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今年の高校生野手はビッグ4に注目だ!4人に続く好野手は?

2017.10.21

 今年の高校生野手は豊作年といわれるが、なぜ豊作といえば、一軍レギュラーが見通せる野手が多いということだ。一軍レギュラー、将来的には打撃タイトルを狙える野手は、清宮 幸太郎(早稲田実業)、安田 尚憲(履正社)、中村 奨成(広島広陵)、増田 珠(横浜)の4人だ。この4人は今年の高校生野手ビッグ4と呼んでいい。

4人の完成形は?

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清宮幸太郎(早稲田実業)

 この4人の中で、最も競合が予想されるのは、清宮 幸太郎(早稲田実業)だろう。高校通算111本塁打を放ち、うち4本が木製バットで、U-18大会でも2本塁打と、木製バットでも本塁打を打てる長打力を備わっている。ここまでの歩みを見ると、松井 秀喜級の活躍を期待したくなるはず。しかしU-18では、打率.219に終わったように、プロ級の投手の対応には時間がかかりそう。清宮だから別ではなく、やはり環境に順応するには時間を置く必要があることだ。高校1年の時から打てば、スポーツ紙の一面に話題を飾る清宮の話題性は人気商売のプロ野球にとって大きな魅力だ。だが、確固たる実力を身に付けてからデビューさせないと、尻すぼみに終わる可能性がある。獲得できた球団は慎重を期しての育成が必要となりそうだ。それがうまくできれば、打撃タイトルはもちろん、歴史に名を残すスラッガーである。

 安田 尚憲(履正社)は、高校3年生では2位となる65本塁打。やや動作が硬い部分が気になるが、ツボに来た時の飛距離は圧巻であり、なんだかんだでヒットゾーンに運ぶ打撃技術は木製バットでも発揮している。このパワーはプロ1年目でも二軍で強く発揮されるだろう。意識がかなり高い選手であり、試行錯誤しながら、より良いものを追求する姿勢が安田の魅力であり、プロの水に慣れたら、急激に打てる可能性を持った逸材だといえる。いずれは20本塁打~30本塁打を打てる可能性を持った選手だ。安田も十分に1位指名の可能性がある選手で、野手不足に悩む球団はある選手だ。

 中村 奨成(広島広陵)は、正捕手候補を狙いたい球団にとってはうってつけの選手。あれほど本塁打を打てるポイントを持っていて、抜群の強肩、フットワークを持ったスーパーキャッチャー。U-18で変化球の対応が課題となったが、1年目から二軍でしっかりと育成して、英才教育すれば、いずれプロでも打率3割・二けた本塁打を狙える強打の捕手へ成長する可能性は持っているだろう。地元・広島が1位指名を公表したが、単独で指名できるか、それとも競合となるかは蓋を開けてみなければわからない。

 増田 珠(横浜)は、甲子園で初戦敗退に終わったことで、3人と比べて控えめで見られているが、高卒1年目から一軍の起用も十分にあり得る選手。レベルが高い神奈川県において、公式戦打率.474、13本塁打、51打点を残した実績は素晴らしい。増田の良さは自分の動きをどう表現するのか、理解していることである。U-18でh絶不調に陥ったが、これは手首のけがにより、自分のイメージと実際の動きがかみ合わなかった。体の状態が万全で、自分の思い通りの表現ができれば、プロでも存在感を示す選手だろう。性格的に明るく、熱い選手で盛り上げ役にも最適。完成形は打率3割~3割5分、10本塁打~20本塁打を打てる選手になるのではないだろうか。本人が目指す数字は「2000安打」。増田をいち早く指名する球団はどこになるのか。

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有望な野手をポジション別で紹介!

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比嘉 賢伸(盛岡大附)

 今年は高校生遊撃手が数少ない、希少価値が高まる。まず遊撃手をピックアップ高校すると、通算37本塁打の強打の遊撃手・比嘉 賢伸盛岡大附)は、バットコントロールもよく、強く振れる資質を持った選手。比嘉は高く評価されそうだ。

 同じ遊撃手といえば、高校通算48本塁打の園部 圭太いわき光洋)はスイングスピードが非常に速く、打撃動作の無駄を省きながら対応力を高めてきた強打の遊撃手。1年目から二軍のレギュラーで経験を積ませたい選手である。複数球団が注目する綱島 龍生糸魚川白嶺)、守備力が高い西巻 賢二(仙台育英)、高校通算39本塁打の高畑 光生高朋)にも注目だ。髙松 渡(滝川二)は塁間タイム平均3.8秒台を計測する超俊足の巧打の遊撃手。誰にもないスピードを持った野手である。明確な武器があるだけに、プロでは特徴を発揮しやすい選手といえるだろう。廣澤 伸哉(大分商)は好打堅守の遊撃手で、大分大会決勝まで勝ち進んだ。

また高校生遊撃手についで少ないのは高校生捕手である。今年はこのポジションの有力選手が少ない。少ないというより、プロ志望届を出せば、指名されそうな選手が進学・社会人なのだ。だから中村 奨成の人気は大きく高まっているのだ。高校生捕手で有力なのが強打強肩の捕手・村上 宗隆(九州学院)だろう。打撃技術の高さ、1.9秒台を計測する強肩ぶり、187センチ95キロという恵まれた体格。甲子園に出場していればもっと話題になっていたかもしれない逸材だ。村上をNPBの各球団がどう評価するのか。強肩捕手だと稲富 宏樹三田松聖)、木須 デソウザ フェリペ御殿場西)も面白いだろう。

 そして走攻守三拍子そろった大型外野手・西浦 颯大。脚力、守備力はプロでもやれるだけの力量は備わっているだけに、自分の能力を表現できるか。プロの水に慣れたら、想像以上の成長を見せる可能性を持った外野手だといえる。同じ外野手では西川 愛也花咲徳栄)も、豪快なスイングをしながら、本塁打、そして右、左に打ち分けるバットコントロールは芸術品。俊足であり、打てて走れる外野手。痛めていた右肩も、リハビリが順調で、少しずつ投げれるようになっている。心技体が万全ならば、しっかりと台頭する可能性を持った選手だ。

 徳島を代表する二刀流選手・折下 光輝新野)も評価が高い。高校通算48本塁打の永井 敦士(二松学舎大附)は、とらえた時の飛距離は圧巻で、走っても50メートル5秒8で、潜在能力は同校の先輩である鈴木 誠也にひけをとらないといわれるが、内角球を裁く技術、メンタル面で課題を抱えており、この課題を乗り越えていかないと、プロでは苦しみそう。時間はかかる選手ではあるが、打撃を覚えれば、一気に開花する可能性を持った選手である。141キロ左腕だが、神奈川大会で2本塁打を打ち、打者としてアピールした日暮 矢麻人(立花学園)、勝負強く、走攻守三拍子揃った内野手・小椋 元太(一関学院)、高校通算38本塁打で、投げては最速143キロを計測する強肩三塁手・比屋根 彰人飛龍)も面白い選手だろう。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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