第360回 県立加治木高等学校(鹿児島)【後編】2016年06月07日

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[1]春4強を振り返る
[2]チームに「総和」「相乗」が生まれるとき

 前編では、加治木の日々の取り組みの中から何が結果につながったかを解き明かしてきましたが、後編では選手達に春季大会を振り返ってもらいながら、チームの総和・相乗をどう作るかを考えていきます。

春4強を振り返る

準々決勝でシード大島に勝利し、4強入りを決めた加治木ナイン

 大会直前はインフルエンザの脅威にさらされた中で勝ち取った4強を、今選手たちはどのように考えているか。
「楽な試合は1試合もなかった。全部が苦しい試合だった」。リードオフマンの井料 央智(3年)は言う。1回戦から準決勝まで6試合で、先制したのは3回戦吹上戦だけ。残りの5試合はすべて相手に先制された。大会前の練習試合でもほとんど勝てなくて「このチームで本当に勝てるのか?」(井料)という不安もあったが、勝ち進んでいく中で、いつしか先制されても「慌てることなくいつも通り」と思えるようになった。

「力はないけど、強い相手には向かっていこうという気持ちはみんな持っていると思います」と海田 真裕主将は言う。春の大会の組み合わせ抽選会で、どこと当たりたいかを部員に尋ねると、に屈辱の初戦敗退した池田の名前が真っ先に挙がった。その池田とは4回戦で再戦し、9回裏、4番・海田主将のタイムリーで劇的なサヨナラ勝ちでリベンジした。

 5月の南日本招待野球では帝京(東京)と対戦。加治木の前に対戦した春優勝神村学園が2桁失点の大敗を喫し、尻込みしそうになったが「逆に開き直って、思い切ってぶつかり、全国クラスの強豪のどれだけ通用するか、楽しもう」という気になったと井料。1点を争う緊迫した好ゲームとなり、9回に代打・森下 泰生(2年)のレフト前タイムリーで同点に追いついた。その裏、サヨナラ負けだったが、春につかんだ手ごたえが甲子園常連校相手にも通用することが確かめられた貴重な経験だった。

 春の大会は「ベンチの雰囲気も良かった」と井料は言う。背番号20で三塁コーチャーだった吉村 謙吾副主将(3年)はどんな展開でも声を途切れさせないように、ベンチを盛り上げることを心掛けていた。「技術的なアドバイスをすることが僕にはできないけど、特に下級生でミスをした選手には、気持ちを切り替えて前向きに頑張れるような声掛けは意識しました」

 一戦ごとに「選手が自分に与えられた役割が分かってくるようになった」と前野 忠義監督は言う。意表を突くセーフティーバントを仕掛けるなど出塁にこだわった井料、池田戦、大島戦、ここぞという場面でタイムリーを放った海田主将、準々決勝準決勝では完投した堀田 千弘、インフルエンザにかかるまではリリーフでゲームを締めた竹 隼弥、ベンチを盛り上げた吉村副主将…1人1人が今自分に求められている役割を理解し、それをできる限りやり切ろうとして気がついたら4強に勝ち残っていた。

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プロフィール

政純一郎
政 純一郎(つかさ・じゅんいちろう)
  • 生年月日 1974年12月18日
  • 出身地 鹿児島市
  • ■ 経歴
    鶴丸高校―同志社大
  • ■ 鹿児島新報で6年間スポーツ担当記者。2004年5月の同社廃刊後、独立
  • ■ 「スポーツかごんまNEWS」を立ち上げ、野球、バスケットボール、陸上、サッカーなど主に鹿児島のスポーツを取材執筆する。2010年4月より奄美新聞鹿児島支局長を兼務
  • ■ 著書に「地域スポーツに夢をのせて」(南方新社)「鹿実野球と久保克之」(同、久保氏と共著)
  • ■ Webでは「高校野球ドットコム」、書籍では「野球小僧」(白夜書房)「ホームラン」(廣済堂出版)「陸上競技マガジン」(ベースボールマガジン)「月刊トレーニングジャーナル」(ブックハウスHD)などに記事を寄稿している。
  • ■ 野球歴は中学から。高校時代は背番号11はもらうも、練習試合に代打で1打席、守備で1イニングの試合経験しかない。現在はマスターズ高校野球のチームに所属し、おじさんたちと甲子園の夢を追いかけている
  • ■ フルマラソンの自己ベスト記録は3時間18分49秒(2010年のいぶすき菜の花マラソンにて)。野球とマラソンと鹿児島をこよなく愛する「走るスポーツ記者」

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