「僕らの勉強方法、教えます!」佼成学園 (上)
第5回 「僕らの勉強方法、教えます!」(上)2011年10月04日
今年の春、東京都大会準優勝。夏の西東京大会では4強入りと、好成績を収めた佼成学園。ここは、都内でも有数の進学校の1つだ。
硬式野球部員の中には、佼成中学からそのまま進学してくる「中高一貫生」が多い。また、高校から入学してくる部員もいるが、高校2年次には、中高一貫生と同じカリキュラムとなり、難関国立大を目指す「特進コース」と国公立・私立大を目指す「進学コース」に分かれていく。最近はスポーツコースも設置され、部員数は以前よりも増えたものの、いずれのコースも、野球と勉強との両立が求められる。ちなみにこの夏、レギュラーを奪ったのは、成績上位者がほとんどだ。
今回は、中高一貫生で評定「オール5」のこの夏の主軸・山下雅人と、春先にケガをしてベンチ入りを逃したが大学でも硬式野球を続ける大野貴章の2人に、とっておきの勉強方法を教えてもらった。
勉強も野球も頑張れるモチベーションは、どこから?
”勉強でも野球でも、他の学校に負けたくない”
――勉強の成績はオール5。さらに野球でも東京都で準優勝やベスト4など、結果を残していた佼成学園ですが、なぜそこまで野球も勉強も、両方いい成績を出せたのでしょう?
山下選手(以下「山」) 勉強でも野球でも、他の学校に負けたくないって思いはやっぱりあります。そういう思いをみんな持っていました。練習時間は他の学校より短いけど、その短い中でも効率よくやる練習を監督やコーチから教わったり、自主練習でも自分たちで考えて取り組んでいました。
大野選手(以下「大」) あと、みんな仲良かったですね。それも、勝ち進めた理由の1つ。勉強でも、赤点を1年生の頃とっていた人も、今では全然とらなくなった。
みんなで、「赤点なくそうぜ」と言ってお互いに教え合ったりしていました。みんな、得意教科と苦手教科があるので。僕は、化学を2年生の時に山下に教えてもらっていましたね。
「山」 化学は丸2日間、みんなでずっと一緒に勉強していました。教えることによって、自分も覚えますし。そうやって、自分の得意教科をに教えたり、逆に分からない問題を他の部員からアドバイスもらったりしていました。
――勉強を頑張ることで、野球につながった部分はありますか?
「山」 勉強への集中力というのは、野球の集中力と近いですね。例えば小テスト前の5分間、短時間で集中して覚えると意外にたくさん覚えることができる。これは野球も短時間の集中力が大事な場面があるので、勉強とつながっていたりしますね。
――他にも、こんなことも出来るようになったということはありますか?
「山」 一打席ごと、一試合ごとに反省がしっかり出来るようになりました。打てなかった時、打てなかったら何でこのボール打てなかったのか?それを自主練習のメニューに組み込んでみる。打てなかった原因を自分で考えて、調べて、例えば「タイミング合ってなかったね」って言われたら、遅めのボールを打ってゆっくりタイミングとる練習を増やしたり。そういった自分の練習をノートに書いて記録で残していく。そうしないと、次に同じように打てなくなったときに、また原因が分からなくなっちゃうので。
「大」 あとは野球だけじゃなくて、勉強も頑張るとテストが終わったあとの達成感が味わえたり。
「山」 勉強をやっているからといって、野球のパフォーマンスが悪くなることはないです。勉強をやってれば、野球の集中力にもいい影響があると思う。佼成学園でも、この夏のレギュラーで出ていた選手で、クラスの成績上位者は半数以上いましたね。
――毎日、野球の練習に疲れてしまって、家に帰ってから勉強をする時間は取れないのではないですか?
「山」 家に帰ってからもずっと勉強をしているわけではないですよ。だから、授業中などやる時はしっかりやる、野球するときは練習をしっかりやる。遊ぶときは遊ぶという切り替えが大事だと思います。
次のページでは、数学の授業の受け方のポイントを山下選手と大野選手に聞いてみました!
数学は授業中で勝負!…もし眠くなった時は?
“どの問題でもいいので、ひたすらやり通すこと!”
――まず、『数学』の勉強方法として、授業の受け方のポイントを教えて下さい。
「山」 数学の場合は、公式を覚えないと問題が解けないので、授業中に覚えてしまう事が大事!練習問題も、公式にあてはめて解けるところまでやっておけば、あとは試験前に確認するだけ。もし授業で分からなかったことがあれば、休み時間に先生が残ってる間に聞いています。
「大」 確かに山下は、授業中に手を挙げていつも質問していますね。僕だったら、分からないところは、山下に聞いたり(笑)
やっぱり他の科目でも公式などは、授業中はノートを書いて、覚えられるところは頑張って覚えています。
あとは、テスト1週間前は部活が休みになるので、その時にノートを見ながら思い出して、詰め込みますね。野球やってる人は時間がないと思うんで、1つ1つの授業を大切にしないといけないと思います。
――授業中に眠くなることはないのでしょうか?
「山」 眠くなるけど、眠くなったときも、先生が大事なところを言っているときは頑張って集中します。そういう時は、他の野球部のやつらも、みんな苦しんでいる時間なので、誰かが「ここで一回、中座しましょうよ」と言って、先生に授業と関係ない質問したりしているうちに、目が覚めますね(笑)
――お互いに授業に集中するために助けあっているのですね。
「山」 そうですね。野球部がいい点も取りたかったら、やっぱり授業が一番大事。授業をしっかりやらないと、部活が終わった後だと疲れちゃうんで、1つ1つの授業を大切にしないと、授業に遅れていってしまいますから。
――数学の授業についていくために大事なことは?
「山」 どの問題でもいいので、ひたすらやり通すこと!単元で苦手を作らないこと!因数分解や図形、ベクトルなど苦手をつくらないようにして、分からないことがあったら友達や先生に聞くことが大事だと思います。
――すでに数学で分からないことだらけの人は、まず何からやればいいでしょう?
「山」 基礎からやりましょう。基礎ができなければ応用問題も解けないので。まず苦手な単元の一から取り組んだほうがいいですね。
次のページでは、ノートの取り方&24時間の使い方を紹介!
ノートには、オレンジ色が必須!
“覚えなきゃいけないところは、オレンジ色で”
――授業中のノートの取り方のポイントはありますか?
「山」 ノートは、覚えなきゃいけないところは、オレンジ色で書きます。これは試験前に、赤シートを使って隠しながら覚えるためです。また暗記するところ以外でも、先生が「ここが大事だぞ」と言ったところは赤で書く。ちなみに赤色は赤シートでは隠れなくて、ちょっと透けます。だから、オレンジがおすすめ!
オレンジで書いた暗記箇所は、試験1週間前に赤シートを使って覚えるのが、野球部スタイルですね。普段、家に帰ってから勉強できないと思うので、試験1週間前になったら効率よく勉強できるように、「テスト勉強の準備」を普段の授業中にしておくことが大事です。
「大」 あと、ノートを書くときは僕の場合は詰めずに、間を空けて見やすいように書くようにしています。詰め込むと後から見たときに、見にくいので。また、チョークの色ごとに、先生のマネをして、色分けしながらノートに書きこむと見やすいですね。
数学など試験前に、問題を解いていて分からなかったらノートを見直しています。
評定オール5の選手の24時間の使い方
――まず、平日の時間の使い方を教えてください。
「山」 平日は、朝練習は7時半から8時すぎまで。授業は朝8時40分から始まって6時間目が終わるのは15時。16時から19時まで練習して、家つくのは20時くらい。20時からお風呂と夕飯を食べると21時半。23時までに寝ています。
――家に帰ってから、勉強時間はあるのですか?
「山」 家に帰ってからは、宿題がある日は勉強しますが、なかったら野球ノート書いたりして、野球のこと考えたり、テレビを観たり。相当、暇だったら、ゲームもしたり。僕は自転車通学なので、通学時間に勉強もできないし、だからこそ授業で頑張るタイプですね。
「大」 僕は、電車が空いていれば英語の単語を覚えたりしています。あとは家に帰ってお風呂入って夕飯食べ終わると21時半か22時。そこから、すぐ眠くなるので20~30分後には寝てます。朝練があるので、次の日は5時半に起きていますね。
――2人とも、7時間以上は寝ているのですね?
「山」 しっかり寝ないと授業に影響するので、睡眠はしっかりとっています!
勉強も部活も両立するということは、そんなに特別なことをやらなくては、いけないわけではないのですね。それぞれの学校やクラスによって、勉強の仕方は様々ですが、やはり野球でも勉強でも結果を出すためには、普段の授業がとっても大事。そして、授業に集中するためには、睡眠をしっかり取ることも大切!これは、選手として体を作る上でも睡眠は必須ですね。24時間集中しなくても、メリハリをつけることで、文武両道が出来てしまう!そんな、佼成学園の山下選手と大野選手からのアドバイスでした!二人とも、大学でも硬式野球を続ける予定。今後の活躍にも注目です!
こちらのコラムの続きは次週10月11日(火)公開予定です。
(構成=安田未由)