝つにはそういった隙をなくすことが課題であり、来年以降はストレートの質、投球術、フィールディングと投手に必要なスキル全てにおいてレベルアップを期待したい投手。来春、驚くような成長を見せることができるか注目したい。

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[page_break:東邦の藤嶋は打者としての活躍が目立った また活躍を見せた好投手たち]

東邦の藤嶋は打者としての活躍が目立った また活躍を見せた好投手たち

 また最速150キロを計測する高田 萌生創志学園)は、初戦敦賀気比
で5失点を喫し、自慢の速球は最速143キロ止まり。
ただこれは肌寒い雨の中で投げていたということもあり、暖かい気候の下で投げれば、145キロ以上もマークするだろう。課題としては曲がりすぎなスライダーをどれだけ制御できるか。球種自体は豊富で、鋭角な曲がりをする変化球を投げられる投手なので、一つ一つの投球の精度を高めていきたい。

藤嶋 健人(東邦)

 神宮大会前から投打の総合力が高いと記載した藤嶋 健人東邦)は打で魅せた。
1回戦秀岳館戦では二打席連続本塁打。外寄りの甘く入った変化球を豪快にレフトスタンド中段に持っていく当たりは今大会でも一番だった。スラッガーとして素質はピカイチということを十分に示した大会だった。

 投手としては、以前よりもテイクバックを小さくして、140キロ前後のストレート、スライダー、チェンジアップ、カーブをコーナーへ散らし、淡々と投球を組み立てができる投手となった。どちらにも適正があるが、打者としての魅力をいえば、その長打力だろう。来年、投打両面でどこまでスケールアップするか楽しみな選手だ。

 また、東邦では藤嶋以外の速球投手の活躍が目立った。最速143キロのストレートとキレのあるスライダーで翻弄する左腕・松山 仁彦、躍動感あるフォームから最速143キロを計測する右腕・近 久輝と楽しみな投手が揃った。

 秀岳館では135キロ前後の速球、キレのあるスライダーで東邦打線を5回無失点に抑えた堀江 航平、やや変則的なフォームから130キロ後半の速球を計測する有村 大誠も成長を期待したい投手。藤嶋に本塁打を打たれたとはいえ、中井 雄亮は左腕から135キロ前後のストレート、落差あるチェンジアップが魅力の選手だった。

 また木更津総合早川 隆久は出所の見難さとストレートのキレで勝負する投手だが腰を痛めており、本来の投球ができなかった。センバツでは万全の調子で臨んでほしい。

今年はレベルの高い捕手が揃う

九鬼 隆平(秀岳館)

 野手では好捕手が多かった。
優勝した高松商の正捕手・植田 響介はこの神宮大会では一発長打が出ることはなかったが、2.00秒前後のスローイング、狙い球を外すインサイドワークが光った。だが、全国で上位に進出することを考えると、さらに攻守両面でのレベルアップを期待したい選手だ。

 ベスト4入りした青森山田では、東邦戦(試合レポート)で再三、走者を刺す強肩を披露した村山 直也がキャッチング、リードセンスともにハイレベルで、捕手としての実戦度では群を抜いていた。
また秀岳館の正捕手・九鬼 隆平はパンチ力溢れる強打が自慢。1.9秒台を計測する強肩も魅力で、ドラフト候補として見るならば、九鬼がピカイチではないだろうか。

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[page_break:内野手、外野手ともに将来楽しみな選手が目白押し!]

内野手、外野手ともに将来楽しみな選手が目白押し!

三森 大貴(青森山田)

 また好遊撃手も多かった。
走攻守の総合力ではナンバーワンといえるのが三森 大貴青森山田)だろう。
東邦戦(試合レポート)では取り消しとなったが、あともう少し伸びれば本塁打となる二塁打を放ち、その次の打席では逆方向への安打と、広角に打ち分ける打撃センスを見せた。さらに塁間タイム3.90秒と脅威的な脚力を示し、スローイングも強い。

 昨年の神宮大会では平沢 大河仙台育英2015年インタビュー)が大活躍をしたが、身体能力的なモノは、平沢より三森の方が上回っている。
冬の課題は体重増加。現在、181センチ64キロと細いことは自覚しており、体重の増加で、飛距離も変わって本塁打を量産できるようになれば、さらに評価が上がる選手になっていくのではないだろうか。

 他の遊撃手では、まず対応力が高く打撃が目についた米麦 圭造高松商)、広角に打ち分ける打撃、フットワークが軽快な守備が光った北川 大貴創志学園)が挙げられる。また3試合連続適時打を放った林中 勇輝敦賀気比)は打撃力、守備力ともに高いレベルに達しているが、さらに上のレベルへ目指すには、もう少し肉体的な逞しさ、打撃の力強さを求めていきたいところ。長打力がついてくればさらに印象も変わってくるだろう。

ミート力もあり、さらに守備力も高いという点では松尾 大河秀岳館)も面白い存在だ。
また、攻守の総合力の高さでは中山 遥斗大阪桐蔭)。一冬越えて、突き抜けたレベルを目指していきたい。

 内野手では優勝した高松商の二塁手・美濃 晃成。ストレートに振り負けない力強いスイングと広角に打ち分ける技術が光る好二塁手だ。また投手としても常時140キロ台を計測する肩の強さがあり、守備面がさらに磨かれるとより注目を浴びるだろう。

 また大阪桐蔭のセカンド・永廣 知紀は勝負強い打撃、さらにスピード溢れる二塁守備も魅力だ。中山との二遊間は絶品だが、西谷監督からは「今のレベルでは全然まだまだ」と厳しい注文をもらっており、その壁を乗り越え、来年の高校生を代表する二塁手へ成長を遂げることができるかがカギとなる。

 外野手では、巧打・堅実な守備力が兼ね備えた内山 昂思青森山田)、高松商・1番安西 翼の巧打、スピードが目についた。準決勝大阪桐蔭戦でマークした三塁打のタイムは10秒94と相当速い。バットコントロールも非常に良く、他校の選手たちは非常に警戒している様子だった。そして1回戦の関東第一戦で5打数4安打を記録した兼村 京佑札幌第一)はバットコントロール、対応力とともに9番とは思えない選手だった。

 ここまで2年生を紹介してきたが、1年生では以下の2選手をピックアップしたい。

 まず、大阪桐蔭戦(試合レポート)で先頭打者本塁打を放った峯村 貴希木更津総合)がピカイチだろう。
入学時と比べ体も大きくなりスイングスピードも上がり、捉える打球が一つ一つが鋭く、スケール感では上級生を含めても一番だった。また守備範囲の広さが光る中堅・上中尾 真季敦賀気比)の成長が楽しみだ。

 投手、野手ともにこれほど人材が集結したのはかなり久しぶりではないだろうか。投手は寒い気候で投げ込んでいたので、本来のパフォーマンスは発揮できていないように感じたが、野手はこんなに良い選手がいるのかと驚きの連続であった。
ぜひ来年の選抜ではさらに高校野球ファンを驚かせる選手たちが出てくることを期待したい。

(文=河嶋 宗一


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・第46回明治神宮野球大会特設ページ

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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