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第408回 県立武岡台高等学校(鹿児島)「誰でも出来ることを徹底して積み重ねることが進化につながる」【後編】2017年01月09日

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【目次】(ページ下部のフォトギャラリーもチェック!)
[1]一戦ごとに成長
[2]「この差」は縮まったのか?

「この差」は縮まったのか?

ランニングする武岡台の選手たち

 九州大会出場がかかった準決勝れいめいが相手。決勝鹿児島実に勝ってこの大会を制した強豪私学を相手に、7回まで両者無得点で競り合い、8回裏に3点を先取されたが、9回表に代打・山下 駿哉(2年)のセンター前タイムリーで1点を返す粘りをみせた。8月末に同じ強豪私学の鹿児島実に0対11の5回コールド負けし、「この差を縮める」ことを練習場の見えるところに掲げて、取り組んだことに一定の成果はあったといえるだろう。

 選手たちの感じ方は様々だ。「回を追うごとに集中力が高まり、終盤に粘りをみせることができた」と永井主将は言う。宮田は終盤までれいめいの2年生左腕・中 鼓鉄と互角に投げ合い、再三のピンチを切り抜けた自負はあったが「最後の勝負所を抑えきれなかった」悔しさをより強く感じている。サードを守っていて「どの打者も気が抜けなかった」と山下慶。上位から下位まで、打順に関係なく飛んでくる打球に力があり、守備で気が抜けなかった。「点差以上の力の差はまだある」と山下慶には感じられた。

「善戦」「健闘」し「成長」の手応えも感じられたが、強豪私学との間にある「差」を覆すことまではできなかった。それはこれから始まる冬季トレーニングの取り組むべき「課題」を示してくれた。

 取材に訪れた12月1日はテスト期間が明け、冬季トレーニングに入る初日だった。この日のメインは体力測定。遠投、ベースラン、握力、体重、反復横飛びなどの項目を測定し1人1人記録する。「まずは身体づくり」(濱涯監督)が冬季の大きなテーマであり、そのためにも個々の能力を「数値化」し、それぞれの課題がどこにあるかを明確にし、それらがトレーニングを経てどう成長するか、元になる数字を最初で出しておく。

 1年生の宮田は「連投ができる身体づくり」をこの冬の課題に掲げる。宮田自身の成長もさることながら「宮田1人におんぶに抱っこのままではダメ。2年生投手陣に何とか一本立ちして欲しい」と濱涯監督は期待する。秋に4強入りしたことで「周囲からも注目される。春以降は負けられない戦いになる」と副主将の山下 慶は兜の緒を締めた。無心で挑めばよかった秋と違って、相手から警戒されマークされたときにどんな戦いができるか。この秋の4強を意味あるものにするためにも、春以降の戦いが重要になると感じている。

 れいめい戦で感じた「あと一歩の差」を覆すために、永井主将が向き合うテーマは「厳しさ」だ。自分を厳しく追い込むのはもちろんのこと、チームメートに対しても妥協なく厳しく接する。そうすることでお互いが厳しく追い込んでいきながら切磋琢磨し、高めあえる雰囲気を作っていきたい。

 濱涯監督が掲げる理想は「スキのない野球」だと言う。ホームランを何本も打つ打者や、球速150キロを出す投手を育てることよりも、「やろうとしてできなかったことが、できるようになる」ことを日々の練習で追求していく。例えば、1つでも先の塁を奪う積極性や、打球と守備位置を計算に入れる判断力を伴った走塁ができていなかったため、ヒットはたくさん打ったが「残塁が多かった」のを秋の大会の反省として挙げる。この冬は走塁練習を日々のメニューに組み込み、実戦の状況を常にイメージしながら、最短ルートで先の塁を目指す走塁をできるようにしたい。

 普通の高校生でもできるはずなのに、見逃してやれていなかったこと、徹底できなかったことをどこまで追求できるか。「普通の高校生」の集まる武岡台は、そこにこだわってこの冬更なる進化を目指す。「今日の俺の練習はこの差を縮めるものか?」を日々問いかけながら。

(取材・文=政 純一郎

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プロフィール

政純一郎
政 純一郎(つかさ・じゅんいちろう)
  • 生年月日 1974年12月18日
  • 出身地 鹿児島市
  • ■ 経歴
    鶴丸高校―同志社大
  • ■ 鹿児島新報で6年間スポーツ担当記者。2004年5月の同社廃刊後、独立
  • ■ 「スポーツかごんまNEWS」を立ち上げ、野球、バスケットボール、陸上、サッカーなど主に鹿児島のスポーツを取材執筆する。2010年4月より奄美新聞鹿児島支局長を兼務
  • ■ 著書に「地域スポーツに夢をのせて」(南方新社)「鹿実野球と久保克之」(同、久保氏と共著)
  • ■ Webでは「高校野球ドットコム」、書籍では「野球小僧」(白夜書房)「ホームラン」(廣済堂出版)「陸上競技マガジン」(ベースボールマガジン)「月刊トレーニングジャーナル」(ブックハウスHD)などに記事を寄稿している。
  • ■ 野球歴は中学から。高校時代は背番号11はもらうも、練習試合に代打で1打席、守備で1イニングの試合経験しかない。現在はマスターズ高校野球のチームに所属し、おじさんたちと甲子園の夢を追いかけている
  • ■ フルマラソンの自己ベスト記録は3時間18分49秒(2010年のいぶすき菜の花マラソンにて)。野球とマラソンと鹿児島をこよなく愛する「走るスポーツ記者」

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