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動画で解説!安福一貴の走塁術 【前編】

2014.12.22

 片岡 治大選手(当時西武)2011年インタビュー2012年インタビューを3年連続の盗塁王へと導くなど、過去に多くのプロ野球選手に走塁を指導してきた高校野球ドットコムの連載コラム『塁間マネジメント』でお馴染みの安福トレーナーが、今回新たに走塁について徹底解説します。

塁間マネジメントについて

今回は、『塁間マネジメント』を紹介していきます!

 まずは、スタート、加速、スライディングの3つの要素に分割して考えましょう。これは、各セクション毎のトレーニングを行う陸上競技と同じ考えです。
まず、盗塁を確率で考えます。「スタート」「加速」「スライディング」の3つの要素の内、1 つの要素が成功したら33%の確率で盗塁が成功。2つなら66%の確率。全ての要素が成功したら99%の確率で成功と考えます。
そう考えることで、心理的プレッシャーは減少するでしょう。

 スタートの思い切りなど、盗塁はメンタルが大切になります。怖がったり焦ったりしては成功の確率は下がります。
もう一度言いますが、盗塁を分析することで、心理的プレッシャーは激減します。ここぞの場面で、普段通り思い切って走れる選手になるため、塁間マネジメントは重要な要素となります。

盗塁の構え

続いて、『盗塁の構え』を紹介!

 盗塁を試みて、セカンドベース上やサードベース上でアウトになってしまうことは、勇気を持ってトライしての結果なので、気にしてはいけません。
しかし、牽制でのアウトは、反省するべきでしょう。
もちろん、ピッチャーもランナーをアウトにするために牽制の練習をしているわけですから、全てがランナーの責任ではありませんが、基本は、牽制の上手いピッチャーであっても帰塁ができる確率の高いリードや構えを探すべきだと思います。そうすることで、スタート時のプレッシャーは減少するでしょう。
重心位置は、よく拇指球と言われますが、しっかり意識することが難しい部位だと思うので、つま先寄りに置いておく意識で充分だと思います。
腰は落として、身体の安定を司る体幹部に力を入れ、各関節にゆとりを持った構えが理想です。

【10月特集】スピードを生かす技術

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力の伝わるスタート

『力の伝わるスタート』とは?

 練習の場面で「スタートは低く出ろ」とよく言われますが、低く出ることで、足の回転が悪くなったり、走り難くなる選手も多いでしょう。
「低く出る」という意識自体は、スタート時の角度や、各関節や筋肉にバランス良く力を入れる上で、重要な要素とも言えますが、そもそも、選手それぞれの骨格や走力、筋力などの個性があるので、どこの角度が低くて、どこの角度からが高いか、定義することは難しくなります。

 その中で、ひとつの目安になるのが目線です。
アゴを上げれば身体が起きやすくなるなど、人間の体は反射する特性を持っています。それを利用して、スタート時に自分の膝、もしくは足元を見ることで、上体の浮き上がりは、ある程度抑えられます。
そして、力の伝わり。スタートで力んでしまっては、次のセクション(加速)が上手くいかなくなります。
いかにして、余計な力みを取り除いていくかが、短時間でのパフォーマンスの発揮に重要な要素になります。必要な部分にさえ力が入っていれば、しっかりと走ることが出来ます。

 皆さんが実際に行ってみれば分かると思いますが、進塁するベース側の足を身体の中心まで引いてから後ろ足を踏み出すことで、前足を主導にして踏み出す形に比べ、格段にリラックスしてスタートが出来ます。
力が入っていることが速く走ることの条件と考えている人は、まずその考えを頭から消去しましょう。

ランニングとスライディング

『ランニングとスライディング』について解説!

 速く走ることにおいて、無駄な力みと同様に、足底面と地面の摩擦抵抗は大きな敵になります。
スパイクの歯でしっかり地面を捉える感触、または感覚は、速く走る上で邪魔なものとなります。イメージとしては瞬発的に地面を叩く感覚。
地面との接地時間を少なくすることで、同時に摩擦抵抗を減らし、効率の良い走りを身に付けるトレーニングが重要になります。

 私が契約選手たちに指導している「ランニングトレーニング」は、この点を第一に指導しています。
そして、スライディングに関してですが、とにかくベースぎりぎりでスライディングするべきです。審判も人間なので、ベース直前で勢い良く滑り込んだ方が印象が良いですし、そもそも、スライディングを開始した時点から、地面との摩擦面積、摩擦抵抗で移動速度は減少しますから、少しでも長い間走っていた方が、物理的に速い時間で次の塁へ到達できます。

【10月特集】スピードを生かす技術

 

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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