Column

初芝立命館高等学校(大阪)

2017.01.30


集合写真(初芝立命館高等学校)

大阪桐蔭、上宮太子との差は?

■OBにキン肉マンの作者もいる初芝立命館!

強豪ひしめく大阪府において昨秋の大阪府大会4位となった初芝立命館高等学校。同校は昭和12年4月に大阪初芝商業学校として設立。その後、度重なる校名変更の末、平成21年4月に初芝立命館となった。主なOBは、佐々木 正行氏(元日本ハム)、沼田 浩氏(元日本ハム)、またコーチとして数多くの球団を渡り歩き、今年も東北楽天の一軍・二軍巡回内野守備走塁コーチを務める立石 充男氏も同校の出身である。また大ヒット作「キン肉マン」を生んだ漫画家「ゆでたまご」氏の出身校でもある。

 現在52名で活動する初芝立命館昨秋の大会や現在の取り組みを追った。

■実は狭い環境で日々、練習を重ねている

OBにプロ野球選手もいる。そして大阪府大会4位と聞くと施設にも恵まれていると思うかもしれないが、実は専用球場がなく、校庭の限られた場所でしか練習できない。そのため、限られた場所でのキャッチボール、ボール回しの徹底を行っている。また、時間厳守や道具の管理、挨拶礼儀を徹底し、気持ちの浮き沈みがないように精神面を鍛えている。そんな環境の下できた初芝立命館のウリというのが、「選手間の仲の良さ」「キャッチボール、ボール回しへのこだわり」「人間力」だ。

■凡事徹底が課題として残った秋季大会

ベスト4まで勝ち進んだ初芝立命館だが、悔しさが残った大会だった。まず準決勝上宮太子戦では0対7で敗れ、秋季大会3位決定戦では大阪桐蔭と対戦し5対12で敗れた。2試合を振り返って赤木 仁太郎投手は、「甲子園に行きたいという思いの差、心体の差、徹底力の差を感じ自分たちの甘さを感じました。特に大阪桐蔭戦は近畿大会出場が決まる試合でしたが、心・身体・チーム力の全てにおいて差を感じた試合でした」と振り返った。

 この2試合を戦って課題となったのは、「凡事徹底」。ナインは徹底して物事に取り組むことを意識している。そして大会を振り返って赤木投手は、エース・キャプテンとしてチームを引っ張った中林 怜投手の活躍をたたえた。
「新チーム結成以来、キャプテンとして常に率先して責任ある行動をとりチームをまとめてきた結果、公式戦ではエースとして数々のピンチを粘り強いピッチングでしのぎチームを救い、勝利に貢献してくれました」

 その中林投手は「どこが来ても打たれない投手」を目指し、冬の練習に取り組んでいる。そして注目選手として、小柄ながら走攻守三拍子揃った萩野 遼太郎選手を薦めてくれた。赤木選手は「さらに精神的にも成長し、走攻守でチームを引っ張ってほしい」と期待をしていた。

■冬へ向けての取り組み

オフの練習では、
・よく食べ、よく寝て、よく動く!!を徹底して体を大きくする!!
・「勝負強さ」を身につける
をテーマに冬の練習に取り組んでいる。その中でもきついのが狭山池4周(12キロ)を50分以内に走るメニューだと教えてくれた。

 このオフを乗り越え、目指す目標は「春近畿大会出場、夏は甲子園出場」。その目標が実現できるように赤木投手は取り組み、練習の質にこだわっている。

「とにかく夏が終わった時点で悔いが残らないように、今できることを精一杯取り組む習慣を身に付けることができるように、練習に対する取り組み方にこだわっていきたいです。どんな練習をするかではなく、どう練習するかにこだわりたいです」

 春は全員がキーマンとなれるように。1つ1つの練習にこだわり、秋破れなかった近畿の壁を乗り越え、そして、その先にある悲願の甲子園出場を成し遂げていきたい。

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[page_break:どこが出ても負けない技術を身に付けていきたい]

どこが出ても負けない技術を身に付けていきたい

中林 怜選手(初芝立命館高等学校)

 エースで主将を務める中林 怜投手と副主将の中山 健太二塁手にお話を伺いました。

Q. この秋を振り返って、見つけた課題を教えてください。

中林:球速、スタミナ、コントロール、変化球全てにおいて負けてしまったので、その技術力UPとチームのバッティング技術を上げることです。 
中山:履正社大阪桐蔭の選手との身体の大きさの違い、打球の強さが大きく違うと感じたことです。

Q. この冬はどんな冬にしていきたいですか?

中林:体作りを徹底したいです。結果に繋がる練習をするためにメニューの内容を濃くしているので、チームで1人も妥協せず、心身ともに一回りも二回りも成長できる冬を過ごしたいです。
中山:身体作り(筋力アップと柔軟性アップ)と個々の技術力向上です!

中山 健太選手(初芝立命館高等学校)

Q. 野球をする上でモットーにしている、好きな言葉は何ですか?

中林:感謝です!!
中山:常に全力プレーです!

Q. このチームの好きなところ、または他のチームに負けていないところはどんなところですか?

中林:何でもそうですが、他のチームに負けていないところはありません。
中山:他のチームに負けていないところは、守備力(キャッチボール)です!

Q. このオフシーズン、『自分はここまで成長するぞ!』と、いうこの冬の熱い宣言を最後にお願いします!

中林:どこが相手でも打たれないピッチャーになりたいです。そのため球速145Km/hを目指します。
中山:しっかりと練習を重ねて勝負強いバッティングができる打者になります。

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ウエイトトレーニングの様子(初芝立命館高等学校)

凡事徹底の先に甲子園がある

 最後に井上将之監督にお話を伺いました。

Q. 今年のチームは、新チームが始まってから、どんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか。秋の大会の振り返りならびに、冬でのテーマも教えていただけたら幸いです。

 新チーム始動時のテーマは、「徹底して、人間性を高め、いかに本物の人物になれるか」ということをまず掲げました。これまで凡事徹底がしきれておらず、今年の夏大阪偕星学園戦含めここ一番で勝ちきることが出来ませんでした。

 高校野球は能力以上に精神的な部分が大きく左右します。精神的に大人になりここ一番で結果を残せる集団にするためには、まずは人間性を高めることが最優先だと感じました。新チーム当初は、野球の技術以外の挨拶、返事、ランニング、ウォーミングアップなど誰でも出来ることを、徹底できるようになるまで何度も繰り返しました。ボールを触らず一日中したこともあります。

Q. 実際、このチームの方針を掲げていかがでしたか?

 チームとして人間として成長はしましたが、上宮太子高校や大阪桐蔭高校と対戦し明らかに力の差を痛感し、夏へ向けての課題が多く出た大会だと改めて感じました。この冬は、秋季大会で感じた課題・他校とのパワーなどの差を埋めるために、とにかく体重の増加、基本的パワーアップ、スキル獲得、柔軟性のアップを大きなテーマとして掲げ、日々練習に励んでいます。

Q. ありがとうございます。では最後にこれから厳しい冬のトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします。

 今回の結果で満足した生徒は誰一人としていないと思います。本当にこの秋あとひとつ勝てなかったあの悔しさを忘れることなく、春、そして夏へむけて今まで以上の成績を残すために、この冬チーム全員でパワーアップできるように取り組んでもらいたいですね。目の前の困難を乗り越えていけるだけの更なる人間的成長、チームとしての成長、野球人としての成長を期待しています。そして何より支えてくださる方々への感謝の気持ちを忘れないでもらいたいと思います。

 井上監督、初芝立命館野球部の皆様、ありがとうございました!


今年も大好評!
冬が僕らを強くする 特設ページ
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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