【小関順二のドラフト指名予想】東北楽天ゴールデンイーグルス編 「ドラフト1位の筆頭候補はスラッガータイプ」
東北楽天ゴールデンイーグルス 今季戦績
143試合 77勝 63敗 3分 勝率.550 パ・リーグ3位(10月10日現在)
脇役は揃った、今年はスラッガータイプの指名を
オコエ瑠偉(関東一高ー東北楽天)
楽天は今、チーム作りの真っ最中だ。攻撃陣はペゲーロ、ウィーラー、アマダーの外国人で中軸を構成し、日本人選手で長打率が4割を超えているのは茂木栄五郎の.492以外では規定打席に達していないオコエ瑠偉の5割しかいない。二軍まで目を広げれば高校卒4年目の内田靖人がファームで18本塁打、66打点を挙げているので将来の中軸候補だが、数が少なすぎる。
そもそも、スラッガータイプはあまり獲ってこなかった。08年以降では中川大志、西田哲朗、内田が数少ないそのタイプで、今のところ1人も大成していない。その代りにチャンスメーカータイプは岡島豪郎、島内宏明、オコエ瑠偉、茂木栄五郎、田中和基などを獲得、高い成功確率で戦力にしている。脇役は揃った、ならば今年はスラッガータイプの清宮幸太郎(早稲田実・一塁手)、安田尚憲(履正社・三塁手)が1位入札の第一候補になる。
清宮か安田か、難しい選択だが、2人の実力差はほとんどない。ならば競争率の低い安田のほうが〝お得感″はある。木製バット使用のU-18ベースボールワールドカップに出場、苦労する清宮を尻目に打率3割以上を記録し、強豪との対戦が続いたスーパーラウンド以降は打率.353、打点3とポイントゲッターの役割を果たした。清宮の高校通算111本塁打には及ばないが、65本塁打は松井秀喜の60本をしのぎ、あの清原和博の64本も1本しのいでいる。冒険する価値は十分にある。
2位以下でも獲れそうなスラッガータイプはいる。村上宗隆(九州学院・捕手)、増田珠(横浜・外野手)である。キャッチャーは嶋基宏が来季34歳を迎え、足立祐一29歳、小関翔太27歳という年齢を考えると、村上が5年目を迎えるとき3人は30歳を越えるベテランになっていて、嶋は恐らく現役ではないだろう。つまり、年齢の開きが絶好。強打者タイプの村上はディフェンス面も安定しているので狙い目の選手と言っていい。
楽天は外野のメンバーもいい顔ぶれが揃っているが、聖澤諒が来季33歳を迎え、岡島豪郎29歳、島内宏明28歳も中堅の年回りで、若手はオコエ瑠偉21歳、田中和基24歳くらいしかいない。ここに増田を入れて未来予想図に新風を吹き込みたい。
投手は先発タイプの獲得も視野に
金久保 優斗 (東海大市原望洋)
投手は期待された若手の伸びがいまいち鈍い。守護神の松井裕樹は別格として、釜田佳直4勝3敗、安樂智大1勝5敗が期待を裏切り、高校卒新人、藤平尚真が2勝4敗と健闘した以外ではリリーフで健闘した新人の菅原秀、森原康平、高梨悠平が頑張ったくらいである。エース・則本昂大のポスティングシステムを活用したメジャー移籍という問題が楽天にはある。実働5年間で64勝47敗という成績は来年オフにメジャー移籍騒ぎが起きますよ、という啓示でもある。強打者タイプの獲得とともに先発タイプの獲得も視野に入れたい。
もし野手を上位で指名するなら中位以降では阪口皓亮(北海)、尾形崇斗(学法石川)、遠藤淳志(霞ヶ浦)、金久保優斗(東海大市原望洋)、牧丈一郎(啓新)、北山亘基(京都成章)、山本拓実(市西宮)などが残っている可能性がある。
投手の上位指名を目指すなら、石川翔(青藍泰斗)、本田仁海(星槎国際湘南)、田中瑛斗(柳ヶ浦)あたりが狙い目になる。高校生の投手は失敗率が高い半面、松坂大輔、ダルビッシュ有、田中将大、前田健太、大谷翔平という球界を代表するエース級に育つ楽しみもある。「力が同等なら高校生を優先する」という哲学で選手を指名する球団だけに今年も高校性主体の指名を展開しそうである。
(文・小関 順二)
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