第366回 札幌大谷高等学校(北海道)【前編】2016年06月23日

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[1]昨秋の屈辱をバネに
[2]1年生エースを盛り立てる投手陣とクリーンナップ

 創部8年目の札幌大谷が、いよいよ本格的に戦力を整えてきた。北海道では唯一、硬式野球部のある付属中学からの内部進学組と、全道各地から集まってきた選手たちがうまく融合し、今春はついに初の全道制覇。2013年秋の全道大会準優勝以降、成績の振るわなかった新鋭校がようやくカラを破り、本物の力をつけ飛躍の時を迎えようとしている。

昨秋の屈辱をバネに

船尾 隆広監督の指示を真剣な表情で聞く選手たち(札幌大谷高等学校)

 ピリピリとした空気に包まれていながら、時間はゆっくりと流れている。マネジャー4人を含めた74人の部員が1つのボールに集中し、それぞれが次に何をすべきかを冷静な頭で考えている。地に足の着いた練習ができるようになった今、札幌大谷のグラウンドには確かな手応えが漂い始めていた。「まだまだ不満はありますけどね。それでもみんながそれぞれ役割を果たそうという感じにはなってきました」と、船尾 隆広監督(45)はサラリと言ってナインの動きを見つめていた。

 今春の札幌支部予選では、初戦の札幌北陵戦こそ7回コールド勝ちだったが、2回戦からはどちらに転んでもおかしくない展開が続いた。特に代表決定戦の札幌国際情報戦では4失策と守備が乱れ、それがことごとく得点に結びつくという、典型的な負けパターン。それでも1点差に迫られた8回途中から、3番手で登板した1年生エース・菊地 吏玖がしのぎきり、何とか逃げ切った。

「これまでなら完全に負けていた内容。まあ、そこでもうひと踏ん張りできたところが、成長したといえるんですかねえ」と指揮官はやや辛口だが、チームにとって自信になったことだけは間違いない。その証拠に全道大会では支部予選以上の粘り強さを発揮し、ついに頂点を極めてみせた。

 昨秋はこれ以上ない屈辱を味わった。札幌支部予選の準決勝、今春のセンバツ出場校となった札幌第一に0対10の5回コールド負けと、完膚なきまでに叩きのめされた。「あの負けがこのチームのスタートになりました。これまでと同じことをやっていたら、また同じ結果になりますから」と、船尾監督は冬場のメニューをガラリと変えた。投手陣には毎日ボールを持たせ、ローテーションを組んで投げ込ませてきた。野手陣も室内練習場で投手の生きた球を打つ実戦的なフリー打撃を繰り返した。

 オフ期間中も常に実戦感覚を持たせ続けたことで、自然と野球のことを考える時間は増えていった。「練習のための練習」になりやすい冬場の練習が「試合のための練習」になり、知らず知らずのうちに野球に向き合う姿勢も変わっていった。「選手にずっと言い続けてきたのは、試合の中での1球のボールの扱い方。まだ気を抜いたらすぐにミスが出てしまいますけど、大事に扱おうという意識は守備の面にみえてきてます」と、船尾監督は少しずつチームの変化を感じ取っていた。

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プロフィール

京田 剛
京田 剛
  • ■生年月日 1967年5月16日
  • ■出身地 大阪府
  • ■経歴 奈良県立郡山高校―龍谷大学
  • ■小2から野球を始め、高校時代は捕手。大学では4年間マネジャーで、4年の時は関西六大学野球連盟学生委員長。
  • ■大学卒業後は報知新聞大阪本社でプロ野球、アマ野球を中心に取材。2004年からは大阪学院大学で2年間、硬式野球部の監督を務める。その後は北海道の道新スポーツで約5年、野球を取材。
  • ■2015年にはり師、きゅう師免許を取得し、現在は「スポーツ鍼灸 はり悟空」を経営。鍼灸師としてスポーツ選手を中心に治療に従事する傍ら、スポーツライターとして執筆活動もしている。
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