ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.20 市川悠太(明徳義塾)「高校生ナンバーワンサイド。10失点を成長の糧に」
ミレニアム世代の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。今回もドラフト候補としてハイパフォーマンスが期待される逸材を追っていく。
市川悠太(明徳義塾) 10失点を成長の糧にしたい高校生ナンバーワンサイド
高校生ナンバーワンサイドハンドの呼び声高い市川悠太(明徳義塾)
今年の高校生ナンバーワンサイドハンドと呼ばれ、明徳義塾の馬淵史郎監督からも「明徳史上ナンバーワンピッチャー」と評された市川悠太。その市川が最後の夏、甲子園の土を踏めずに終わった。
しなやかでバネのある肉体をスピンさせた、躍動感あるサイドスローから投じる速球は常時140キロ中盤。この夏の大会前の練習試合で149キロをマーク。スライダー、フォーク、シンカーを投げ分ける投球は近年の高校生にはなかなかいない完成度の高さであった。その市川が高知大会決勝で10失点。
そのピッチングを見ると、高知商の高度な打撃技術に驚かされたが、市川は走者を背負うほどボールが高めに浮きやすいという欠点があった。
敗れた高知商戦。ボールの勢いや制球力は決して悪くない。ランナーがいないときの市川のピッチングは素晴らしく、常時140キロ~140キロ中盤の速球、120キロ前後のスライダー、カーブ、フォーク、シンカーを低めに集め、速球も変化球も外角ギリギリへ投げ分けることができていた。これを見る限り、とても打たれる予感はしないが、走者を出すと、スライダー、ストレートが高めに浮いてしまう。
それが命取りとなり、10失点を喫した形だ。逆にいえば、走者時のピッチングの対応を突き詰めることが将来、プロで活躍するためのカギといえる。
昨秋は公式戦ですべて完投勝利を挙げ、神宮大会優勝。選抜、夏での躍進が期待されたが、この1年は市川自身、満足いく成績は残せなかった。だが、常時130キロ後半~140キロ前半だった速球は140キロ中盤となり、変化球の種類も増えて、パフォーマンスは確実に上がっている。
また、市川は侍ジャパンU-18代表の一次候補に名を連ねているが、市川は選出されるか。もし選出されれば、これまでの集大成をアジアの舞台で見せてほしい。
文=河嶋宗一