Column

西武文理高等学校(埼玉)

2017.03.06


ミーティングの様子(西武文理)

組織力の高さならどこにも負けない

■東大合格者25年連続の西武文理!
埼玉県狭山市に所在する西武文理高等学校は、レディー&ジェントルマン中高エリート教育を掲げる進学校。なんと平成28年度卒業者まで東京大学合格者が25年連続!さらに難関の国公立の大学、慶應、早稲田などの難関私立大学にも多くの合格者を出している。野球部は2015年夏にはベスト8、2016年春はベスト8と近年上位に勝ち進むことが多くなってきた。しかし昨秋は地区予選1回戦敗退。再び浮上を目指すために、1日1日を大事に質の高い練習に取り組んでいる。

■組織として動くことにこだわる西武文理
練習中、1つの練習が終わるごとに集合する選手たちの姿が。選手たちに話を聞くと、自分たちの練習が目的どおりに実現できているのかをしっかりと話し合う。普段の練習時間は2時間程度。休日もそこまで長い時間ができない。そのため時間を無駄にすることなく、話し合っているのだ。

西武文理は組織として動くことにこだわっており、今年は3人のキャプテンがいる。主にゲームをまとめ、試合時のメンバー交換を勤める中込 純矢選手(三塁手)、横山 幹樹選手(捕手)、8つの徹底事項(※野球部訪問参照)を徹底させる西尾 憧平投手の3人がまとめている。

西尾投手によると冬のスローガンを決めて、ポジションごと、あるいは期間ごとに細かい目標を立ててそれを実現させるべく、動いている。

■昨秋は投打ともに力不足を実感

昨秋
は1回戦で聖望学園にコールドで敗れ(レポート)、攻撃力、守備力、投手力と力不足を実感させられる試合となった。中込選手は、「聖望学園はやるべきことをしっかりとできていましたが、僕たちはやるべきことができなくて、チームとしての力不足を感じさせる試合となりました」と振り返る。そこで選手たちは攻守を見つめ直し、守備では素手で投げたボールを素手で捕球し、基礎をしっかりと固め、野手陣は朝練で必ず素振りを取り入れてきた。

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[page_break:秋季大会、練習試合を重ね、投打ともに成長]

ダッシュの練習(西武文理)

秋季大会、練習試合を重ね、投打ともに成長

結果として、昨秋の11月頃の練習試合では得点力も大きく伸び、打ち勝つ試合も増え、手ごたえを感じている。そしてこの冬では目標体重を設定して体作りに励み、さらなるパワーを身に付けるために、ロングティーでも長い距離が打てるように工夫を試みた。投手陣は、制球力重視をテーマに日々の投球練習に取り組んできた。

■【チームの徹底事項を守りきり、初の甲子園へ
その中で浮上してきたのが、4番を打ち、長打力はチーム一の高橋 一樹選手。巧打の田中 遼太郎選手、1年生ながら攻守の中心へ成長。パンチ力ある打撃と動きの良い遊撃守備が持ち味の白川 遼介選手、そして主将を務める中込選手はチーム内でもトップクラスの俊足を誇る選手だ.

投手陣では制球力を磨き、そしてストレートのスピードアップを目指す右腕・新井 陽太選手や、チーム一の身体能力があり、最速135キロの速球を投げ込む右腕・宮本 駿選手も期待の投手だ。

チームが決めた約束事を徹底させる西尾選手は、「初志貫徹」をテーマに最後の夏まで守りきらせることを誓った。

「この徹底事項は代々の先輩たちが築き上げたもの。そして僕らに引き継いできたわけですが、その流れを止めることなく、しっかりと実践し、そして次の世代へ受け継がせたい」と自覚たっぷり。

最終的な目標は甲子園出場だ。中込選手は「今は健大高崎さんなど機動力が持ち味のチームを研究して盗塁ができるチームも目指し、どうすれば盗塁ができる確率を高めることができるか、日々研究をしています」と機動力を磨き上げることもテーマとなっている。そして西尾選手は「甲子園出場できたとき、部員全員が8つの徹底事項を守ったからこそ出場できたといえるようにしたい」とあくまで自分の役割に全うする姿勢を見せた。

高い意識で自分を高めていきながら、西武文理はこの春、逆襲を誓った。

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[page_break:自分たちが立てた目標に最後までやりきろう!]

アップの様子(西武文理)

自分たちが立てた目標に最後までやりきろう!

  今回はチームを率いる刀川 正明監督に今年のチームのことについて詳しくお話を伺いました。

Q. 昨秋は聖望学園に敗れる結果となりましたが、どういうところが課題となりましたか?

そうですね。歴代のチームを振り返ると打撃が弱いけど、投手力が良い。逆に投手力は弱いけど、打撃力は良いと、どちらか長所を持っていたのですが、今年は前チームから出場をしていたのは、中込だけで、投打ともに不安があったんです。それが聖望学園戦(レポート)ではっきりと出た試合でしたね。打撃は相手投手にしっかりと攻め込まれて打ち返せず、投手陣も制球力が課題となった試合でした。

Q. 先ほど選手たちに話を聞くと、攻守ともに見つめ直してやってきたそうですね。

 技術的に課題が多かったので、9月で公式戦が終わって、その間、じっくりと鍛えてやってきました。半年間やってきて、伸びしろも見えてきたので、楽しみです。

Q. 先ほど練習を拝見させていただきましたが、身体能力が高い宮本駿選手など楽しみな選手が多いですね。

そうなんです!宮本は制球力が出てくればという選手ですね。

Q. また西武文理さんの練習を見ていると、主将や、マネージャーさんだったり、それぞれが、自分の役割に徹して、練習だったり、仕事をこなしていました。こういう組織作りになったのは、いつ頃からでしょうか。

4、5年前です。やはりここに入るまでやらされてきたという子供たちが多いわけです。だから僕が指示を出しっぱなしにするのではなく、選手たちに考えさせて取り組むことにしています。まだ彼らが考えることに対し、「おい!」と思うことは当然あります。だけどそこで止めるのではなく、あとで選手たちを呼んで「この場面はこうやっていたけれど、こういうのもどうなんだ」と諭すようになりました。

Q. 選手たちの自主性の高さは、刀川先生の指導によって成り立っていることが実感できました。ここまでチーム作りの手ごたえはいかがですか?

伸びてきていると思います。ただ冬に成長を見せたからといって必ず勝利が約束されているわけではない。選手たちにはこういっています。「お前らも成長しているけど、ほかの学校も伸びているよ」と。野球は相手があって成り立つスポーツで、勝敗で判断されます。だから難しいスポーツでありますが、やはり勝負の厳しさは求めなければなりません。

Q. 確かにそうですね。では最後に選手たちへメッセージをお願いします。

彼らはそれぞれ自分の目標を立てて、それに向けての取り組みも自分たちで考えたはずです。どんな結果になろうと、最後までやりきる姿勢を見せていってほしいと思います。

刀川監督、そして西武文理高校の皆さんありがとうございました。


今年も大好評!
冬が僕らを強くする 特設ページ
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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