広陵史上最高捕手・中村奨成!初の甲子園で鮮烈デビュー!!
今年、高校生ナンバーワンキャッチャーとして呼び声が高いのが中村奨成だ。広島大会では高校通算37号、38号本塁打を放ち、また抜群の強肩を見せるなど3年ぶりの優勝に貢献。そして中京大中京との一戦では、5打数4安打3打点の大活躍を見せ、高校生ナンバーワンキャッチャーに相応しいパフォーマンスを披露した。
打撃は二岡、肩は小林と先輩の良い所取りをした中村奨成
中村奨成(広陵) ※写真=共同通信社
逆転劇を呼ぶ本塁打となった。
6回表、2点を追う試合展開で、中村は中京大中京のエース・香村篤史が放った142キロの高めのストレートをライト席に打ち込む本塁打。この勢いでチームは逆転すると、8回表には、外角高めのストレートを右翼席へ飛び込む高校通算40号本塁打を放ち、観客を大いに沸かせ、高校生ナンバーワンキャッチャーという称号はうそ偽りがないことを証明した。
高校生の打者で外角高めのストレートをライト方向へ本塁打が打てる打者がどれだけいるだろうか。この技術の高さは、広島広陵OBの二岡智宏氏(現・巨人コーチ)を見ているかのような当たりだった。二岡氏も右方向へ本塁打が多い選手だったが、中村は甲子園で右方向へ2本塁打。これが成功体験となって、これからも右方向への本塁打が多くなりそうだ。
この試合の活躍を振り返ると豪快なホームランがクローズアップされるが、それ以外の2安打も対応力の高さを示すものだった。甲子園初ヒットは追い込まれながら、甘く入ったフォークをセンター前へ。内角、外角へ揺さぶられながらも、ヒットに。この1本が中村の気持ちを楽にさせたのかもしれない。こういう対応力の高さはとても大事である。そして7回表の第4打席も2ストライク1ボールから、左腕・伊藤稜が投げ込む139キロの内角ストレートを詰まりながらも左前安打。直後に初球盗塁。野球選手としての素質の高さを示した。
そして、守備でも、逆転した直後の6回裏ではバント処理をアウトに、また中村はフレーミング技術が高く、外角ぎりぎりのゾーンを内側に持っていくキャッチングで数多くのストライクを演出。リード面を見ても、投手の持ち味、相手打者の傾向をつかんだリードをしていた。
高校生ナンバーワンキャッチャーとしてこれ以上ないアピール。スカウトの間では、12人以内に消える選手というが、その言葉も大げさではないと実感できる。巨人で活躍する小林誠司二世と呼ばれるが、肩の強さは一級品で、小林に並ぶ肩の強さとスローイング技術があり、そして打っては二岡氏を彷彿とさせる右打ち技術。偉大な先輩の良い所取りをした中村奨成。
次は優勝候補・秀岳館と対戦。この試合でどんな活躍を見せるのか。この試合で得た自信を胸に強豪に挑む。
(文=河嶋宗一)
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