【動画】部位別のトラブル処置法３

椎間板はプロテオグノヤンという保水性の物質を中心としてあとは繊維輪でかこんでいる。これがやぶれ1：膨隆するか、2：肢出するか、3：完全に遊離するかの3つにわかれ、またこれが脊髄をも圧迫すると、上肢、下肢に症状が出て神経根のみでは片方の上肢のみに症状が出る。特にC5とC6の間の可動域は大きく、C6の神経症状はでやすい。

C5：三角筋と二頭筋の筋力テスト
二頭筋　腱反射テスト
上腕外の感覚　ひつ感覚

C6：手首の背屈　筋力テスト
腕橈骨筋　腱反射テスト
親指の感覚　皮膚感覚

C7：三頭筋　屈曲　筋力テスト
三頭筋　腱反射テスト
中指　皮膚感覚テスト

C8：手を開く、閉じる　筋力テスト
小指の感覚　皮膚感覚

T1：手を開く　筋力テスト
肘の内側の感覚　皮膚感覚

以上の神経のテストをしてスパーリングテスト、ジャクソンテストの整形外科テストをして必ずドクターにMRI、X-Pの診断を受けること。治療は神経根のみなら、休んでけい引、済炎剤とブロック注射、2ヶ月ダメなら前方固定のオペ。脊髄症　一発外傷よりも狭窄の篤が原因のことが多く、保存していきながら脊髄症の症状がひどくなる前に椎弓の拡大形成術の後方除圧が必要となる。

[page_break:脊髄・脊椎損傷]

脊髄損傷はかなり重い外傷の1つである。一度損傷すると回復はできない。野球においてもすべりこみがもっとも危険である。ヘッドスライディングはなるべく避けたいところだ。骨盤をうてば、胸腰椎移行部が、頭からいけば頚椎をいためることになる。

A：環軸椎脱臼

頭部をうち、環椎横靭帯が断裂すると、環椎（首の骨の一番目）が前方に脱臼する。脱臼が大きいとその後方が脊髄を圧迫する。オペで固定する。

B：歯突起骨折

顔面からぶつかり首の骨の2番目の軸椎の軸、歯突起がおれること、転位が大きいと、脊損になる。頭をうち頚に痛みがでたら必ずMRI、X-Pをとること。

C：軸椎関節突起関節間骨折＝ハングマン骨折
頭が強くねじれ、軸椎と第3頚椎の椎間板が破綻して軸椎の関節突起間が骨折する。椎弓と椎体が引き離されるので脊髄は大丈夫、ハローベストで固定。

D：頚椎脱臼・facet interlocking

後頭部に強い外力がはたらいて頚椎が伸びて曲がる力が働くと、前上方に頚椎が押し上げられ脱臼する。この時椎間関節がずれて固定されることを、facet interlockingという。直遠けい引により整後するが不安定のこるために固定のオペが必要。

E：tear drop 骨折
頭頂部からぶつかり圧縮力+屈曲力で椎体前方に涙型の骨折片を生じることからついた、狭窄すれば脊損がある。

F：椎体の圧迫骨折
軸圧+屈曲力を体幹に生じると椎体の前方に圧迫骨折を生じる。椎体のみで脊損は少ない。

G：破裂骨折
F：の椎体の後方までいってしまうもの。脊損やマヒのおそれあり。

[page_break:現場での処置について]

今回は頚の障害、外傷についてお話させてもらいました。一番怖いものは脊髄損傷をうけて、上肢、下肢のしびれ、マヒ、筋力低下、手の巧緻障害、歩行障害、膀胱直腸障害がでることです。もし頭部を打って、頚に痛みが出たら必ずドクターに診てもらうことが大切です。私もトレーナーをしていて、一番の出来事はノックバットが選手の後頭部に当たった時です。救急車を呼んで、何事もなきを得たましたが、本当に何がおきるかわからりません。特にチームにトレーナーがいないチームは、指導者が最低限、障害の知識と応急処置と救急車のルートは確保するべきだと思います。

【参考　　整形外科テスト】

レリューテスト
頚椎の過伸展損傷のあと、椎骨動脈の走行異常、アテロームの変性があると、目まい、耳鳴り、目のかすみ、嘔気、発語障害、眼振がでる。
イートンテスト
バーナ症候群をみれる　ひきぬき状態を再現している。この時神経根の放散痛の位置を確認。
ジャクソンテスト
側屈し圧迫をかけての痛み椎間関節の痛み。放散痛があればヘルニアか神経根痛。のびた側の痛みは軟部組織の損傷。
Lhenmitte サイン
前屈で脊髄硬膜が刺激され、この時四肢にするどい放散痛があれば、脊椎性脊髄症。
O’Donoghue maneuven
痛い方向に自動的に限界にまわして痛みがでれば筋挫傷。他動的に動かされて痛い時は靭帯損傷。
Spinal percussion test
前屈させて棘突起上をたたく。疼痛があれば骨折or捻挫の疑い、放散痛ヘルニア。横の起立筋をたたいて、いたければ筋挫角、筋膜性の痛み。

(解説・殖栗正登）