Column

済美のグランドスラム、通算50勝、中学史上初150キロ!2018年「四国の野球」10大ニュース!

2018.12.26

 2007年2月に首都圏から居を四国地区に移し12年目。「さすらいの四国探題」の異名を背に四国球界でのホットな話題や、文化的お話、さらに風光明媚な写真なども交え、四国の「今」をお伝えしている寺下友徳氏のコラム「四国発」。

 2018年最終となる第27回では、極めて定番すぎて申し訳ありませんが、「四国の野球」10大ニュースをお届けします。

1位はやはり……あの夏の思い出

済美のグランドスラム、通算50勝、中学史上初150キロ!2018年「四国の野球」10大ニュース! | 高校野球ドットコム
星稜戦で「史上初」逆転満塁サヨナラアーチを放った矢野 功一郎

 一年が経つのは早いものです。ついこの前「今年は記念大会。明徳義塾がとってきてくれた明治神宮大会枠含めて、センバツ出場校はどこになるのかな?」と言っていたと思ったら、もう年の瀬。皆さまはこの2018年、どんな一年でしたか?私は……そんなことはどーでもいいので、今回は2018年「四国の野球」10大ニュースと称して、この一年を「四国発」的に振り返ってみましょう。では、さっそく10大ニュースの発表です!

1.済美、「史上初」逆転満塁サヨナラアーチに報徳学園撃破で夏甲子園ベスト4!

2.四国高卒2名、四国アイランドリーグplusから1名、四国出身1名がドラフト指名!

3.明徳義塾・馬淵 史郎監督甲子園50勝。50勝目はセンバツ逆転サヨナラアーチ!

4.高知中・中学軟式春夏連覇。森木 大智投手は日本中学史上初の「150キロ」マーク!

5.明徳義塾中・第35回記念全日本少年軟式野球大会で準優勝。全冠制覇にあと半歩。

6.高知県選抜&愛媛県選抜、「第18回全国中学生都道府県対抗野球大会」で4強入り!

7.JR四国、都市対抗野球でHondaに勝利。19年ぶり大会1勝をあげる!

8.松山中央ボーイズ「第48回全日本少年野球春季大会」ベスト4、四国Vでジャイアンツ杯も1勝あげる!

9.糸川 亮太(立正大2年・川之江卒)明治神宮大会優勝投手に。JFE西日本・河野 竜生(鳴門卒3年目)、浦 翔太郎明徳義塾~拓殖大卒7年目)も社会人日本選手権準V貢献!

10.四国アイランドリーグplusを制したのは6年ぶりの香川オリーブガイナーズ!

 1位はやはり夏の甲子園ベスト4の済美です。2回戦・星稜戦矢野 功一郎選手(3年)が放った史上初の逆転満塁サヨナラホームラン時、スタンドがうなり、固唾をのみ、一瞬の沈黙の後、大歓声に包まれた10秒余りの流れは、今でも忘れることはありません。そして準々決勝・報徳学園戦での、それまで三塁手専任だった池内 優一(3年・前主将)先発から山口 直哉(3年)につないだ中矢 太監督のベンチワークも震えが来た感覚を覚えています。

 2位はドラフト。市川 悠太明徳義塾~東京ヤクルトスワローズ3位指名)、土居 豪人松山聖陵~千葉ロッテマリーンズ8位指名)、鎌田 光津希(徳島インディゴソックス~千葉ロッテマリーンズ育成1位指名)は、すでに数多く取り上げていますが、ここで特記したいのはJR東日本から福岡ソフトバンクホークスドラフト4位指名を受けた板東 湧梧投手です。

済美のグランドスラム、通算50勝、中学史上初150キロ!2018年「四国の野球」10大ニュース! | 高校野球ドットコム
板東 湧梧(鳴門〜JR東日本〜福岡ソフトバンクホークスドラフト)

 徳島・鳴門高では最速132キロ・常時120キロ後半だった2年秋から、3年春はセンバツ1勝。3年夏には140キロも出してベスト8入り。正に「コツコツと」努力を続けた成長過程を、JR東日本入社後の5年間でプロ入りするところまで積み上げたのは称賛に値します。しかも、完璧なバランスを有したフォームと、完璧なイケメンフェイスは維持したままでというのも凄い(マジ話です)。

 彼ら4人にはぜひプロの世界で成功して頂き、今季日本一の胴上げ投手に輝いた福岡ソフトバンクホークス・森 唯斗(徳島・海部高~三菱自動車倉敷オーシャンズ出身)のように、後に続く球児たちに先鞭と憧れを残す存在となってもらいたいと思います。

[page_break: 「中学野球」5タイトルランクイン、2019年以降の四国高校野球に期待!]

「中学野球」5タイトルランクイン、2019年以降の四国高校野球に期待!

済美のグランドスラム、通算50勝、中学史上初150キロ!2018年「四国の野球」10大ニュース! | 高校野球ドットコム
150キロをマークした森木 大智(高知中)

 3位以下はご覧の通り。全ての項目に触れると2019年になってしまうので(笑)省きますが、中学野球のニュースはここに5項目入ったのは異例といえるでしょう。

 もちろん、高知中・森木 大智投手、明徳義塾中・関戸 康介投手、田村 俊介投手兼一塁手(なお、両選手は明徳義塾から県外他校に転校済)の活躍が大きなファクターを占めているのは間違いないのですが、その他にも松山中央ボーイズは優勝した「第10回少年硬式野球四国選手権大会」を取材した限りでは数多くのタレントを有しており、高知県選抜と愛媛県選抜にも生放送映像を見ると投手を中心に好選手が躍動していました。

 済美を除けばセンバツで明徳義塾が1勝、夏の甲子園で高知商が2勝。明治神宮大会で高松商が1勝とメモリアル大会としてはやや物足りなさが残った四国の高校野球ですが、彼らが四国地区の高校進学を果たした暁には、全国と戦っても勝負できるポテンシャルが整うはず。2019年以降の四国高校野球は大いに期待が持てるでしょう。

 これに対し、四国出身者が奮闘する一方でHondaを破る都市対抗金星以降が続かなかった四国地区の社会人野球。四国高校出身者が活躍する反面、10大ニュースに入る事項が残念ながらなかった四国地区大学野球。そしてNPBドラフト指名が1名に留まり、日本独立リーググランドチャンピオンシップでもルートインBCリーグ代表に後塵を拝した四国アイランドリーグplusは、奮励努力が望まれるところ。忘年でなく「望年」の心をもって2019年を迎えていきたいものです。

 それでは2018年も皆さまには大変お世話になりました。よいお年をお過ごし下さい。

(文・寺下 友徳

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.03.27

報徳学園が投打で常総学院に圧倒し、出場3大会連続の8強入り

2024.03.27

【福岡】飯塚、鞍手、北筑などがベスト16入り<春季大会の結果>

2024.03.27

青森山田がミラクルサヨナラ劇で初8強、広陵・髙尾が力尽きる

2024.03.27

【神奈川】慶應義塾、横浜、星槎国際湘南、東海大相模などが勝利<春季県大会地区予選の結果>

2024.03.27

中央学院が2戦連続2ケタ安打でセンバツ初8強、宇治山田商の反撃届かず

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード

2024.03.24

【神奈川】桐光学園、慶應義塾、横浜、東海大相模らが初戦白星<春季県大会地区予選の結果>

2024.03.23

【東京】日本学園、堀越などが都大会に進出<春季都大会1次予選>

2024.03.27

報徳学園が投打で常総学院に圧倒し、出場3大会連続の8強入り

2024.03.22

報徳学園が延長10回タイブレークで逆転サヨナラ勝ち、愛工大名電・伊東の粘投も報われず

2024.03.08

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.03.11

立教大が卒業生の進路を発表!智弁和歌山出身のエースは三菱重工Eastへ、明石商出身のスラッガーは証券マンに!

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード

2024.03.01

今年も強力な新人が続々入社!【社会人野球部新人一覧】