初出場ながら選抜ベスト16まで進んだ 明秀日立(茨城)レギュラー陣の座談会!
4月4日まで行われた選抜で、初日に登場し瀬戸内を9回逆転で破り、続く2回戦の高知にも勝利。3回戦の大阪桐蔭には敗れたものの、全国クラスの相手に自分たちの野球を証明した茨城県の明秀日立。今回はレギュラー3人に集まってもらい、どんな冬を過ごして、選抜に向けて準備していたのか。そして、選抜に掛ける想いはどれほどのものだったのか語ってもらった座談会を振り返りたい。
【座談会参加メンバー】
強打の核はティーバッティングにあり
左から池田、芳賀、北野選手
―― 明秀日立といえばバッティングが持ち味だと思うのですが、冬場は特別なメニューはありますか?
芳賀 大成(以下、芳賀): 冬だからといって特別なメニューはないです。ただ同じ練習でもスイングする本数を変えるくらいです。普段は500以上はスイングをしていますが、強化期間に入ると、一日で1000スイングがノルマになります。
―― 明秀日立ならではと思えるバッティング練習はあるんですか?
芳賀: バックスピンをかける練習ができるように導入されたティー台は特徴的だと思います。今年の冬から入ってきて、あの台のおかげでチーム全員がバックスピンをかけるバッティングができるようになったと自分は感じてます。
―― ティーバッティングの話が出ましたが、明秀日立ではいくつかティーバッティング種類はあるのでしょうか?
全員: 5種類です!
―― その中でそれぞれ大事にしている練習方法はありますか?
池田 陵人(以下、池田): 自分は一度身体の前でバットで8の字を書いてから打つティーが大事にしています。
自分自身のスイングはしなりを使ってバッティングするのですが、 8の字の目的はそのしなりを使ってスイングすることなので、このティーのおかげでよりしなりを使ってスイングできるようになったと感じています。
北野 凱士(以下、北野): 一度バットを地面に下げてからグリップエンドを上に上げて打つティーがあるのですが、これが自分にはかかせないメニューです。
2段モーションのような形でスイングする癖があり、そのせいで時々振り遅れになってしまうのが自分の課題なんです。しかしそのティーのおかげで課題を解決することが出来たと感じています。
そのティーをすることであえて肘が伸ばせるようになるので、スムーズにバットを出せるようになって2段モーションが解決したからです。
芳賀: 自分に関しては一回身体をねじってから打つティーバッティングがポイントになっています。
自分の身体は他の選手に比べるとあまり大きくないので、打球を飛ばすには全身を使ってボールに力を加えないといけません。そのためにひねるという動作をバッティングに染み込ませたいので、ひねるティーは大事にしています。
―― 特殊なティーバッティングだと思いますが、最初に教わった時はどうだったのでしょうか?
芳賀: 最初の頃は難しかったです。やったことがないだけに始めた頃は不格好な感じではありましたが、何とか形にならすることはできました。
池田: 自分も1年かけてやっと分かってきたとは思います。
――自分が大事にしているティーを含めて、ご自身のスイングに効果が出ていますか?
芳賀: ねじるティーだけでなく、5つとも外すことのできないメニューだと思ってます。
実際にこれらを知ったことで自分の中でスイングの引き出しが増えたので、フォームを崩しても修正をするのが早くなったと感じてます。
池田: 自分も同じく調子を取り戻すキッカケであったり、調子のバロメーターであったりと色んな効果があるように感じてます。
また打球を飛ばす方法もティーバッティングから身に付けられていると思ってます。
北野: 自分はまだそこまで実感ができていないです。
ただ確かなことは、中学の頃にはなくて高校から始めたこのメニューのおかげで、バッティングが向上していることは実感できています。
基礎を大事に過ごした冬
明秀日立のノックの様子
―― ここからは守備やトレーニングについてお話を聞いていきますが、明秀日立の冬場の守備練習はどういった取り組みをしていますか?
芳賀: 内野手に関しては、その日の気温によってやるメニューは変わります。暖かければ、スローイングも含めたノックを90本受けています。あえて弱い打球なども打ってもらうようにするなどして、打球への入り方などの基本を確認して身体に覚えさせています。
しかし、寒い日だったらゴロの捕球がメインでした。このメニューだと数に制限はないのでかなりきついです。
池田: 外野手はとにかくアメリカンノックでした。寒い時にボールを投げて肩を痛めることは避けるためにも、外野手は球際を強くすることをテーマにしています。
―― それぞれ個人的にどのようなテーマをもって取り組んでいましたか?
芳賀: 入学当初からとにかく形を大事にしましたが、冬は昨秋よりもレベルアップしたいと思って取り組んでいました。ゲッツーの時の球出しの速さ・精度などをいかに正確かつ速くプレーできるか意識していました。
池田: 自分はバックホームの時の前へのチャージの弱さが昨秋までの改善点でした。その課題を克服するために、冬場はミスを恐れずに前へ全力でチャージすることがテーマでした。
北野: 自分に関しては、元々外野手でしたが、内野手も練習するようになったので、また一から勉強しています。打球に対する動き方から入り方といった基礎をゴロ捕りの練習から徹底してやるように心掛けていました。
――トレーニングに関しては冬場はどのような取り組みだったのでしょうか?
芳賀: 専門の方を今年から呼ぶようにして、週2回ウエートトレーニングをやるようにしています。
――専門の方が来たことでチームに変化はありましたか?
北野: 独自でやっていたトレーニングフォームから、専門の人に教えてもらった正しいフォームでトレーニングをやるようになって、スクワットやベンチプレスの上げられる重さが30,40キロくらいは増えました。
そのおかげで力がついて、打球も前よりも遠くまで飛ばせるようになったと感じています。
池田: 自分も前以上に重い重量でトレーニングをすることができるようになったので、プレーの質がかなり向上したと思います。
―― では、最後にセンバツにはどんな意気込みで臨んだのか聞かせてください。
芳賀: 自分は甲子園という舞台に行ったことがなかったので、不安でした。でも、甲子園でプレーをしたかったから厳しい練習を取り組んできたので、楽しみでしたし、悔いを残さないように全力を尽くしました。
池田: 小学生の頃に一度だけ応援しに行くためにアルプススタンドで試合を見たことがあり、その時はカッコイイ・夢の舞台という印象がありました。
その夢の舞台に立てることに感謝して、一球一球全力でチームの勝利のために頑張りたいと思っていました。
北野: 自分は下級生ですが、どの大会が甲子園に行ける最後のチャンスになるかわからないので、悔いが残らないように精一杯・全力でチームに貢献して1試合でも多く甲子園でプレーできるように頑張ろうと考えて挑みました。
―― 今回は様々なお話、ありがとうございました。
3人:ありがとうございました!
(文=編集部)