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復調の兆しが見えた平元銀次郎(広陵)のストレート 完全復活の奇跡を起こす

2017.08.18

 三季連続甲子園ベスト4。走攻守に隙がなく、優勝候補・秀岳館を破ったのは名門・広島広陵だった。その原動力となったのはエース・平元銀次郎だ。正捕手・中村奨成は今大会3本目の本塁打で突き放し、プロ注目バッテリーはますます輝きを増している。

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平元銀次郎(広陵)※写真 共同通信社

 攻める気持ちが見えた。やはり投手はストレートをしっかりと投げられて初めて相手と勝負できる。そう感じた平元銀次郎の投球であった。

 最速146キロを誇る平元のストレート。広島大会では、長い腕をムチにしならせるようにして振っていき、145キロ前後のストレートを投げ込んでいた。広島の会場と甲子園で測定するスピードガンの違いはあるとはいえ、甲子園では140キロ前後。明らかにストレートが垂れていた。やはり投手は調子を維持するのは難しい。思い通りのストレートを投げられないのは、本人にとっては苦しいだろう。中京大中京の一戦は、カーブ中心のピッチング。いわゆる交わすピッチングだった。それでも6回を投げて8奪三振、2失点に抑えるところはさすがである。

 迎えた秀岳館戦。この試合のゲームバランスを握っているのは平元の投球であり、平元の投球がカギだと9日目の見所でも述べた。中京大中京戦と比べると、ストレートは140キロ前後とそれほど変わりないが、しっかりと角度があり、手元まで勢いが落ちないストレートとなっていて、十分に勝負できるピッチングだった。ストレートのコントロールも良く、カウントも取れるので、ストライク先行のピッチングができる。平元のマウンドの様子を見るとだいぶ落ち着きが見られた。

 平元の投球の変化で現れたのは、2ストライクからストレートで攻める投球が多くなったこと。1回戦では何度もカーブだったが、秀岳館戦ではストレート。リードする中村奨成の素晴らしいフレーミング技術と強気なリードに助けられ、快調なピッチングを見せた。

 球数少なく勝負できたこともあり、8回まで投げて8安打打たれるも、四死球は0、8奪三振。本塁打による1点にとどめ、さらに勝ち越しスクイズを決めるなど、投打に渡る活躍で、三季連続甲子園ベスト4の秀岳館を破った。

 これで3回戦進出。3回戦進出は準優勝した2007年以来である。2007年は、野村祐輔(広島)-小林誠司(巨人)とプロで活躍するバッテリーで勝ち進んだ。10年経って平元、中村のプロ注目バッテリーで勝ち進むのは、面白い偶然である。

 次は聖光学院。7年前、完封負けした相手である。中京大中京秀岳館と2校の名門を撃破した今年の広島広陵は選手層も厚く、打力、守備力も高く、さらに野球もきめ細かい。十分に頂点を掴めるチームとなっている。

 10年前、あと一歩で取り逃した深紅の大優勝旗。それを果たすには、平元が完全復活といえるピッチングを見せることである。連戦の中で、直球のアベレージを3キロ~5キロ取り戻すのは難しい。もし取り戻すことができたら、それは奇跡である。その奇跡が起こった時、広島広陵の全国制覇は大きく近づく。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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