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今年の大阪桐蔭は「140キロ カルテット」以上の戦力で勝負!

2017.02.02

今年の大阪桐蔭は「140キロ カルテット」以上の戦力で勝負! | 高校野球ドットコム
左から 根尾 昂、香川 麗爾、徳山 壮磨、横川 凱(大阪桐蔭)

 3年連続9度目のセンバツ出場の大阪桐蔭。例年、巨大戦力を率いるチームだが、今年も投手力が高い。昨秋ベンチ入りした投手の中で、140キロ超えの投手がなんと4人いた!さらに、ベンチ外の投手にも140キロを超える投手がいるようだ。

昨秋の140キロカルテットはこの4選手!

 最速145キロの徳山 壮磨、経験豊富な140キロ右腕・香川 麗爾、最速148キロを計測する1年生右腕・根尾 昂関連記事、最速143キロ左腕・横川 凱の4人だ。徳山は昨年のセンバツでは1試合に登板し、伸びやかなフォームからキレのある速球を披露した。そして順調に成長を見せた徳山は、2年夏の練習試合で早稲田実業と対戦し、この試合で最速145キロを計測。

 ドラフト候補として期待がかかったが、その後調子を崩してしまう。徳山曰く調子自体は良くなったと振り返る。それでも高めの釣り球や低めへ投げ分けたり、スライダー、カーブをうまくコーナーへ外すなど、まさに粘り強い投球を見せた徳山は、近畿大会では初戦龍谷大平安戦、続く準々決勝智辯学園戦で完投勝利を挙げて、4強入りに貢献。勝てる投手へ成長した。そんな徳山だが、秋の内容には満足いっていない。「常時140キロ中盤は出せるような投手になりたい」と意気込み、厳しい冬のトレーニングに励んできた。その成果を選抜で発揮する。

 香川は神戸中央シニア時代から評判だった速球派右腕で、1年生の時から実戦登板を果たすなど、好投手揃いの大阪桐蔭でも早くからベンチ入りをしていた。香川の持ち味はゲームをまとめる能力が高いこと。コンパクトなテイクバックから繰り出すストレートは140キロ前後だが、スライダー、カーブを内外角にしっかりと投げ分けることができて、先発・中継ぎどちらでもこなせる能力の高さがある。緊急時の登板となってもすぐに準備ができて、対応ができる順応性の高さも備えている。いかなる時でも投球ができるので、ベンチにいてとても頼りになる存在だ。

 そして根尾は、中学時代に最速146キロを計測。当時から140キロ台のストレートを内外角に投げ分けるなど、中学生離れしたパフォーマンスを発揮していた。昨秋は野手としての活躍が目立ったが、もちろん投手としての能力の高さも素晴らしく、秋は大阪府大会で好投を見せた。根尾は投打ともに求めるものが高く、秋のパフォーマンスの内容に全く満足がいっていない様子だった。秋季大会が終わってからも成長を続け、チームの紅白戦で最速148キロを計測。さらに進化した姿を見せている。

[page_break:ベンチ外にも140キロを投げられる投手がゴロゴロいる!]

ベンチ外にも140キロを投げられる投手がゴロゴロいる!

 リードする岩本 久重は、根尾についてこう語る。
「根尾は、大阪府大会から近畿大会にかけて調子を上げてきましたが、波が小さいのが良いです。あと、技術的なところで少し変なところがあれば、すぐに修正ができる。そして器用なので新しい変化球を身に付けるのが早いです。あとブルペンの投球練習では、納得がいかなければ何球でも投げるように、とにかく自分で考えて取り組める投手なのではないかと思います」と評価する。選抜ではインパクトある活躍を見せることができるか。

 横川は身長190センチの大型左腕。湖北ボーイズ時代にNOMOジャパンを経験するなど、根尾とともに注目され、鳴り物入りで大阪桐蔭に入学した。右腕を高く掲げたオーバーハンドから投げ込む速球は威力があるが、制球力がまだ不安定で、四球を出すことがしばしばある。ただポテンシャルの高さは4人の中で一番で、小さくまとまらずに育ってほしい大器だ。

 大阪桐蔭が凄いのは、まだまだベンチ外に140キロ台を投げられる投手がいること。主に投手指導する石田 寿也コーチは、「昨年もベンチ外になった3年生の中に140キロ中盤を投げる投手はいましたし、今年もベンチ外の1、2年生の中にも140キロ台のストレートを投げる投手はいますよ。ただそれだけでベンチ入りができるとは限りません。普段の実戦練習や練習試合で、公式戦で投げられる投手なのか否かが判断されてしまいますので」と語るように、140キロのストレートを投げられる投手でも漏れてしまう…。高校生とは思えない層の厚さがあるのが大阪桐蔭なのだ。

 今年もベンチ入りを狙って激しい競争が行われており、徳山、香川、根尾、横川の4人が必ずしベンチ入りするとは限らない。大阪桐蔭は12月~1月は個人のレベルアップに励み、さらにこの2月から実戦練習が多めとなり、メンバーを絞り込んでいく期間に入る。その競争を勝ち抜いた投手陣は秋とは違った顔ぶれとなっても、140キロカルテットを築き上げるだろう。それが大阪桐蔭の凄みなのだ。

 文・(河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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