諫早(長崎)のスムーズなDNAの継承【後編】
「今年のチームは楽しみ」選手が自分で考える力を信じた3年間! 諫早(長崎)【前編】
「考える力」を持っていた諫早(長崎)だからこそ起こった化学反応【中編】
諫早のスムーズなDNAの継承
木寺 賢二監督(諫早)
「新チームになるとチームが退化するような瞬間ってあって、今まで出来たことができなくなるというものがあると思います。今はうまくシフトチェンジしていってる感じがします。やっぱり新チームになって指導者からこう行くぞと言うんじゃなくて、自分たちで考えた上で、そこ(新チーム)に入っているので大きなブレがないと思います」
このスムーズな諫早DNAの継承こそが、木寺 賢二監督と諫早の化学反応で作り上げた新しい伝統と言える。その新しい伝統が導いた、好例を紹介したい。
「前のチームが発足する時にとにかく走るチームを目指したいと考えました。その時に当時の2年生で副キャプテンの子が走塁のリーダーになって、一年生の中の足の速い松尾 駿がサブリーダーみたいになったんですね。この二人がずっと1年間かけてどういうことをやろうとか、それこそリードの取り方から考え方まで色んな事を二人で話し合ってですね、走塁についての考え方を作り上げてきました。だからこそ、先輩が卒業後もDNAが次の代に引き継がれているのですね」
左:永田竣也主将、右:松尾駿走塁コーチ
これこそが、上手な代の切り替わり方、好シフトチェンジの例だと言えるだろう。
話を最初に戻したい。
「今年のチームは楽しみなんです」
この言葉の背景には、小寺監督と諫早の化学反応や、DNAのスムーズな継承があっての3年目という意味がある。新しい諫早の伝統の中、3年間を過ごした生徒たち。そんな自分で考える力をもった3年生の最後の夏が楽しみでないはずがない!
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左:松尾宇翔、右:田中壮大
編集後記
取材中、最近あった嬉しい話をいくつか話していただいた。
「『練習中全然先生の事を見てないんですよね』と言われて、だからもう存在していないみたいな、彼らの中でですね。そもそも練習中に色々言わないんですけども、でも彼らの中では自分たちの中でこうやりたいという方向に向かって行っているので、それは感じますし嬉しいことですね」
「どうしても指導者がいる、いないで練習の温度差が変わってくることがあるけども、でもいてもいなくても変わらない。キャプテンを中心に指示を出してる。それは、僕の中では嬉しかったことです」
まさに木寺イズムが浸透している。自分たちで考え動くからこそ、周りに左右されずにアクションが起こせるのである。15日に初戦を向かえる諫早に注目したい!
(取材・田中 実)