Column

驚弾の連続だった夏の清宮幸太郎 108本目はU-18で

2017.07.31

 清宮幸太郎の夏は甲子園まであと一歩というところで終わった。自身3度目の甲子園を目指して臨んだ第99回西東京大会。決勝戦で東海大菅生に敗れ、甲子園出場はならなかった。それでも最後の夏も西東京の主役であり続けた清宮。ラストサマーを迎えた清宮の打撃を振り返っていきたい。

高校生離れした技術を発揮!

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清宮幸太郎(早稲田実業)

 この大会の清宮の本塁打を振り返ると、技術面で驚弾というフレーズがぴったりだ。まず3回戦の都立南平戦。1回裏、第1打席。夏初打席でいきなり魅せる。内角高めの直球を振り抜いた清宮は、ライトスタンドへ飛び込む本塁打。右ひじをしっかりと畳んで、最短距離でバットを振り出す技ありの一打だった。それを夏初打席で打ち込む当たり、まさに役者。コールド勝ちを決め、4回戦に臨んだ早稲田実業

 4回戦の7月17日の都立芦花戦でも技ありの一打を見せた。7回表の一死満塁のチャンスで打席が回った清宮は、1ストライク1ボールからだった。外高めのストレートを振り抜くと、レフトスタンドへ満塁本塁打。公式戦初満塁弾となった。清宮は今年にかけて逆方向への打球が多くなった。1つはスイングの軌道に変化がみられること。清宮は基本的にレベルスイングだが、低めはアッパースイングで打ち込むなど、球種・コースに応じてスイング軌道に変化が見られ、打撃面の幅が増え、満塁本塁打はレベルスイングだが、手元で強く押し込んでレフトスタンドへ運んだ一打であった。

 清宮は以前から逆方向への本塁打やライナー性の本塁打が増えたことについて、「体幹トレーニングなど、しっかりとトレーニングをやってきた成果が出ている」と手応えを示すコメント。都立芦花戦の本塁打を見ると、夏へ向けて調整、トレーニングをしっかりとやってきたことを証明した本塁打でもあった。

 そして5回戦の法政大高戦では、3回表の第2打席、2ストライク1ボールからスローカーブをしっかりと引き付けてライトスタンドへもっていく本塁打を放った。法政大高バッテリーは緩急で清宮を崩そうとしたが、それに惑わされることなく、ライトスタンドへ打ち込んだ一打であった。これで高校通算106本塁打となり、タイ記録まであと1本にした清宮。準決勝の八王子戦の7回表だった。八王子のエース・米原大地が投じた低めのチェンジアップを左中間へ打ち込む高校通算107号本塁打で、記録に並んだのである。当たり前のように打つ清宮。そして高校生の左打者としてチェンジアップを逆方向のスタンドを打ち込むあたり、ただ者ではない。

 そして決勝戦。通算本塁打記録更新に期待がかかったが、3打数1安打に終わり、チームも敗れ、2年ぶりの夏の甲子園出場はならなかった。だが自分の技術を安定して出せる精神力の強さはさらに強くなり、進化を遂げていた。

 これで早稲田実業・清宮の高校野球はいったんピリオドを打ったが、まだ清宮は本塁打記録を更新する可能性がまだ残している。

 9月1日に開催されるカナダ・サンダーベイで開催される「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」に参加する高校日本代表チームの第1次候補選手に選出されているのだ。もし選出することになれば、本戦か、その前の壮行試合・OP戦で更新する可能性があるのだ。清宮の高校通算107本塁打を振り返ると、技術・飛距離すべてにおいて「驚弾」といえる本塁打が多かった。日本代表となれば、金属バットよりスウィートスポットが狭く、打球が飛びにくく扱いにくい木製バットで臨むことになる清宮。108本目のホームランは、次のステージで活躍を誓う清宮にとって価値のある1本になることは間違いない。

(文=河嶋宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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