早稲田大学系属早稲田実業学校高等部(東京)
今夏の甲子園で、圧倒的な打撃力の高さを見せてきた早稲田実業。敗れた準決勝の仙台育英戦以外では打線が爆発し、準々決勝までの4試合で29得点。
ベンチ入りメンバーが大幅に変わった新チームだが、初戦からコールド発進。代表決定戦でもコールド勝ちを決め、順当に本大会進出を決めた早稲田実業。甲子園で活躍した金子 銀佑新主将や清宮 幸太郎の活躍を含め新チーム初戦から今年のチームの船出を振り返っていく。
秋季東京都ブロック予選も好発進!
新チーム初戦から大暴れの清宮 幸太郎(早稲田実業)
9月12日、迎えた新チーム初戦の東農大一戦は、10安打12得点で5回コールド勝ちを収めた早稲田実業。
3番・清宮(2本の本塁打を含む3打数3安打1四球5打点)、4番・金子(4打数2安打2打点)の活躍が目立つが、先発全員が四死球も含め塁に出ることができた。
良いスタートを切れましたか?という質問に対して、指揮官の評価は厳しかった。
「いやいやいや!もうガチガチですね。とにかく新チームで公式戦が初めてだったので、試合のゲームでもそうだしベンチの中でも、まとまらなかったですね」
修正点は、たくさんあった。まとまりがなかったと語る和泉 実監督が、テーマとして考えていたことに、試合経験が少ない選手に「公式戦とはどういうものなのか」を整理した上で試合を戦わせることだった。
しかし初戦当日の早朝、東京都調布市では最大震度5弱を記録する地震が起こった。調布にほど近い国分寺にキャンパスを構える早稲田実業にも少なからず影響はあった。
「地震があった関係で通常の時間に集合できない生徒が続出しました。落ち着いて球場に来れなかったのは影響していますね。それも含めて準備するのが公式戦ですが、初めての公式戦となった子たちにとっては、厳しかったのではないでしょうか。精神的なハンデがあったと思います」
選手を気遣う様子が伝わる。やはり初めて出場する試合を想像すると、準備は念入りに行いたいであろう。そんな時に地震が重なってしまった。
「でも逆に言うと、一番想像しないパターンで(公式戦に)試合に入りましたから。公式戦の入り、準備がすごく大切だということを実感できたのではないでしょうか」
現時点では、技術的なことではなくて、試合に入るまでの過程を大切にしている早稲田実業。夏の甲子園から大幅にメンバーが変わったが、戦い方にどのような変化があるのか。
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大幅に変わったメンバー、今後の戦いは?
雰囲気の良さが伝わってくる早稲田実業ベンチ
新チームになり、ベンチ入りメンバーも大幅に変わった。
甲子園のベンチ入りメンバー18名のうち、3年生13名、2年生3名、1年生2名。さらに、一桁の背番号を背負っていた選手は、金子 銀佑主将と清宮 幸太郎だけである。
「本当に、甲子園組のメンバーがごっそりと抜けましたので。戦い方は違うようになるでしょうが、『粘り強く』ということをテーマにしていきたいなと思います。その中で、清宮と金子は(甲子園)経験者ですから、彼らには2人分くらいは活躍してもらわないとね」
甲子園での打順は、3番・清宮、5番・金子。メンバーが大幅に変わり、今後はどのような打順を組むのかに注目が集まる。
「みんなの成長次第ですね。旧チームと同じように、清宮、加藤のような形にしたいですが、なかなかいませんので。うちとしては一番得点に関われるような打順を考えています。勝ち進めば2ヶ月間試合がありますので、清宮や金子に限らず、打順が変わる可能性はまだ持っていると思います」
甲子園での活躍もさることながら、先日開催された第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップで4番を務めた清宮については、
「あの(日本代表)中でやってきたわけですから。詳しいことはわかりませんが、初戦は結果として2本(本塁打が)出たのは成長の証ではないでしょうか。相変わらず振っちゃいけない球も振っているけど、自分で分かっていると思うんですよね。そういうところも直していかないと。ただ相手の甘い球は見逃さないとう集中力は、経験が生きているように見えました」
一回り大きく成長した清宮に対して厳しい言葉を掛けるも、語っている表情からは期待ともとれる笑顔をのぞかせた。
その和泉監督から成長を指摘された清宮の新チームでの意気込みとは。
「今までは3年生に引っ張っていただいた部分がたくさんありました。しかし新チームになって、次は2年生になって自分がチームの中心になってくると思うので、ずっと今日(初戦)みたいな活躍ができれば良いと思います。もちろん打てない日でも、チームをしっかりと引っ張っていけるようにしたいです」
春のようなあどけなさは無かった。夏の甲子園やU-18日本代表で経験したことが彼の表情を変えていた。
そんな清宮を含め、全選手がベンチから大きな声を出す姿が印象的であった東農大一戦。
「甲子園での力の源はベンチワークがすごい良かったから。ベンチの盛り上がりとか、そういった部分が(試合に)出ている人たちにも力になっていることを実感しました」
そう清宮が語るように、早稲田実業での強さの源はすでに新チームにも受け継がれていた。
この夏、甲子園を沸かせた早稲田実業が、再び春にも聖地に戻ってくることができるか。19日のブロック予選代表決定戦(試合レポート)でも、清宮が2試合連続3本目の本塁打を場外に放つなど話題を集めた早稲田実業。今後の秋季大会での勝ち上がりから目が離せない。
(取材・写真=佐藤 友美)
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