Column

ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.22「小園海斗」

2018.08.06

 ミレニアム世代の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。今回は日本代表を経験し、世界から刺激を受けた小園海斗報徳学園の甲子園出場の原動力となった彼の高校3年間の歩みを振り返りながら、そのプレーの凄さを見ていきたい。

小園海斗(報徳学園)「世界を知り、進化を遂げた高校生ナンバーワンショート」

ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.22「小園海斗」 | 高校野球ドットコム
小園海斗 (報徳学園)

 これ以上ないエリートコースだ。中学時代は侍ジャパンU-15代表を経験、1年春からレギュラーとなり、2年春には選抜ベスト4、2年夏には侍ジャパンU-18代表として世界大会を経験。そして最後の夏の甲子園出場。今年の高校生を代表するショート・小園海斗の成長を支えるものはなにか。

 中学時代から抜群のスピードを武器に縦横無尽に駆け巡った小園。「HOTOKU」ユニフォームのカッコよさに憧れ、名門・報徳学園のユニフォームに袖を通すと、報徳学園の細かい野球を学ぶ。中学時代にやったことがなかったバントを徹底的に磨き、守備では厳しい状況設定を設けた実戦形式のノック、捕球練習では、置いてあるボールにダッシュをかけて最後は刻んで捕球する形と、捕球態勢でのゴロ捕りなどを行い、超高校級の守備力を身に付けた。

 そして昨年のカナダ・サンタ―ベイでの「WBSC U-18ワールドカップ」はさらに高いレベルを目指すきっかけとなった。清宮幸太郎安田尚憲中村奨成とドラフト1位を受ける1学年上の先輩スラッガーを間近で見たことは大きな学びとなり、小枝 守監督からは打撃面で、「腹筋と軸足の内側への力の入れ方」を学び、体幹とタメの作り方が変わり、今でも実践し、パワーアップをもたらした。

 そしてショートでは、日本ではなく、世界のライバルに衝撃を受けた。それが昨年、ワールドカップ優勝を果たしたアメリカ代表のショート・ ブライス・トゥラング(Brice Turang)だ。その後、今年のMLBドラフトで、ブルワーズから1位指名を受けるブライスについて小園は「肩もすごく強いですし、守備もアグレッシブ。彼のプレーで球場が沸く感じでした」と語る。そして今ではブライスを超えることを目指し、遊撃守備のレベルアップを目指してきた。

 最後の夏を迎えた小園は攻守両面で成長を見せた。まず守備。最近になり、高校球児はプロ野球の選手に影響されて、インフィールドより後ろに守る選手が多くなったが、小園はその資格がある選手だ。このラインで守れる選手は、一定以上の肩があること。そしてもう1つ見逃してはいけないのは、前目の打球に対し、アウトにできるダッシュ力、持ち替えの速さ、動作の速さがあるか。これができなくて内野安打にしてしまう高校生が多いが、小園のダッシュ力は高校生のレベルを超えており、日本のショートにありがちな、体の正面に入るのではなく、捕ることを重視した動きの良さは高校生のレベルを超えている。

 打撃面では滝川第二戦で決勝本塁打。中堅120メートルの[stadium]姫路球場[/stadium]のバックスクリーンに打ち込む本塁打となった。

 確かな努力を続け、ついにつかんだ夏の甲子園。今年の夏の甲子園、そしてドラフトの主役となる。

文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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