第456回 県立梼原高等学校(高知)「梼原らしさ」と「発展形」の融合2017年11月09日

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【目次】(ページ下部のフォトギャラリーもチェック!)
[1]「梼原だからこそ」できること
[2]練習試合を活用し、失敗は「その場で」解決する
[3]2016~2017チームが創った「発展形」をさらに広げるために

 2007年4月、高知県北部の山間部で少子高齢化に悩む梼原町の活性化策も担い、創部された高知県立梼原高等学校硬式野球部。2013年4月には町出身で2007年センバツで初出場の室戸をベスト8に導いた横川 恒雄監督を「教育委員会・社会教育スーパーバイザー」兼任で野球部監督に招へいすると、翌2014年夏には高知大会初のベスト8進出。その後も実績を蓄え、今夏ついに高知大会初の決勝進出を果たした。

 11年目での確かな実績。その源流にあるのは、人口3,500人あまりの梼原町ならではの「梼原らしさ」と現チームで創った「発展形」の融合である。

「梼原だからこそ」できること



高知大会準優勝を果たした高知県立梼原高等学校グラウンド

 最高地点で標高1,450メートルを越える四国カルスト台地を見上げ、峠と峠との間にささやかな街が広がる人口4,000人足らずの町。これがこの夏、高知大会準優勝を果たした高知県立梼原高等学校硬式野球部がある高知県高岡郡梼原町。当然、野球部のお兄さんたちは子どもたちにとってもあこがれの存在だ。

「今年4月と6月には高知県高野連の許可を得て、野球部の選手たちが小学生とキャッチボールをしたり、一緒に遊んだりする交流企画をしました。これからは地域と子供たちと指導者とが三位一体となってやっていくことが大事だと思います」

 梼原町教育委員会の一室でそんな話を始めたのは「社会教育スーパーバイザー・横川」の名札を付けた横川 恒雄監督・65歳。梼原町から伊野商に越境入学すると、投手として活躍。法政大では外野手に転じ、法政大4年時には中堅手の位置から3学年下の江川 卓氏(元巨人)のストレートを「ボールがものすごい勢いでホップしていたのを見ていた」逸話も持つ。

 卒業後は高知県の教員として伊野商では監督として1985年センバツ初出場初優勝につながる基盤を作り上げ、特別支援学校を経て転じた室戸でも選手9人から2006年秋季四国大会ベスト4。同県・高知の明治神宮大会優勝によって初甲子園が転がり込んできた翌年センバツでも初戦で名門・報徳学園(兵庫)に2対1・2回戦も宇部商(山口)に4対1でベスト8入り。準々決勝は熊本工(熊本)に3対5で競り負けたが「室戸旋風」はセンバツに爽やかな風を吹き込んだ。

 その後、室戸では小松 剛(法政大~広島東洋カープ~現:同球団広報)を育て、再び戻った伊野商で4年間指揮を執り、定年退職を機に帰郷。現在に至る横川監督は、単に硬式野球部を強化する仕事だけではなく、地域の協力を得つつ、地域社会と梼原高校硬式野球部がいかに地域活性化の両輪として共生していくかに力を注いできた。

 冒頭にあげた子供たちとの触れ合いだけでなく、大型連休前には花壇の草抜き。銀世界に覆われる冬には高齢者宅の雪かき作業にも参加した。

「グラウンドの中では野球人であれ、学校の中では野球人の前に高校生であれ」これが梼原高校野球部の根幹を為す考え方である。

 だからこそ、野球部練習には差し入れが連日のように届けられ、野球部寮にはふんだんな食材、朝夕には食事もそろい、この夏、高知県立春野運動公園野球場は、2時間近くかけてやってきた梼原町のみなさんで埋まった。だから選手たちは準優勝に輝いても口々に言う。「応援がすごかったのに申し訳ない」。
「梼原からこそできる」生活の中でつながる強い絆と絆は、これからも真の強さを形作る源だ。

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プロフィール

寺下友徳
寺下 友徳
  • 生年月日:1971年12月17日
  • 出身地:福井県生まれの東京都東村山市育ち
  • ■ 経歴
    國學院大學久我山高→亜細亜大。
    幼稚園、小学校では身長順で並ぶと常に一番後ろ。ただし、自他共に認める運動音痴から小学校入学時、早々に競技生活を断念。その後は大好きなスポーツに側面から関わることを志し、大学では応援指導部で4年間研鑽を積む。亜細亜大卒業後はファーストフード販売業に始まり、ビルメンテナンス営業からフリーターへと波乱万丈の人生を送っていたが、04年10月にサッカーを通じて知り合った編集者からのアドバイスをきっかけに晴れてフリーライター業に転進。07年2月からは埼玉県所沢市から愛媛県松山市へと居を移し、現在は四国地域を中心としたスポーツを追いかける日々を過ごす。
  • ■ 小学校2年時に福岡からやってきた西武ライオンズが野球と出会うきっかけ。小・中学校時代では暇さえあれば足を運んでいた西武球場で、高校では夏の西東京予選の応援で、そして大学では部活のフィールドだった神宮球場で様々な野球を体感。その経験が取材や原稿作成の際に「原体験」となって活きていることを今になってつくづく感じている。
  • ■ 執筆実績
    web上では『ベースボールドットコム』(高校野球ドットコム、社会人野球ドットコム、独立リーグドットコム)、書籍では『ホームラン』、『野球太郎』(いずれも廣済堂出版)、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)など。『甲子園だけが高校野球ではない2』(監修・岩崎夏海、廣済堂出版)でも6話分の取材・文を担当した。

    さらに野球以外でもサッカーでは、デイリースポーツ四国3県(香川・高知・愛媛)版・毎週木曜不定期連載中の『スポーツライター寺下友徳・愛媛一丸奮闘記』をはじめ、「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画社)、『サッカー批評』、web『スポーツナビ』など多数媒体での執筆実績あり。また、愛媛県を熱くするスポーツ雑誌『EPS(ehime photo sports)』でも取材協力を行っている。
  • ■ ブログ:『寺下友徳の「四国の国からこんにちは」』■twitterアカウント@t_terashita
    ■facebook: http://www.facebook.com/tomonori.terashita
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