第398回 聖カタリナ学園高等学校(愛媛)「『衝撃』のデビューにつなげた『経験と許容』」【前編】2016年12月08日

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[1]知識・経験持った指揮官「越智 良平」
[2]荒々しさを保ちつつ「緻密さ」を組み込む許容
[3]夏の愛媛大会ベスト8での「収穫と課題」

 2016年、愛媛の高校野球は松山市の聖カタリナ学園に始まり聖カタリナ学園に終わったと言っても過言ではない。4月、男女共学化に伴い新設された野球部は、夏の愛媛大会でいきなりベスト8に躍進。中予地区新人戦では松山商、秋は県大会1回戦(ベスト16)で優勝した宇和島東に敗れたが、1年生大会では中予地区を制し、11月23日の「愛媛県野球フェスティバル」では四国地区大学野球連盟の愛媛県高校出身1~3年生が集った「愛媛県大学選抜」を5対2で下す快挙を演じた。

 では、衝撃のデビューを飾った彼らは今、2年目へ向けてどんな取り組みをしているのか?前編では指導者を中心に夏の愛媛大会ベスト8につなげた「経験と許容」を振り返る。

知識・経験持った指揮官「越智 良平」

越智 良平監督(聖カタリナ学園高等学校)

 愛媛県松山市北部・北条地区にある「聖カタリナ学園セミナーハウス」。ここに隣接する長方形のグラウンドが聖カタリナ学園野球部の練習場である。取材日の練習はまずボール回し。ただ、選手は1年生33人のみにもかかわらず彼らの意識は非常に高い。「1・2・3!」とリズムを叫びながら常にステップを正しく踏み、正確なボールを投げようとしている。

「うまい、下手はともかく、こういった二拍子・三拍子の使い分けが大事。これとハンドリングを使ったボール回しは大学時代に決まるまで半日やらされて、神宮球場では『金が取れる』と言われるようになりました。どうせやるならそこまでやろうと思っています」

 このように狙いと到達点を明確に説明するのは今年3月まで石川県立小松高等学校で野球部監督。同校を2011・2012年夏の石川大会ベスト4、昨秋には県大会準優勝で65年ぶり秋季北信越大会出場に導いた実績をひっさげ、故郷の愛媛県へ戻ってきた35歳・越智 良平監督である。

 宇和島東では「理不尽だと当時は思っていたが、大学に入って野村 徹監督に一時、捕手の教えを受けた際、強いチームに必要な決め事を教えていることに気付いた」故・上甲 正典監督の下で2年・3年と遊撃手として甲子園出場。早稲田大では高校時代に続いて最高学年で主将を務め、春秋連続東京六大学リーグ戦優勝。特に早大4年時にはグラウンド上の立場は控え選手ながら、「翌年キャプテンになった比嘉 寿光(沖縄尚学出身・現:広島東洋カープ編成部)などの3年生にも『どんどん前に出ていけ』と話をして、影響力のある下級生が主体的に動くようにした」結果、同級生の和田 毅(浜田出身・現:福岡ソフトバンクホークス関連記事)1学年下の鳥谷 敬(聖望学園出身・現:阪神タイガース関連記事)、青木 宣親(日向出身・現:MLBヒューストン・アストロズ)。2学年下の田中 浩康(尽誠学園出身・現:横浜DeNAベイスターズ関連記事)、などの個性派たちをけん引してきた。

 早稲田大卒業後は保健体育科取得のため、同大人間科学部で科目履修生として2年間。その間、智辯和歌山の高嶋 仁監督の下で自家用車泊まり込みで1週間学ぶなど野球指導の基礎を学んだ。結果「これまで学んでいた『絶対こうでないといかん』という考えもなくなった」という。2005年4月からは金沢市工の1年間外部コーチを皮切りに、石川県教員採用試験に合格した小松商で商業科教諭を務めながら部長2年間。そして小松で保健体育科教諭・野球部監督を8年間務めたことが、故郷からの監督就任要請につながった。

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聖カタリナ学園 【高校別データ】

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プロフィール

寺下友徳
寺下 友徳
  • 生年月日:1971年12月17日
  • 出身地:福井県生まれの東京都東村山市育ち
  • ■ 経歴
    國學院大學久我山高→亜細亜大。
    幼稚園、小学校では身長順で並ぶと常に一番後ろ。ただし、自他共に認める運動音痴から小学校入学時、早々に競技生活を断念。その後は大好きなスポーツに側面から関わることを志し、大学では応援指導部で4年間研鑽を積む。亜細亜大卒業後はファーストフード販売業に始まり、ビルメンテナンス営業からフリーターへと波乱万丈の人生を送っていたが、04年10月にサッカーを通じて知り合った編集者からのアドバイスをきっかけに晴れてフリーライター業に転進。07年2月からは埼玉県所沢市から愛媛県松山市へと居を移し、現在は四国地域を中心としたスポーツを追いかける日々を過ごす。
  • ■ 小学校2年時に福岡からやってきた西武ライオンズが野球と出会うきっかけ。小・中学校時代では暇さえあれば足を運んでいた西武球場で、高校では夏の西東京予選の応援で、そして大学では部活のフィールドだった神宮球場で様々な野球を体感。その経験が取材や原稿作成の際に「原体験」となって活きていることを今になってつくづく感じている。
  • ■ 執筆実績
    web上では『ベースボールドットコム』(高校野球ドットコム、社会人野球ドットコム、独立リーグドットコム)、書籍では『ホームラン』、『野球太郎』(いずれも廣済堂出版)、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)など。『甲子園だけが高校野球ではない2』(監修・岩崎夏海、廣済堂出版)でも6話分の取材・文を担当した。

    さらに野球以外でもサッカーでは、デイリースポーツ四国3県(香川・高知・愛媛)版・毎週木曜不定期連載中の『スポーツライター寺下友徳・愛媛一丸奮闘記』をはじめ、「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画社)、『サッカー批評』、web『スポーツナビ』など多数媒体での執筆実績あり。また、愛媛県を熱くするスポーツ雑誌『EPS(ehime photo sports)』でも取材協力を行っている。
  • ■ ブログ:『寺下友徳の「四国の国からこんにちは」』■twitterアカウント@t_terashita
    ■facebook: http://www.facebook.com/tomonori.terashita
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