まるでプロの先発投手!?西純矢(創志学園)はとてつもないパワーアップを遂げていた!
27日、倉敷商に敗れ、ビッグ5の一角である西純矢(創志学園)の夏が終わりを告げた。だが、最後の試合となった西の投球はこれまでと比べても大きく進化が感じられる内容だった。
惜しくも敗戦するも能力の高さを発揮
西 純矢(創志学園) ※代表研修合宿で撮影
やはり本物だった。立ち上がりから最速148キロを計測。西を最後に見たのは4月の高校日本代表の研修合宿。その時は130キロ後半~140キロ中盤で、出力が抑え気味で物足りなさを感じた。制球力重視だと思うが、西らしさがなかった。
だが倉敷商戦のストレートはそれまでとは見違えるほどだった。キャッチャーミットまでグーンと伸びていくストレートは圧力があり、球場内の表示では最速154キロを計測。手元のスピードガンでも、最速150キロを5球計測。71球が140キロ超え、145キロ以上が56球。平均球速は145.25キロとまるでプロの先発投手のような平均球速の高さである。しかもそのストレートが低めに伸びてくる。ひざ元に140キロ後半の速球が決まりストライクコールが宣告された時は思わず唸らされるものがあった。
並外れた速球を投げる秘密として、投球フォームにある。西といえば、ワインドアップからゆったりと始動し、憧れの前田健太をモデルとした左足の上げ、体重移動を行う。この夏は左足に全体重が乗り、躍動感のある投球フォームとなっている。その分、雄たけびを上げたり、ガッツポーズすることも多くなったが、やはり西のフォームのメカニズム上、シャウトしたほうが潜在能力を発揮できるのではないか。
この夏は強い気持ちが乗り移った西らしいストレートだった。
また西はただ雄たけびを上げるだけではない。3回裏、エラーから二死一、三塁のピンチを招いたとき、西はエラーした選手を肩をたたきながら励ましていたのだ。その姿は優しい兄貴分そのものだった。その後、ポジショニングを指示したり、笑顔でナインに声をかける。だが、ピッチングでは闘志あふれる投球スタイル。感情をコントロールできるようになり、だいぶ大人になった。
今大会準決勝まで26回を投げ、わずか3失点、36奪三振と好成績したのもうなづけるものだった。
ストレート、精神面は見違えるような成長を見せ、130キロ前半の高速スライダー、110キロ前後のカーブを投げ分け、丁寧な投球を心掛けていたが、6回、7回と甘く入った変化球を打たれ、また空振りが奪える縦スライダーも見送られる姿もあった。10安打を打った倉敷商の戦いぶりは強かだったが、それでも2失点にとどめたのは去年からの成長点だといえるだろう。
ドラフト上位候補として呼び声が高い西。投手としての完成度の高さ、平均球速の速さ、将来性の高さ、目の前の課題を克服していく姿勢の良さと、今年の高校生投手でもトップレベルのピッチャーと印象付けるものがあった。
惜しくも甲子園出場はかなわなかったが、日本代表となって世界大会で投げる姿を見てみたい…。そう思わせるほどの成長ぶりを西純矢は示してくれた。
【1イニング別の最速】
1回 148キロ
2回 150キロ
3回 148キロ
4回 150キロ
5回 148キロ
6回 150キロ
7回 146キロ
8回 146キロ
文=河嶋 宗一
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