クイックネストレーニング解説編(2)
四国アイランドリーグ・徳島インディゴソックス、ストレングス&コンディショニングトレーナーの殖栗正登です。前回に引き続き、「クイックネストレーニング」についてお話します。
トリプルフレクションで衝撃を吸収する
トリプルフレクション
【J】
ドリルの説明と目的
(A) オーバーヘッドスクワット ⇒ パワーポジションの確保
(B) ダイナミックストレッチ 開脚 ⇒ 股肉節のフロント・サイト、内旋、外旋
(C) ストップ動作ドリル
⇒ ストップ動作は最大スピードを止めなくてはならず強い筋力が必要となります。
話はかわりますが、バッティングやピッチングで接地した時、つっこみがでるのは単純に筋力不足という場合が多くあります。
守備なども、ストップ動作からキャッチ動作に繋がるので、ストップ動作ができないと重心が前につっこみ、重心を下げてキャッチする動作がでず、トンネルをする可能性があります。
守備も、まず、
(1)オーバーヘッドスクワット ⇒(2)骨盤の前傾動作 ⇒(3)キャッチング ⇒(4)移動 ⇒(5)ストップ
というような流れでドリルをつくっていきましょう。
■トリプルフレクションで筋肉を使って衝撃を吸収する。
トリプルとは下肢の関節の股関節と膝と足首の3つのことで、メインは可動関節で大きい動きの股関節であり固定関節の膝でロックをかけます。足首も可動関節なので、柔らかく使ってショックアブソーブに使いましょう。
特に股関節は80度~100度、膝は90度~110度、足首は70度~80度といった一番吸収しやすい角度で行います。
このようにバイオメカニクスにそった角度を、トレーニングから意識しなければ、その筋肉の収縮方法で力を発揮することができず、意味のないトレーニングになってしまいます。
一例として、キャッチ動作をあげるとすると、右脚の一歩目で急激なストップ動作をいれて、エキセントリック収縮で衝撃吸収。次に体が前に流れるのを2歩目の左脚で完全ストップ、そこからキャッチ動作に、となります。
ランナーならば横の動きのストップ、そこからのスタートとなる。素早く止まり、素早くスタートする、まさにクイック!
(1) スクワット(ウェイトトレ)
(2) スプリットスクワット
(3) サイドスクワット
(4) フロントランジ
(5) サイドランジ
(6) シングルスクワット
(7) ADシングルスクワット
これらは吸収動作を意識的に行いましょう。
(8) ボックスフォールストップ
(9) (8)のシングルで
(10) ダランヒルストップ
(11) ストップコーンドリール
スタート動作のドリル解説
パワーポジション
【K】スタート動作ドリル
野球におけるスタート能力は大切です。守備ならば10m内ですから、2歩で加速、盗塁なら27mなので3歩で加速しなくてはいけません。
スタートを切る方向は前、後、横が基本のドリルになりますね。
(a)パワーポジション
(1) 腰巾と肩巾の間に脚をおく ⇒ バランスを保ち爆発的にスタートが切れるポジション
(2) 構えは、1.スクエアスタンスか、前方への特化 2.スプリックトスタンスとなります。外野のバックホーム体系の時に使いますね。
(3) まず、膝は100度位の角度・踵をあげて・つま先~ヒザ~胸が一直線になるまで。上半身を前傾する・つま先~ヒザ~股関節は一直線・腕は脇をしめて、肘は回転半径を小さくするため、90度にキープする事。
(4) パワーポジション 90度ターン 180度ターンドリル、この姿勢を維持してとまること。
(b)重力を利用して、重心を移動させるドリル
(1) スタートでの最初の動作は重心移動です。理解すべき事は、「体重移動」と「重心移動」の違いですね。体重移動は右脚 ⇒ 左脚というように重心を移す事で、重心移動は止まっている所から重心を目的方向に移すことです。
(2) ここでの重心は、頭と腰の垂線と水平線を結んだ「合成重心」を理解して、重心を一番バランスのとれた位置にポジションをおき、目的方向に体ごと傾けて重心を移動させます。そして爆発的にトリプルエクステンションの下肢のパワーで早く重心を移動させるのです。
(3) 脚をだす、一歩目は反射、ブロック動作で脚がでる所からもう一呼吸待つことが大切です。そこまで充分に重心を移動させてから、重力の重心移動加速と下肢のパワーを融合させます。だから爆発的スタートとは、充分に重力を使い重心を移動する事と、下肢のパワーの2つのバランスのよい融合だ、ということです。
(4) ムーブメンドリル
⇒(ア) 正しいパワーポジションから(イ)ぎりぎりまで体をたおして(ウ) 1、2歩と前にすすむ(エ)トリプルエクステンション爆発的スタートドリル
※トリプルエクステンションとは1.股関節 2.膝 3.足首の下肢の3つの関節を一気に伸ばして(エクステンション)爆発的なパワーを発揮することをいいます。
(5) ヒップエクステンション~ポイントは骨盤の前傾です。もし、腸腰筋と内転筋が弱いと骨盤は後傾してしまいます。スタートの時後傾すると上体が上にあかり、前に爆発的にスタートできません。そのため、前傾することでハムストリングスにストレッチがかかり、SSCが使用でき、大きいパワーがだせます。そこから股関節を伸展させてパワー発揮させます。
[page_break:ポイント]ポイント
十の字ドリルなども取り入れよう
(6) ユーエクステンション~曲げた膝にはストレッチがかかり、予備動作ができており、股関節のパワーを連動していく役割を意識することが大切です。そのためには骨盤の前傾が絶対です。
(7) アンクル エクステンション~足首は一番筋力がないですが、大切な役割、方向指示の役割があります。なので可動性が大切です。
(8) 足底~足底は踵~小指球~母指球~指先が地面にふれるか、スタートを爆発的にきるためには母指球が大切で、足底の前面でもOKです。ここで地面を強く押しこみます(ける)。
(9) ファーストプッシュ~セカンドプッシュドリル
一歩目で、体の前掲がほどけないように地面をトリプルエクステンションでプッシュと同時に、逆脚を前に振り出します。次に、二歩のセカンドプッシュまで持っていきます。
・膝とつま先の方向
・母指球の押し込み
・股内節エクステンション
・前傾を意識して行うこと
(10) 足のつく位置~重心の内側に
(11) フットムーブメント~トリプルエクステンションで地面をおしこんだら、ふみだし脚で重心の内側に接地して、足底の前側のみ地面につけます。
(12) ポイント~1.正しいパワーポジションをとること 2.正しい重心移動 3.トリプルエクステンションでパワーを発揮 4.正しいフットムーブメント
(13) スタート&ストップドリル
5mと10mの間にコーンをたてて、今の4つを意識してスタート&ストップをくり返しましょう。
【L】サイド バックへのスタート
(1)左にステップを切るならば左脚をアジリティプッシュでひねりながらサイドにプッシュして、ふみこみ脚の右脚は重心の内側におきながら、つま先・ヒザを進行方向にもっていくフットムーブメントが大切です。
バックは、進行方向に90度においてアジリティプッシュをつかい、ふみこみ脚を重心の内側、つま先ヒザを進行方向に向けります。
(2)十の字ドリル 指示者のだした方向に素早く移動します。