Column

3年生座談会 大船渡東高等学校(岩手)「学校の歴史を塗り替える偉業を達成した選手たち」【前編】

2017.11.26

 この夏、初の4強入りを果たした大船渡東。春では東北大会に出場するなど、春、夏通して躍進を見せた大会だった。今回はベスト4のメンバーだった選手たちに当時を振り返っていく。

野々村 和樹主将(3年)
岩城 大夢投手(3年)
志田 芳樹外野手(3年)
菅野 洸内野手(2年)

史上初が続いた春と夏

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座談会の様子

――2008年に開校した大船渡東はこの夏、初の4強入りを果たしました。夏はいかがでしたか。

3年生:楽しかったです。

志田:それが一番だね。

菅野:先輩たちと長く野球ができて楽しかったです。

岩城:本当か、お前〜(笑)

野々村志田:本当か〜(笑)。

菅野:本当です、本当です!

岩城:早く引退しないかな〜って(思っていたでしょ)(笑)。

菅野:思っていないです、思っていないです(笑)。

――今年は春も開校以来初となる岩手県大会で3位となり、東北大会に初出場。夏は自信を持って入れましたか。

全員:そうですね。

野々村:春に結果を残せたのでみんな、自信を持って夏の大会に入ることができました。そこはよかったと思います。

――チームはどんな感じでスタートしたのでしょうか。

志田:新チームって感じじゃなかったよね。1個上の時から出ていた選手が多かったから。

岩城:そうだね。

志田:(レギュラーは)ピッチャー、キャッチャー、セカンド、ショート、サード、レフト、センターが残っていて、ライトとファーストが1個上。今まで通りという感じだったね。

岩城:練習試合はあまり負けていなかったよな。

志田:地区は絶対に行けるって調子に乗っていた(笑)。

全員:うん、調子に乗っていた(笑)。

岩城:勝てるべ、と思ってやっていたね。

志田:負けると思っていなかったね。ただ、実際に勝ち上がっていった時はびっくりしたけどね。あれ? 勝っているみたいな。

菅野:すごく強かったです。

志田:今は?

菅野:今ですか…。今は先輩たちが強かったからどうしようかなという感じです。あの時は付いていくだけでした。

――その自信はどこから出ていたのでしょう。

野々村:中学生の頃から顔見知りだったから、(実力が分かっていて)自分は、自分たちの代は強くなるかもって思っていた。

志田:Kボールで県選抜入りした大船渡市の選手たちが結構、大船渡東に来たからね。

[page_break:選手を大きく変えたウエイトトレーニングとサッカー]

選手を大きく変えたウエイトトレーニングとサッカー

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岩城 大夢(大船渡東)

――秋の公式戦後はどんな感じでしたか。

岩城:俺は、体力不足と握力という課題が明確だった。それを埋めようとした。

志田:勝てるかな、が勝って自信になっていい経験になった。でも、俺はチャンスで打てなかった。勝負所での強さがなかった。

野々村:チームが1つの方向を向くことができた。俺の課題は守備と一瞬の判断力。

菅野:自分は体力を付けることが課題でした。

――冬はどんな練習をしましたか。

岩城:走って、ウエイトトレーニグをして、ティー振り込んで。

志田:サッカーをして。

全員:サッカーをして!(笑)

野々村:初めて、ウエイトもしたよね。監督も代わって、メニューが変わった。夏に前の監督が体調を崩して、今、部長の久保田先生が監督になった。そして、春から監督が眞下先生になった。

岩城:ウエイトは久保田先生が高校、大学でやってきたことを教えてくれた。

全員:楽しかったね。

志田:最初は(重さを)持てなかったけどね。

菅野:自分も全然、持てなかったです。

志田:でも、(数値が)上がってきたよね。最初は楽しみだったけど・・・。

岩城:新しい(取り組みだった)からね。

――だったけど。

全員:飽きました(笑)。

岩城:だんだん、今日もか〜って(笑)。痛ぇ〜って(笑)。

野々村:でも、数値が上がってくると楽しかったよね。

全員:うん。

野々村:上がったし!って盛り上がったね。

岩城:数値で目に見えるからね。

野々村:(トレーニング中は)みんなに囲まれて(笑)。いける、いける、いける、いける!って(笑)。上がったって(笑)。

志田:サッカーは楽しかったな。

全員:ハハハハハ

志田:楽しいし、体力がつくし。

岩城:普通にきつい。雪の上だからな。

志田:ずっと走り続けるし。

岩城:長靴履いてな。その長靴がパコパコ鳴って(笑)。

野々村:25分ハーフで。

志田:3チームに別れて、ローテーションで試合した。1チーム2試合ずつで。1チーム7、8人で足りないところに久保田先生が入ってくれた。

岩城:待っているグループは(鉄棒で)ひたすら懸垂(笑)。

志田:待っているチームもきつかったね。あとはロングティーを結構、やっていたね

岩城:ひたすらやったね。ウエイトやって、ロングティー。終わったら走って、体幹とかもやった。

志田:近くの神社まで走って行って、階段ダッシュも。

岩城:あれもきつかった。リレーで800メートル走った。

野々村:あれ面白かったでしょ。

岩城:いや、きつかった。足が速いから楽しいんだよ。

野々村:速くはないじゃん。

岩城:足が遅い人は必死なんだよ(笑)。

菅野:自分は走り終わった後、両足をつりました(笑)。

野々村:でも、懐かしいな。

[page_break:新監督の体制にも慣れ、ついに初の東北大会出場へ]

新監督の体制にも慣れ、ついに初の東北大会出場へ

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野々村 和樹(大船渡東)

――シーズンが始まってからウエイトトレーニングの成果は感じましたか。

岩城野々村:春はめっちゃ打球が飛んだ。

志田:俺は超不振だった。大スランプ。でも、肩が痛かったけど、ウエイトをやってからは思い切って投げられるようになった。筋肉が前よりもついた。

――そんな冬を過ごして春に監督が変わりました。

野々村:最初は戸惑いがあった。また、変わるんだって。新しい野球をやる自信がなかった。

岩城:俺は普通に受け入れた。

志田:ここでまた変わっちゃうのかって思った。

――眞下新監督のもと、春は東北大会初出場まで駆け上りました。

野々村:春は県(の頂点)を獲るつもりだった。

志田:シード権は絶対。

岩城:それは最低条件だったね。

野々村:東北大会に行きたいというのはあった。

岩城:仙台育英八戸学院光星と試合をしたかった。

志田:甲子園常連校と試合をやりたいなって話していたね。

岩城:(盛岡第)四高の時、眞下監督が円陣で言っていたの、よかったよな。シード権を取ったら、みたいな。ここからは楽しんだもん勝ちだ、みたいな話。

志田:『ベスト4になったらすごく楽しいぞ』みたいな話をされたね。

岩城:『10点取れ!』って(笑)。

全員:笑い

志田:春の県大会くらいから、眞下監督の野球にも慣れてきたよね。

全員:そうだね。

――個々の調子はどうでしたか。

岩城:痛いところもなく、全部、投げられた。春は楽しかった。勝てるし、抑えられるし。

志田:地区は打ったけど、県大会は不振だった。

野々村:あまり覚えていないけど、調子は良かった気がする(笑)。

――3位決定戦で花巻東に勝ち、初の東北大会の出場権を得ました。

志田:県大会の3位決定戦前のサイドノックでレギュラーのファーストがダイビングキャッチをしたら右肩を外してね。

岩城:起き上がらなかったね。

志田:ようやくムクッと起きて、俺の方に走ってきたなと思ったら『肩、外れた』って。試合前に(菅野が)大抜擢だよね。

菅野:緊張しました。ファーストを始めて2、3週間だったので。ファーストミットは部のものを使いました

岩城:マウンドからめっちゃ声をかけたな〜(笑)。

菅野:けん制球がバンバン来たのでビックリしました(笑)。

岩城:(笑)。内野ゴロに打ち取って、ファーストに送球したボールが俺に返ってくるたびに声をかけた。

志田:でも、いい場面で試合を作ってくれたからね

菅野:一番、大事な場面で打席が回ってきました。0-1からセンター前に2点タイムリーヒットを打てて良かったです。

志田:不安だったけど、たまたま結果を出してくれた(笑)。

全員:笑い

菅野:たまたまって言わないでくださいよ(笑)。

岩城:1年分の運を使い果たしたな(笑)。

菅野:運じゃないですよ(笑)。あれは実力ですよ!

野々村:言うなぁ(笑)。花巻東には勝つ気で行ったからね。

志田:勝てると思っていた

野々村:逆転されて、やっぱり強いなって思ったけど。

岩城:なんだかんだ、強いなって

菅野:エラーをしなくて良かったなと思いました。打球が飛んでくるたびに緊張しました。

野々村:ただ、キャッチャーが肩を痛めていたから、結構、走られたね。

岩城:秋はバッチリだったからな。エグかったな、秋の送球。

野々村:県でNo.1だよね。

志田:肩は(笑)。走られたらラッキーと思っていた。

野々村:走るなら、どうぞ、という感じだったね。

こうして初の東北大会に出場した大船渡東。後編では東北大会の経験や夏の大会を振り返っていきます。

(取材・高橋 昌江

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【僕らの熱い夏2017 特設ページ】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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