熱狂のドラフト候補対決!濱田太貴(明豊)vs戸郷翔征(聖心ウルスラ)
九州大会では最も注目されたのが、聖心ウルスラのエース・戸郷翔征と明豊のスラッガー・濱田 太貴の対決である。戸郷は昨夏2年生エースとして甲子園出場に貢献。濱田も2年夏の大分大会で18打数7安打、3本塁打11打点の好成績を残し、甲子園でも打率.600、2本塁打、9打点を記録し一気に名を挙げた。そんな両選手の対決が初戦で実現したのであった。
4月22日、[stadium]小郡球場[/stadium]のバックネット裏には各球団のスカウトが集結。2人の対決の行方を見守った。
一冬超えて戸郷・濱田の両選手は大きく成長していた。戸郷は昨秋から体重を3キロ増加して、78キロに。ストレートの球速も145キロまでスピードアップ。125キロ前後のスライダーが基本線だが新たに120キロ後半のスプリットを身に付け、投手としての幅を広げ、県大会では安定したピッチングで優勝に貢献。スカウトの評価を大きく上げていた。
濱田は変化球を打てる打者になるために、日ごろからマシン、あるいは打撃投手相手に変化球を打つ練習を重ねてきた。この春の大分大会準決勝では、高校通算36本塁打を放つなど調子を上げてきている。
まず第1打席。濱田は戸郷のスライダーをとらえてライト前へ鋭いヒット。戸郷にとっては自信があるスライダーを打たれたことはショックであった。
「あれほど自信があったスライダーをしっかりと打ち返されてびっくりでした。ストレートが打たれると思ってスライダーにしたのですが、スライダーを打たれて正直投げる球がないなと思いました」
第1打席にヒットを放った濱田に話を聞くと、スライダーの軌道はしっかりと見切っていたという。
「日頃から変化球を打っている練習をしていたので、良かったです」と笑顔を見せた。
そして濱田は第2打席、初球を打って右飛。濱田は「こすった当たりになってしまって、しっかりと捉えることができていれば本塁打にすることができていたのに、悔しかったです」と悔やんでいた。
第3打席。戸郷はこれまでの打席で使っていなかったスプリットを全球投げ込む。戸郷のスプリットは、持ち球の変化球でも最も速く、130キロを計測するほど。このボールで濱田を投手ゴロに打ち取った。
戸郷「投げてみて手ごたえをつかむことができました」
濱田「スプリットは全く頭になくて…。本当に良い球だったと思います」
ここまで3打数1安打で、第4打席を迎えた。
戸郷は引き続きスプリットを使う。だが濱田もファールで粘り、カウントは3ボール2ストライクからの7球目だった。ストレートを捉えられ、左前安打。
打たれた戸郷は「打たれたのはストレート。しっかりと打ってきて、さすがでしたね」と脱帽。
そして最終第5打席。戸郷は濱田の前の打者にタイムリーを打たれて、4点目を失い、ストレートのスピードも130キロ後半に落ちている。しかし「これまでの打席で、変化球も打たれていてどうしようかなと思ったのですが、最後は自分の得意球であるストレートで勝負することに決めました」と戸郷。
結果、戸郷は138キロのストレートで空振り三振に打ち取る。戸郷は「自慢のストレートで空振り三振に打ち取って気持ちよかったです!」と笑顔を見せ、濱田は「オーバースイング気味になってしまい、空振りになってしまいました」と苦笑いを見せた。
戸郷と濱田との対決は5打数2安打。戸郷は敗戦投手ということもあり、「まだ自分は県外の強豪校に通用しない投手ということが分かりました。でもこういうチームや濱田君と対戦できたのは楽しかったですし、しっかりと夏に生かしていきたいです」と敗戦の結果をしっかりと受け止め、また明豊・濱田との勝負を楽しんでいた。
濱田は「相手投手に『投げる球がない』と思わせることが僕の今年の打撃のテーマなので、それは実践できてよかったと思います」と、戸郷相手に自分のテーマ通りの打撃ができたことに喜びを感じていた。
こうして九州大会で大きな経験値を得た2人は、夏までにどんな進化を遂げるのか?
戸郷は言う。
「絶対に夏の甲子園に出場して、再び明豊と対戦して、今度は勝ちたいです」
今度は甲子園で火花が散るような戦いを期待したい。