【小関順二のドラフト指名予想】東京ヤクルトスワローズ編 「最優先は即戦力投手か」
東京ヤクルトスワローズ 今季戦績
142試合 45勝95敗2分 勝率.321 セ・リーグ6位(10月3日現在)
超高校級野手・清宮の指名はどうなる
小川 泰弘(東京ヤクルトスワローズ)
■清宮幸太郎はヤクルトの補強ポイントか
マスコミの論調ではヤクルトは1位で清宮 幸太郎(早稲田実業・一塁手・右投左打・184/101)を入札すると言われている。残り1試合となった10月1日現在、チーム打率は12球団中11位の0.234。ならば当然、と頷いてしまいそうだが、チーム防御率4.17はリーグ最下位で、これも12球団中11位である(最下位はロッテ)。
リーグ成績5位だった16年は打率が2位、防御率が6位、優勝した15年は打率が1位、防御率が4位だから「打高投低」はここ数年常態化している。そして今月上旬には主力の小川 泰弘と星 知弥が故障したヒジを手術し、全治は未定だという。そんな状況で戦力になるまである程度の時間を要する清宮を指名する余裕があるのか。
■厳しい投手事情
小川、星が来季戦力にならないと想定すれば先発陣は石川 雅規、原 樹理、ブキャナン、山中 浩史、由規くらいしか名前が挙がらない。若手の寺島 成輝、梅野 雄吾や中堅の岩橋 慶侍の成長を見込んでも先発の顔ぶれはリーグワーストで、小川、星が予想外に早い復帰を遂げてもその立ち位置は変わらないだろう。リリーフ陣に関しても評価は変わらない。そんな状況で本当に清宮を指名していいのだろうか。
清宮の1位入札はセ・リーグでは阪神、DeNA、巨人、パ・リーグでは西武あたりが有力視されている。広島、中日、ソフトバンク、オリックス、楽天、ロッテは球団の体質や事情から見て、清宮には向かわないと思う。4~6球団が冷静に見て納得できる数だろう。
即戦力投手・田嶋が最有力か
田嶋 大樹(JR東日本)
投手で1位指名されそうなのは大学、社会人で田嶋 大樹(JR東日本・左投左打・182/74)、東 克樹(立命館大・左投左打・170/70)、永野 将司(Honda・左投左打・181/82)の左腕と、鈴木 博志(ヤマハ・右投左打・180/85)、馬場 皐輔(仙台大・右投右打・180/80)の右腕である。ヤクルトの投手事情から見ても、高校生投手の1位入札はないと思う。外れ1位でも大学、社会人の即戦力候補、外れ外れ1位でも即戦力候補、それくらいすぐ使える投手を必要としている。この中で即戦力度が最も高いのは田嶋なので、ヤクルトが1位入札で向かわなければいけないのは田嶋ということになる。
ストレートの最速は152キロを計測し、変化球はストレートと同じ腕の振りから投げるカットボールのキレが抜群で、100キロ台前半のカーブで緩急もしっかりと作れる。この田嶋にはオリックスも1位入札しそうなので、抽選で外れたら田嶋に次いで即戦力度が高い馬場が外れ1位候補になる。ストレートは最速155キロを計測し、それ以上に縦に割れるスライダーのキレや落差が一級品の本格派だ。
2位指名も即戦力投手主体で考えたい。ここからは入札ではなく成績下位球団から指名していくので、ヤクルトはロッテに次ぐ2番目ということになる(今年のオールスターゲームでパ・リーグが2勝したのでロッテ→ヤクルト……の順番になる)。
仮に1位で清宮、田嶋、東、永野、鈴木博、馬場、中村 奨成(広陵・捕手)、安田 尚憲(履正社・三塁手)、鈴木 康平(日立製作所・投手)、鍬原 拓也(中央大・投手)、石川 翔(青藍泰斗・投手)、田中 瑛斗(柳ヶ浦・投手)が1位で指名され、ロッテが田浦 文丸(秀岳館・投手)を指名すれば、ヤクルトは高橋 遥人(亜細亜大)、宮川 哲(上武大)、西村 天裕(NTT東日本)、高橋 礼(専修大)、鈴木 遼太郎(東北学院大)、草場 亮太(九州産業大)を指名できることになる。仮に田嶋、西村を獲得できても投手陣は厳しいままだが、清宮の当たりくじを引き当て、薄っぺらな投手陣を抱えて来シーズン戦うより賢明である。
(文・小関 順二)
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