Column

3年生座談会 都立総合工科高等学校(東京)「秋、春の苦難を乗り越えて」【Vol.1】

2017.12.06

 この夏の西東京大会は高校通算111本塁打の清宮幸太郎のラストサマーが注目を集める中、都立高校が私学の強豪校に挑む姿は大きな感動を呼んだ。この大会で大きな印象を残したのが都立総合工科だろう。有馬 信夫監督が「いつも弱い弱いといいますけど、今年は最弱」というチームが、いかに日大三に競り合いを演じるチームになったのだろうか。今回は中心選手たちに話を聞いた。

<メンバー>
小島巧:捕手として、主将としてチームをまとめた
大河内輝也:日大三戦で先発した右サイドハンド、シンカーがウリ
棚橋明博:逆方向への流し打ちを得意とする右打者
石川幸之介:チーム一の長打力を持ち、主砲として活躍
大場朋:左のエースとして活躍
小野里剛:バットコントロールの良さはチーム一の左打者

精神的に弱いチームといわれ、秋、春も満足がいく成績は残せず

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都立総合工科

――新チーム当初について、チームの状態についてお聞かせください

小島 巧(以下、小島):新チーム当初から言われていたのは精神的に弱いといわれて、ずっといわれていましたね。課題だったのは、エラーした後の態度など精神面ですね。相手を戦う前に自分にまけてしまう選手が多かったので、そこに打ち克つことを課題にやっていました。

――秋の一次予選では都立昭和に負けてのスタートでした。

小島:相手の勢いに負けていましたし、相手の声にも圧倒され、自分の野球ができないまま終わってしまいました。エースの大場朋が3失点と頑張っていたんですけど、自責点は1で、守備のミスで大場朋をカバーできなかったです。

――守備も含め、この試合で出た課題は何でしょうか?

小島:守備よりも精神的、打撃面が課題となった試合でした。冬場はロングティーばかりやっていましたね。後は守備練習では、走りながら捕ったりする練習が本当に多くてそれはきつかった記憶しかなかったです。

――エースの大場君は秋の反省として、冬の練習にどう生かしてきたのでしょうか。

大場 朋(以下、大場):抜け球が多かったので、投げ込み、下半身強化を行ってきました。

――一冬超してからの公式戦。都大会出場を果たしましたが、内容としてはいかがでしたか。

小島:いや良くなかったですね。オフ期間、ちょうどグラウンドの改修期間で、実戦的な練習ができなかったんです。それで、調整が難しくて、春では結果が出なかったんですけど、その分、ロングティーをよくやったので、夏では打撃がだいぶ良くなりましたけど、今思えば、ロングティーやったのは良かったです。

――そうなんですね。1年生と比べるとどれくらい頻度は増えたのでしょうか?

小島:1年生の時は上級生が多くて、人数の関係上、1日おきしかできなかったですけど、僕らの時は人数が少なくなっていたのもあって、8分間とにかく打ち続けて1セットですが、これを毎日3セットできました。それは本当に大きかったと思います。

[page_break:夏前も不安でしかなかった]

夏前も不安でしかなかった

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大河内輝也投手(都立総合工科)

――話を春季大会に戻すと、都大会では、二松学舎大附に5回コールド負けでした。この結果についてどう受け止めましたか。

小島:ヒットはよく出ていましたので、打撃面は悪くなかったと思います。後はチャンスでの1本が課題でしたね。一番の課題はホームランを3本打たれたことですね…。自分が弱気なリードをしてしまって、かわそうとした結果、打ち込まれてしまいました。

大場:甘い球は全部打たれる。でも決まったところに投げれば打ち取れる。それは収穫だと感じました。スピードよりもコントロール重視の投球がより大事だとこの試合で感じました。

――コントロール重視の投球となると、配球面が大事になりますが、小島君はどうですか。

小島:自分は捕手を始めたのが高校からで、ゼロからのスタートだったんです。配球のイロハを有馬監督に一から教えてもらって、また先輩からも教わって覚えていきましたが、そこで大事だと感じたのは強気で攻めること。夏に向けてインコース、アウトコースを散らす配球をすること。そしてブルペンから甘い球を投げさせないことを意識してやってきました。

――春でも登板した大河内君は投球面で工夫したことはありますか

大河内 輝也(以下、大河内):やはり自分の決め球はシンカーになりますので、そのシンカーをうまく使えるために配球面など小島と話し合って工夫しました。

――ありがとうございます。では打撃陣はどうでしょうか。

棚橋 明博(以下、棚橋):自分は冬にヘルニアもあって練習ができなかったんです。このままでは終われないと思ったので、必死にやっていましたね。夏で終わりなのでやるしかないと。

石川:僕は打撃に波があって、悪いときは悪くて…。冬明けが良くて、春季大会では全然だめで、エラーも多くて、あまり出られなかったですね。春終わっても、上がったり、下がったりでしたね。

――チームメイトの話を聞くと、やはり不安だらけの夏だったんですね。

石川:そうですね。でもここで焦ってもしょうがないので、思い切っていきました。

――夏で活躍した小野里君はどうでしょうか。

小野里 剛(以下、小野里):実は春では全く打てなかったんです。でも大会前1か月から急激に打てるようになりまして、自信がついてそのままいきました。それまでは2番打者だったのですが、1番を任されるようになりました。

小島:小野里がすごいのは、バットコントロール。ミート力はチーム一の選手です。信頼をしていました。

――そして抽選会。初戦の相手は昨夏ベスト8の聖パウロ学園。良いチームと対戦しましたね。

小島:僕がくじ引いて、聖パウロ学園に決まった瞬間、みんなから「最悪!」といわれまして。でも最悪といわれるほどの相手ではないと思いましたし、そういうことをいうやつらを見返したいと思うようになりました。

振り返ると、夏前はとにかく不安だらけだったと告白する都立総合工科ナイン。しかし夏では逆転劇を重ね、快進撃を見せることになる。第2回では夏の戦いについて語っていただきます。

(構成/河嶋宗一

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【僕らの熱い夏2017 特設ページ】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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