第428回 県立静岡高等学校(静岡)「個性の引き出し」と「故障管理」による投手育成2017年04月17日

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【目次】(ページ下部のフォトギャラリーもチェック!)
[1]「良い」投球フォーム=「自分の長所を活かす」
[2]選手の未来を重視する「メディカルチェック」
[3]「自らの理論」を的確なメニューで伸ばす

 先のセンバツでも1勝をあげ、全国に通じる成績を残し続けている静岡。その売りの1つとしてあげられるのが「好投手の育成」である。今回はその根幹にある「個性の引き出し」と「故障管理」から静岡の投手育成メソッドに迫ってみた。

「良い」投球フォーム=「自分の長所を活かす」

栗林 俊輔監督(静岡)

 2017年WBC日本代表・増井 浩俊(北海道日本ハムファイターズ)。今年、大卒ドラフト候補として注目される明治大の183センチ右腕・水野 匡貴。2014年夏のエース・辻本 宙夢(駒澤大3年)に2015年センバツベスト8右腕・村木 文哉(筑波大1年)。そして現チームの最速144キロ左腕・池谷 蒼大(3年)。このように立て続けに好投手を育て上げているのが1896年創部、1926年夏の甲子園優勝をはじめ、甲子園出場は春16回・夏24回。近年では「古豪復活」を超え、全国屈指の強豪に成長した静岡県立静岡高等学校である。

 水野以下、そんなエースたちを2008年から指導してきたのが磐田南高校では捕手だった栗林 俊輔監督。ただ、指導の基本は「見守っているだけですよ」と話す。理由はこうだ。

「選手の元々の動きから矯正した投球フォームを私は『人工的な投球フォーム』と表現するのですが、必ずしもそれがうまくいくと思っていません。逆にそれが成長の妨げになるということがある。良い投手は、その本人が持っている長所、体の動き方をしっかりと理解をして発揮している。だから選手それぞれで、動かしやすい体の使い方というのがあると思います」

 自分の長所を理解していれば手を加えることはない。ただ「故障のリスク」があるとなれば話は別だ。
「体の使い方がかなり体の負担をかけていて、故障のリスクがあれば当然、直します。一番怖いのはあまり使い方が良くないのに、球速が出てしまうパターン。そういうマイナスがなければ、そのままにするというのが私の考えです」

 栗林監督は、フォーム改造の際も体の使い方、構造を理解しているトレーナの意見も採り入れ、選手との対話を欠かさない。
「人工的に教わったものというのは、本人が今までやってきた動きとは違いますから、最初はスピードも出ないと思います。それを納得した上で選手ができるのか?その兼ね合いが難しいところです」

 さらに、静岡ではこのような投球動作のみならず、トレーニングにも投手のフォーム作りの一環としている。
「投手陣がトレーナーと相談しながら投球フォームを作るのは、トレーニングの段階から始まっています。もちろん技術を習得するのは大事ですけど、それは上の世界で段階に応じてやっていけばいいと思っています。まずはケガをしないこと。故障しにくい体を高校時代に作っておくこと。そうすると、上の世界では技術習得に集中できますから」(栗林監督)

 では、これまで活躍してきたエースたちの共通項とは?指揮官は「自分のフォームの特性を理解した上で、そこに工夫を加えること」と語る
「たとえば昨年のエース・村木は、入学から目に見えて変わった部分はない。ですが、トレーナーや、投手コーチの方々と相談して、本人の中でうまくアレンジしながらやっていました」

 デリケートな投球フォームは選手が理解した上で進める。これが「静岡流・投手育成法」第1の柱である。

【次のページ】 選手の未来を重視する「メディカルチェック」

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プロフィール

河嶋宗一
副編集長 河嶋 宗一
  • 出身地:千葉県
  • ■ 現場第一主義。球児に届けたい情報とあれば日本だけでなく海外まで飛び回る。
  • ■ 副編集長、またドットコムのスカウト部長と呼ばれ、日本全国の隠れた名選手を探索。
  • ■ 幅広いアンテナと鋭い観察力でダイヤの原石を見つけだす。
  • ■ 編集部の理論派として、今日も球場に足を運ぶ。
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