第504回 「野球を好きで終わらせたい」佐々木誠監督と鹿児島城西の挑戦2018年07月08日

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【目次】
[1]「野球を好きで終わらせたい」
[2]野球の楽しさを教える
[3]佐々木誠監督と鹿児島城西の挑戦

 鹿児島城西といえば、サッカー日本代表・大迫勇也の母校としてにわかに脚光を浴びている。大迫を擁して2009年の全国高校選手権で準優勝したサッカー部は、今や神村学園と並んで県内を2分する全国常連校である。今年の陸上日本選手権男子10000mを制した大六野秀畝(明治大→旭化成)は陸上部のOBだ。空手部、卓球部なども全国大会の常連に名を連ねる。
 野球部も甲子園出場こそないものの、近年では00年、09年、15年と夏に決勝に進んでおり、春秋の九州大会県予選では優勝、準優勝が度々ある。先日、社会人侍ジャパンに選出された細山田 武史(元横浜、ソフトバンク→トヨタ自動車)の出身校でもある。毎回の大会では常に優勝候補の一角に名前が挙がり、悲願まで「あと一歩」と目される強豪校だ。

 その強豪校に17年末、ちょっとした「サプライズ人事」があった。元プロ野球選手で社会人のセガサミーやNTT西日本、ソフトバンク3軍監督などを歴任した佐々木誠氏が監督に就任した。鹿児島県内では09年4月に元西武の青木和義氏が母校・出水中央の監督に就任(※現在は退任)して以来となる元プロ選手の監督である。OBでも、出身地でもない鹿児島で、初めて「高校野球」の世界に身を投じる佐々木監督が目指すものは果たして何か?

選手と同じ目線で



佐々木監督は「選手と同じ目線」を意識した指導を心掛ける

 「身体がとても大きくて、声も大きかったので、怖い監督さんなんじゃないかと最初は思っていました」。

 山口颯馬主将(3年)は最初に会ったときの印象を語る。

 「当然、今まで見てきた世界よりはレベルが下がるわけですから、高いところから見ないように、なるたけ同じ目線で見てあげるように心掛けています」

 初めて高校野球を教えた約半年間の感想を、佐々木監督は述べた。

 現在の高校生が生まれた00年代にはすでに引退していたが、80-90年代にかけて南海、ダイエー、西武などで活躍。88年の日米野球ではワールドシリーズMVPのハーシュハイザーからホームランを打ったこともある。走攻守3拍子そろった外野手として、全盛期には「MLBに最も近い」との評価もあった。NPBはもちろん、日本の社会人やMLBのマイナーリーグや独立リーグにも携わった経験がある。日本や米国の「プロ野球」の世界に知悉した佐々木氏がなぜ50歳を過ぎて「高校野球」の世界に身を投じようと思ったのか。

 「自分でもどこかで求めていたものがあったんだと思います。社会人野球では一発勝負のトーナメント戦のヒリヒリした緊張感を経験しました。高校野球も同じトーナメント戦ですが、随分前に選手として経験しただけでよく覚えていません。高校野球には20年、30年と同じ学校で監督をされている方もいます。その魅力って何だろうと思っていました」

 明確に高校野球で指導者をしたいと思っていたわけではなかったが、プロ選手の学生野球指導資格回復制度が大幅に改定された2013年にいち早く資格は取っていた。50歳代を迎えて「まだ身体が動くうちに、高校野球の世界を経験してみたい」と思っていたタイミングで鹿児島城西から声が掛かった。

【次のページ】 野球の楽しさを教える

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プロフィール

政純一郎
政 純一郎(つかさ・じゅんいちろう)
  • 生年月日 1974年12月18日
  • 出身地 鹿児島市
  • ■ 経歴
    鶴丸高校―同志社大
  • ■ 鹿児島新報で6年間スポーツ担当記者。2004年5月の同社廃刊後、独立
  • ■ 「スポーツかごんまNEWS」を立ち上げ、野球、バスケットボール、陸上、サッカーなど主に鹿児島のスポーツを取材執筆する。2010年4月より奄美新聞鹿児島支局長を兼務
  • ■ 著書に「地域スポーツに夢をのせて」(南方新社)「鹿実野球と久保克之」(同、久保氏と共著)
  • ■ Webでは「高校野球ドットコム」、書籍では「野球小僧」(白夜書房)「ホームラン」(廣済堂出版)「陸上競技マガジン」(ベースボールマガジン)「月刊トレーニングジャーナル」(ブックハウスHD)などに記事を寄稿している。
  • ■ 野球歴は中学から。高校時代は背番号11はもらうも、練習試合に代打で1打席、守備で1イニングの試合経験しかない。現在はマスターズ高校野球のチームに所属し、おじさんたちと甲子園の夢を追いかけている
  • ■ フルマラソンの自己ベスト記録は3時間18分49秒(2010年のいぶすき菜の花マラソンにて)。野球とマラソンと鹿児島をこよなく愛する「走るスポーツ記者」

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