私学4強の壁がある「西愛知」と大激戦の「東愛知」【2代表制大会展望】
左:扇谷 莉(東邦)、右上:澤井廉(中京大中京)右下:松原絃介(愛知産大三河)
2018年は、1915(大正4)年に第1回大会が始まった現在の全国高校野球選手権大会が第100回大会を迎える。途中、戦争による中断があったものの、今日まで1世紀以上の歴史を作りあげてきた。
そして、18年の100回大会は記念大会となり、甲子園への出場校も増加される。記念大会で増枠となる地区では、どんな期待感があるのだろうか。通常の1代表から、2代表となる7地区の今季の動向を探ってみた。今回は愛知編だ。
愛知
【東愛知】東三河地区、西三河地区、知多地区
【西愛知】名古屋市内、尾張地区。
愛知県は過去二度の記念大会と同じ地区割りとなって東愛知と西愛知に分かれた。
歴史的にもう何十年も「名古屋市内私学4強の壁」と言われている愛知の高校野球だが、記念大会でも名古屋市内を二分することはない。従って中京大中京と東邦、愛工大名電に享栄の私学4強は同じ地区で戦うことになる。さらには近年躍進著しい至学館と徐々に復活を示している愛知もおり、名古屋市内地区の激戦は変わらない。そこに尾張地区が加わることになっている西愛知に属する各校にとっては、その厳しさは、記念大会だからといって、緩和されることはないといっていいであろう。
その西愛知は、上記6校以外で過去50年の中で甲子園出場実績があるのは愛知啓成と愛知黎明(当時弥富)しかない。それくらいに、名古屋市の4強に勢力が集中しているともいえるのだろう。それらに対して、強烈に対抗を示してきているのが、この夏の愛知大会でも決勝進出を果たした栄徳であろう。過去5年の中で2度の愛知大会決勝進出という実績もあり、もっとも初出場に近い学校ということが言えよう。
栄徳を秋の尾東大会で下して優勝した星城も台風の目となる可能性は十分に秘めているであろう。他には中部大春日丘、中部大一、尾張地区大会を制した愛知啓成に続いて清林館、大成に誉なども打倒名古屋市勢に挑む。公立では西春、小牧南などが健闘している。
また、名古屋市内県立校大会を制した天白や歴史のある旭丘、名南工なども注目される存在となろう。6校に続く名古屋市内私学としては名古屋国際、名城大附、名経大高蔵、大同大大同、同朋と愛産大工もひと暴れしそうだ。
東愛知は名古屋市勢との対決がなく、私学4強の壁を乗り越えなくてもよくなる記念大会は、勢いづけばどこにでもチャンスがあるとも言えよう。また、戦力的にも抜けた存在がなく大激戦となりそうだ。
東三河では豊川を筆頭として、夏のベスト4の豊橋中央と秋季県大会ベスト4の桜丘が3強だが、絶対的な練習量を誇っている渥美農に成章、時習館、小坂井、豊橋商、国府などの公立勢も続く。
西三河勢はさらに群雄割拠となっている。秋季県大会では準優勝を果たして、東海大会にも進出した愛産大三河が現時点での実績では筆頭だが、ベスト8に進んだ安城はじめ、夏のベスト8の豊田工、過去5年の間に夏の愛知大会で2度も4強入りを果たしている西尾東もチャンスはある。実績のある豊田西、刈谷も当然注目校だが吉良、岡崎工、安城東、知立東、刈谷北なども一波乱起こせそうだ。私学勢力も豊田大谷や安城学園、岡崎城西、杜若などが健闘しそうだ。
知多地区は大府の存在が絶対的だが、近年は東浦が健闘している。また、半田や横須賀、半田東などの進学校も健闘している。注目は日本福祉大附で、今秋は知多地区3位で県大会にも出場を果たし初戦も突破した。
なお、過去の記念大会は西は愛工大名電と東邦。東は古木克明選手のいた豊田大谷と大府がそれぞれ出場を果たしている。100回大会はどんな風が吹くのだろうか。
(文=手束 仁)