Column

3年生座談会 星野高等学校(埼玉)「創部史上初のベスト8 星野ナインの成長の軌跡」【前編】

2017.11.05

 今年の甲子園は花咲徳栄が埼玉県勢として初の甲子園優勝を成し遂げた。その埼玉大会も非常にレベルが高いものとなった。埼玉大会を振り返るにあたって、印象深いのが、浦和学院星野の一戦だろう。秋に浦和学院にコールド負けした星野ナインが、夏には延長12回まで及ぶ試合を演じた。この成長の裏には何があったのか。7人の中心選手に語ってもらった。

湯澤卓己 最速141キロのストレートは切れ味十分。スライダー、チェンジアップの切れ味も素晴らしい左腕。強豪大学進学予定。
清水正人 主に代打として、勝負強い打撃を見せる
風間啓汰 1番打者としてチャンスメイクに徹した
飯野優太 飯野勝監督の息子。クリーンナップに座り、投手としても活躍を見せる。
星野匡哉 主将。2番打者として上位打線につなぐ役割に徹した。
桜井駿樹 4番打者。夏でも2本塁打を放ち、スラッガーとして活躍。
佐々木 豊マネージャー プレイングマネージャーとしてチームをささえた。

秋、春は思い通りの野球ができなかった

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星野匡哉主将(星野)

――新チーム当初、どういう目標をもってスタートしたんですか?

星野:やっぱり先輩たちを超えることですよね。それを超えるために日々、やってきました。

――そういう中でやってきて、秋の県大会では浦和学院にコールド負け。この結果について皆さんはどうとらえていましたか?

星野:名前負けしてしまったところがちょっとはありました。そこがが敗因につながったと思います。

湯沢:負けても仕方がないという気持ちがあって、気持ちで負けてしまったところがあると思います。僕自体の調子はあまりよくなかったですね。

――秋が終わってからはどういう課題をもってやりましたか?

星野:自分たちは打撃が課題だと思ったので、打撃練習の割合を増やしました。守備は得意だったので、いつも通りやっていきました。打撃は集中してできたと思います。

――打撃は振り込みを増やした感じでしょうか?

星野:4か所バッティングに加え振り込みを増やした時期もあったり、1人1人の意識が変わったと思います。

櫻井:自分の場合、秋の浦和学院で、佐野涼弥君と対戦して、ストレートにはついていく自信はあったのですが、スライダーをうまく見極めることができず、その見極めとスイングスピードを高めるためにやってきました。ウエイト増やすことと、左右のバランスが大事なので、右ばかり振るだけではなく、左も振ることを大事にしてきました。

――エース・湯沢君はどういう課題でやってきましたか?

湯沢:今のままではだめだったので、走って体力をつけて、たくさん頭の中で考えて、投げ込みはしてきましたね。

――一冬こえてチーム状態はどうでしたか?

星野:初戦で負けてしまったのは、秋にベスト8に入ったことがみんなの心のどこかに、天狗になってしまったところがあると思います。

――初戦の試合を振り返ると

湯沢:正直やっちゃいましたね。あの時は春の地区予選から一番悪くて、ストライクを投げるのに精いっぱいな状態で、辛うじて県大会にいけたほどだったので、辛うじてが、県大会では通用しなかった感じですね。

星野:あの試合で感じたことは今まで湯沢に頼り過ぎたところがあったので、自分たちも打てず、点を取れなかったことが敗因だと思います。

[page_break:夏前で取り組んできたこと]

夏前で取り組んできたこと

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清水 正人(星野)

――課題は秋に続き打撃。トレーニングが中心になる冬から、春から夏は、実戦的な部分になると思いますが、どういう課題をもって、どういう練習をやってきましたか?

飯野:打率面にこだわりましたね。長打よりも広角に打てることにこだわりましたね。

櫻井:間を取ることを意識しました。自分は上下の動きが一緒になるときがあって、先に足がついて、そこから二呼吸をおいてスイングすることを意識してスイングしました。

星野:僕は打てないので、チームに貢献できるようにバントの練習をしました。正直、バントは得意ではないので、自主練習からバントの練習をしました。

清水:1球で決める。自分は9番打者打率が良くなかったので、1球で決める 続けてきて、夏は良い結果になったか分からないですけど、決められたところは決めあれた

風間:春は1番打者だったので、出塁することができなくて、1番が出塁すると、点が絡む場面が多く思いますので、出塁することからはじめました。

湯沢:ストライクが入るのができていなかったので、暑い中で100球、コースを投げる。1日100球投げることはなくて、投球は体力も作るし、感覚も投げるたびに分かってくるので、夏に向けてやってきました。春の負けを機に変わらないといけないと思いました。

――マネージャーの佐々木君は意識していたことはなんでしょうか?

佐々木:場の空気を乱さないことです。1年間スコアラーでベンチ入りさせていただきましたので、試合中、雰囲気で、この試合、「勝てるな」「負けるな」というのが分かってきます。なので、ここは口出ししないほうがいいなというのは感じられましたね。実はいま話せることなのですが、春の県大会でふじみ野に当たると決まったときはコールド負けになるんじゃないかと嫌な予感がしました。

――夏へ向けての練習の合間に抽選が入りますが、なんと初戦で、最速146キロ右腕・布川雄大君擁する武南と対戦します。

星野:正直、引くたびに籤運が悪くなる感じがしましたね(笑)一番良かったのは秋の大会でした。決まった瞬間、布川がいるとわかったので、ただBシードなので、手が届かない相手ではないと思っていました。勝てるか、勝てないかは半々な気持ちでした。

――布川対策でやってきたことは何でしょうか。

星野:マシンでかなり速い速度に設定して、さらに至近距離で打つ練習を繰り返しました。

櫻井:通常より3メートル前での設定だったんです。最初は当たらなかったんですけど、最終的には当たるようになりましたね。

[page_break:不安だらけでスタートした夏初戦]

不安だらけでスタートした夏初戦

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湯澤 卓己(星野)

――夏前は皆さんの状態はどうだったんでしょうか。

星野:よくはなかったですね。練習試合でもあまり勝てていなかったので。

湯沢:自分は調子が良かったですね。だんだん上がっていった感じでした。

――夏初戦を迎え、いきなり先取点を与えます。

星野:とにかく試合前は不安しかなかったですね。

湯沢:初戦、Bシードが相手。気持ちがふわふわしていて、あまり落ち着いていない感じで打たれてしまいましたね。4回裏、2点目を取られて、だいぶやばい感じがしたのですが、徐々にストレート、チェンジアップが良くなっていたので、自分のピッチングはできつつありました。

――打線は2回表、バッテリーミスで1点返しましたが、布川君のボールにもなれていったのでしょうか。

櫻井:実際打席に立ってみて、マシンの方が速い。高めは伸びますけど、高めは手を出せなければ、何とかなると思いました。変化球は決まっていなかったので打てると思いました。

――そして櫻井君は7回表、ヒットを打ちます。

櫻井:ストレートのスピードが落ちてきていたので、とらえられる感じがしました。目が慣れてきた部分もあります。

――この試合、初球から打っていることが多いのですが、これはベンチからの指示でしょうか?

星野:初球のストライクが甘いのはデータとして出ていたので、どんどん狙っていきました。

――そして10回表は失策で勝ち越し。10回裏、湯沢君はマウンドにあがりましたが、いかがでしたか。

湯沢:楽しかったですね。調子も上がっていて、しっかりと抑えることができました。

 こうして初戦を突破した星野ナイン。後編では、3回戦以降、そして浦和学院戦ではどんな気持ちで戦ったのか?振り返っていただきます!

(文=河嶋 宗一

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【僕らの熱い夏2017 特設ページ】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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