Column

清宮幸太郎、打撃練習から別格!そして主将としても頼りになる存在に

2017.09.01


主将としてチームを牽引している清宮幸太郎。世界を驚かせるバッティングを期待したい。

 第28回WBSC U-18ベースボールワールドカップが本日開幕する。今年の代表チームの主将を務めるのが清宮幸太郎早稲田実業)。高校通算109本塁打を誇るスラッガーであり、名キャプテンである。そんな清宮の大会前の状況を徹底レポートをしていく。

柔らかさと強さを兼ね備えた打撃

 いよいよ「日本のベーブルース」こと清宮幸太郎が2回目の世界大会に臨む。練習試合から清宮は自慢の長打力を披露。千葉工大戦日本大学戦で2試合連続本塁打。いずれも場外本塁打を放ち、木製バットの対応は問題なさそうだ。清宮の魅力は長打力だけではなく、三振を滅多にしないコンタクト能力の高さ。

 打撃練習になると清宮の凄さが際立つ。とにかく打ち損じが少ない。軽く振り抜きながらも、ライト、センター、レフトの三方向へ打ち分け、フルスイングすると打った瞬間、本塁打と分かる当たりを見せる。いわゆる「柔らかさと強さを兼ね備えた打撃」だ。この打撃を高校生でやっているのだから、ただものでないのがお分かりいただけるだろう。

 清宮は開催地のカナダでも有名になりつつある。地元紙クロニカルジャーナル(The Chronicle Journal)では清宮のことを、王貞治松井秀喜と比較される強打者で和製ベーブ・ルースと伝えている。バッティングを見ようと、見物客が食い入るように見つめていた。

 最後に練習を行ったのは今大会のメーン会場である[stadium]ポートアーサー球場[/stadium]([stadium]Port Arthur Stadium[/stadium])。この球場は、両翼約97メートル、中堅117メートルと比較的狭い球場。清宮は、「風もあるので、飛ばしにくい」と話したものの、練習では風関係なしの本塁打を見せたのだから、本戦でも長打が期待できそうだ。

このページのトップへ

[page_break:緩んだチームをしっかりと引き締める]

緩んだチームをしっかりと引き締める

 そして清宮は主将としても頼れる存在である。日本代表は、国内で大学生との練習試合を3試合行ったが、清宮は主将としても目立っていた。投手への声掛け、野手への気遣い。ポイントごとへの指示が的確で、さらに声が通るので、伝わりやすい。その様子を見ていたある大学硬式野球部の部員が「清宮ってめっちゃ良いキャプテンじゃん」とぼそっと漏らしたように、日に日に主将・清宮の評判が上がっている。

 思わず清宮についていきたくなるようなエピソードを紹介したい。練習試合初戦の千葉工大戦。4回終わって、6対0で日本代表がリード。しかし5回表に2点を取られてしまった。ここでベンチに戻った清宮がナインへ一言。
「2点取られたけど、2点取り返していこう!」
その2点を取ったのは清宮だった。5回裏、清宮はライトへ場外へ消える2ラン。しかも高校通算記録を更新する108号と、これほど頼りになる主将はいないだろう。

 しかしチームの状態はあまり良いとはいえなかった。国内の練習試合は1勝2敗と負け越しに終わり、カナダへ遠征。初日の練習を終えて、コーチから締まりがないと指摘を受けた。清宮は「ミーティングをするのか、悩みましたが、増田珠の後押しでミーティングをやることを決めました」
ナインを集めて、清宮はこう選手たちに伝えた。
「夏の大会はこんな空気じゃないよね。地方大会前の練習はもっと緊張感があるよね。だから今のチームは何か違うよねと話をしました」
つまり今のチームには厳しさと緊張感がないのが課題だった。そこを大会前になんとかしないといけないと感じていたのだ。
「遊びにきたわけではない。戦う集団にならないといけないと思っている」というように、清宮は、選手を時には厳しい声かけをしながらもチームをまとめた。

 最終日の練習は、日本の時よりも緊張感があった。選手たちの動きもきびきびとしていた。表情も引き締まった表情で、集中して練習に臨んでいた。そんな選手たちを見て清宮は、「良い雰囲気で練習ができていると思います」と笑顔を見せた。
これでチームはまとまった。あとは本番を迎えるだけ。初戦の相手はメキシコだ。清宮は2年前、1年生ながら出場した第27回WBSCワールドカップで、メキシコと対戦している。前回は12対0でコールド勝ちしている。
「メキシコは力があって、積極的に振れる選手が多い印象です。でも、うちみたいに細かい野球はできないですし、劣勢になると諦めるのが早い印象があります。なので、捉えどころを逃さず、突き放す野球ができればと思っています」
国際大会。何も知らない選手が多い中、こういう予備知識があり、戦いのプランも考えている選手が主将にいるのは、日本にとって大きなアドバンテージとなるだろう。

 9月1日、清宮幸太郎の第1打席に注目が集まる。

(文・河嶋宗一


注目記事
第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ 特設サイト

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.15

【春季東京都大会】日大豊山、注目の好投手を攻略し、コールド勝ち!指揮官「うちが東京を勝ち上がるには機動力しかない」

2024.04.16

社会人野球に復帰した元巨人ドライチ・桜井俊貴「もう一度東京ドームのマウンドに立ちたい」

2024.04.15

【福島】聖光学院は福島明成と「福島北・伊達」連合の勝者と対戦<春季県大会支部予選組み合わせ>

2024.04.15

【鳥取】八頭と倉吉北がサヨナラ勝ち、鳥取東と米子東も8強入り<春季県大会>

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.10

【沖縄】エナジックが初優勝<春季大会の結果>

2024.04.12

【九州】エナジックは明豊と、春日は佐賀北と対戦<春季地区大会組み合わせ>

2024.04.11

【埼玉】所沢、熊谷商、草加西などが初戦を突破<春季県大会地区予選>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.03.17

【東京】帝京はコールド発進 東亜学園も44得点の快勝<春季都大会1次予選>

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>