Column

水城高等学校(茨城)

2017.02.06


集合写真(水城高等学校)

温い冬はもういらない!

■水城はどんな学校?

茨城県水戸市にある水城高等学校は1964年創立の私立校。開校当初は男子校だったが、1989年に共学化し進学校へ転換した。また、県内有数のマンモス校として知られ、部活動も盛ん。野球部は2010年夏と翌11年春に2季連続で甲子園に出場。昨秋土浦湖北つくば秀英試合レポート)などを破り、茨城県大会ベスト4まで勝ち進むなど高い実力を誇っている。

■水城野球部の練習環境

現在、野球部は2年生25名、1年生34名の計59名。「学校と硬式野球部専用グラウンドまでの距離が約8キロあり、毎日自転車で移動するので足腰が強化されています」と話す星 恵太主将。また、グラウンドのバックスクリーンのすぐ後ろに寮があり、恵まれた環境で練習ができている。

■水城を引っ張る選手は?

昨秋は4番に座る樫村 昌樹選手がチームの柱として6割近い打率を残し、全得点に絡む活躍。また、守備でも大型遊撃手として安定感のある落ち着いたプレーが目立った。 征矢 隼輔投手は1年生ながら、茨城県大会の全3試合に先発。緩急を上手く使った粘り強いピッチングでチームを勝利に導いた。この冬は体を大きくすることで、さらなる成長が期待されている。
また、同じく1年生の外野手・照沼 直樹選手は中学時代、陸上競技の200mで茨城県1位になった俊足の持ち主。そのスピードは大きな武器になりそうだ。

■秋季大会を振り返って

星主将は「準決勝霞ヶ浦戦は『気持ちを一つにして全員で戦う』と試合前に全員でミーティングをして試合に入ったのですが、序盤に先制されたことでリズムがつかめず、相手投手の低めの球を振らされてなかなかランナーを出せませんでした。また、簡単なミスから追加点を奪われ、(2対5で)敗戦。試合を振り返ってみるとミスが多く、相手の思うつぼにはまってしまった形だったので、自分たちの力不足を感じました」と振り返る。

 ただ、終盤に連打で追い上げたシーンについては「新チームが始まった当初は、全く打てず得点が入りませんでした。そこで『守備が良くても打てなきゃ勝てない』と、全員が自覚を持ち、普段のバッティング練習から工夫し徹底して打ち込んできました。自分達のチームは『繋ぐバッティング』が持ち味なので、一人ひとりが自分の役割を理解してやってきたことが試合に活かされたのだと思います」と、手応えを感じている。

■この冬への意気込み

「温い冬はもういらない」が冬の合言葉。「この冬の課題は心、メンタルを鍛え上げることを一つのテーマにしています。どんなメニューでも全力で自分を追い込んで仲間と競い合い、辛い時こそ声をかけあって下を向かずに乗り越えていきたいです」と、星主将。さらに「守備面では投内連携を多く行い、細かい所から鍛えてミスを無くしていくこと。攻撃面では『考えて打つ』ことに重点を置き場面に応じたバッティングと、小技を含めて泥臭い細かい野球をやっていきたい」という。地元・茨城で開催される関東大会を経て、夏は甲子園の大舞台を狙う。

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[page_break:グラウンドでは学年に関係なく厳しく言い合える!]

グラウンドでは学年に関係なく厳しく言い合える!

 ここからは、坂戸 大介選手(2年)と朝倉 大智選手(2年)の二人の副主将にお話を伺いました!

坂戸 大介選手(水城高等学校)

Q. 秋季大会で見つけた課題を教えてください。

坂戸:準決勝霞ヶ浦戦では、守備での一つのミスから崩れてしまったのでメンタルの強さが必要だと感じました。また、打線の繋がりが良くなかったのでクリーンナップに頼らず、どの打順からでも得点できるような頭を使った攻撃が課題です。
朝倉:個人的にチャンスメイクについては少しできたと思いますが、チャンスでは打てずに悔しい思いをしました。チームとしては、やはり守備のもったいないミスと、打線が繋がらなかったことです。

Q. この冬は、どんな冬にしていきたいですか?

坂戸:辛い冬期トレーニングも妥協せずに自分を追い込んでパワーアップし、メンタル面でも一回り成長したいです。また、声でチームを引っ張っていきたいです。
朝倉:よく走って、よく食べて、よくトレーニングすることで夏の暑さに負けない体力と筋力をつけながら体重を増やし、下半身も強化したいです。また、打撃面では振り込み。守備面ではポジションが捕手なのですが、ピッチャーの球速を夏までに5キロ以上アップさせ、どのカウントでも強気で攻めるリードをしたいです。

Q. 野球をする上でのモットーはありますか?

坂戸:「心は熱く、頭は冷静に」です。
朝倉:「何事もひたむきに」という言葉です。

朝倉 大智選手(水城高等学校)

Q. では、チームの好きなところや、ここは他のチームに負けない!というところを教えてください。

坂戸:チームワークが良くグラウンドでは学年に関係なく厳しく言い合うことができるところです。でも、グラウンドの外ではとても仲が良いんですよ。
朝倉:試合に出場したいと思っている選手が多く、お互いに刺激しあっているところ。あとは、相手のミスを見逃さず頭を使いながら考えて攻められるところです。

Q. 最後に、このオフシーズン、「自分はここまで成長するぞ!」という熱い意気込みをお願いします!

坂戸: 今シーズンは出場機会が少なかったので、この冬は課題であるバッティングを強化し、守備では絶対的な信頼をもってもらえる選手になりたいです。そして、今シーズンはレギュラーをとりたいです!
朝倉:バッティングでは、周囲から信頼されるチャンスに強いバッターになること。守備では、捕手としてそれぞれ違うタイプの投手の良さを引き出してピンチに強くなり、盗塁阻止率を上げること。あとは、体重を5キロ増やすことです。そして、この冬は自分を追い込み、チームを鼓舞していきたいです!

 坂戸選手、朝倉選手、ありがとうございました!

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[page_break:自分との戦いに勝てれば必ず結果はついてくる!]

練習風景(水城高等学校)

自分との戦いに勝てれば必ず結果はついてくる!

 最後に、関根 茂彦監督にお話を伺いました!

Q. 新チームが始まってから、どのようなテーマをもってチーム作りをされて来たのでしょうか?

 昨夏の大会からレギュラーだったのは樫村と朝倉の2名だけだったので「正直、チームを作るには時間がかかるな」と感じていました。また、秋季大会のメンバーは1年生が10名、2年生が10名という若いチームだったので、基本的なことから徹底的にやっていくことにしました。基本的なこととはキャッチボールやトスバッティング、スイング、バント、走塁、守備です。特にキャッチボールについてはしっかりやっていこうと話しました。夏休みの練習の大半は守備と走塁についての練習が多かったです。そして、秋は「守る」ということを一つのテーマとしていました。

Q. 昨秋の大会を振り返り、冬の強化ポイントを教えてください。

 秋季大会で主戦として投げていた征矢は大崩れしない投手なので「しっかり守れれば2、3点ぐらいの失点でいける」という計算はしていました。また、昨夏からレギュラーだった朝倉は捕手、樫村は遊撃手だったので内野の守備はきちんと組織としてやっていけると感じていました。心配だったのは、1年生3名がスタメンで出場することもあった外野。試合の勝敗を左右するミスをしてしまうのではないかと懸念を抱いていましたが、案の定、準決勝霞ヶ浦戦では0対3とリードされている中、「3点差であれば中盤から終盤にかけて逆転のチャンスはある」と、思っていた時に、何でもないライトフライをセンターに任せてツ―ベースヒットにしてしまい、そこから2点を追加されてしまいました。記録はツ―ベースヒットですが、「記録に残らないミス」が多かったです。

 そして、冬に入り取り組んでいるのは「メンタル強化」「体を大きくする」「攻撃力の向上」です。水城の生徒は真面目でおとなしい子が多く、大事な試合になればなるほどプレッシャーに負けてしまう生徒が多いとも感じます。そこで、冬に厳しいトレーニングを行い、「自分達はこれだけやってきたんだ」という自信を付けることが「メンタル強化」に繋がると考えています。また、今年の冬のスローガンは「温い冬はもういらない~自分との戦い~」だそうです。選手が自分たちで考えた言葉で、この冬にかける気持ちが伝わってきました。

「体を大きくする」のは主にウエイトトレーニングを増やしたいということです。昨年から続けている補食が浸透してきて2年生は少しずつですが体が大きくなってきています。この冬で更に大きくなってほしいです。「攻撃力の向上」はやはりバッティングです。秋季大会ではベスト4に残った中でチーム打率が2割前半だったのは本校だけでした。秋は「守り」を重視していましたが、夏は「得点を奪うこと」つまり「攻撃力を向上」させなければ勝てません。バットスイング、バッティング、ティーバッティング、バント、そして走塁を練習し攻撃のパターンを増やしていきたいです。

Q. 最後に、厳しい冬の練習に挑んでいる選手たちにメッセージをお願いします!

 私が高校時代に経験した千波湖のマラソンや常磐神社の階段トレーニングなどを今の選手達もやっています。私自身、冬のトレーニングは「辛い」「逃げたい」「楽をしたい」と、思うことがたくさんありました。しかし、「この冬を逃げずに妥協せずに乗り越えたら自分はきっと変われる」という強い思いが私自身を成長させてくれたと感じています。どれだけ自分自身を追い込めるか、「自分との戦い」です。その戦いに勝てれば必ず結果はついてきます。頑張ってください。

 また、本校の場合、ほとんどのトレーニングを全員で行います。辛く苦しい時でも「声を掛け合い」「励まし合い」「叱咤激励」し、全員でトレーニングを乗り越えていくことで「チーム力」が向上します。2年生が1年生を引っ張る。1年生も引っ張られるだけではなく、逆に2年生に声をかけられるようになっていけば、2年生はもっと頑張るようになるので、その面でも期待しています。この冬で心(メンタル)も体(フィジカル)も強くなり自信をつけてほしいです。

 関根監督、そして水城高校野球部の皆様ありがとうございました!


今年も大好評!
冬が僕らを強くする 特設ページ
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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