Column

県立富山東高等学校(富山)

2017.01.25


集合写真(県立富山東高等学校)

北信越地区の21世紀枠候補校にも選出!

■近年、上位進出が目立つ富山東!
富山県で進学校として注目される富山東高等学校は1962年に開校された。近年、野球部の躍進は目覚ましく、今の2年生が入学した2015年春から決勝進出2回、県ベスト4が1回、県ベスト8は2回と、強豪校としての地位を確立してきている。昨秋は北信越大会ベスト8まで勝ち進み、21世紀枠の北信越地区の候補校に選ばれた。決勝の壁を乗り越え、初の甲子園出場を目指す富山東は今、どんな課題を持ち、取り組んでいるのだろうか。

■狭いグラウンドの中でどう工夫しているのか?
現在、1年生14名、2年生13名、マネージャー2名の計29名で活動する富山東富山東のグラウンド環境は手狭で、平日はサッカー部、ソフトボール部がいるため、内野とファールグラウンドしか使用できない。フリー打撃は行っておらず、打撃練習の際は防球ネットを使用して練習している。スペースがないためグループに分かれて、練習できる場所を有効に使って実力をつけてきた。

■夏甲子園出場チームを破った秋季大会を振り返る!
そんな富山東のウリは何だろうか。江尻 達哉主将は3つ答えてくれた。

1.全力ダッシュ
練習の移動、試合の攻守交替のときなど。

2.雰囲気が良いこと
特に試合では、良い雰囲気を作り、流れをつかむために声と全力ダッシュを徹底している。

3.積極的な走塁
常に次の塁を狙う姿勢を待つことを大事にする。

 この3本柱を大事に、秋の大会を戦ってきた。印象的な試合として、江尻主将は秋季県大会準決勝の富山第一戦を挙げてくれた。この試合、3回表に1点を先制したが、5回裏に満塁本塁打を浴びて逆転を許してしまう。劣勢に立たされた富山東ナインだったが、ベンチは諦める様子はなかったという。江尻主将はこのときのベンチの様子について、「一度は沈みかけましたが、誰も諦めていませんでした」と振り返る。そして何とか持ちこたえて迎えた8回表に一挙10点を入れて逆転に成功した。

「あの回はランナーが出るたびにどんどん盛り上がっていきました。今までで一番良い雰囲気だったと思います」と語るように、富山東ナインが普段からウリとしている「雰囲気の良さ」を最大限に発揮できた試合となった。

 秋活躍した選手について江尻主将は、勝負強い打撃を見せた宮田 康太朗選手とエースとしてどの試合も粘り強い投球を見せてくれた佐々木 創野投手の名前を挙げれくれた。また、春の大会へ向けてのキーマンとしては谷口 大輝選手(2年・二塁)、平澤 佑斗選手(2年・遊撃)、島村 英雄選手(2年・一塁)の名前を挙げてくれた。

■北信越大会で感じた強豪校との体格差
北信越大会2試合を経験して痛感したのは体格の違いだ。江尻主将は、「他のチームとの体格の差を感じました。強いチームと大きな舞台で戦えたことはとても良い経験になりました。この経験を今後に生かしていきたいと思います」と振り返り、冬の練習も体力強化と体を大きくすることを目標にしている。

 特にきついのが、階段メニュー。主な練習内容は以下の通りだ。

・一段ずつ×3本
・一段飛ばし×3本
・二段飛ばし×3本
・片足で行うメニュー 右足1本 左足1本、途中で左右入れ替え1本
・おんぶ 2本

 これを時間まで繰り返していく。

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[page_break:技術的なことから精神的な部分まで、あらゆるところに気を配りたい]

練習風景(県立富山東高等学校)

 きついトレーニングも全て自分のため、そして目標である県大会優勝・甲子園出場のため。しかし強豪校との体格差を埋めるのは、並大抵のことではない。前原 猛監督は、「毎日繰り返しの練習や、地道な基本練習は面白みに欠けるもので、手を抜いてしまいがちになるところです。それを乗り越えるために個人の意識はもちろんのこと、チーム全体の雰囲気も高め、みんなで励ましあってこの冬を乗り切ってほしい」とエールを送る。

江尻主将も監督のメッセージをしっかりと理解している。
「トレーニングがメインになりますが、チームの中で声を掛け合い、自分たちを自分たちで追い込んでいきます」
お互いが励まし合い、自分の限界を突破したとき、富山東が目標とする甲子園に一歩ずつ近づいていく。まずは1月27日、富山東ナインの下に吉報が届くか、注目していきたい。

技術的なことから精神的な部分まで、あらゆるところに気を配りたい

 ここからは一塁を守る島村 英雄副主将と遊撃を守る平澤 佑斗副主将にお話を伺いました。

Q. この秋を振り返って、見つけた課題を教えて下さい。

島村:昨秋は強豪校との試合を何度か経験しましたが、「体格の差」というものを感じさせられました。
平澤:秋の大会は勝ち進むについれて、体の大きさ、強さが違うと感じました。また自分は特に守備力が足りないと感じませんでした。

Q. この冬はどんな冬にしたいでしょうか?

島村:チームの長所を伸ばし、今シーズンに向けて「ベストなスタート」を切れるように、「スイングスピードの向上」や「走力の強化」などの技術的なことの他に、「メンタルトレーニング」や「高校生としての生活態度」などの精神面の強化まで、あらゆるところに気を配りたいです。
平澤:この冬はチームの一人ひとりが競い合いながら、体力向上に向けてやっていきたいと思います。

Q. モットーにしている好きな言葉は何でしょうか。

島村:一人で見る夢はただの「夢」でしかない。でも、誰かとみる夢は「現実」になる。
平澤:「継続は力なり」です。どんなことでも続けていけば力になると信じてやってきました。

Q. このチームの好きなところ、負けていないところは何でしょうか?

島村:たくさんあります。各個人の向上心の強さ、効率的な練習を心がけ短い時間で中身の詰まった練習をしようと一人ひとりが意識していること。そして雰囲気の大切さを理解していることです。
平澤:チームの雰囲気です。練習、試合前のアップ、試合中など、どんなときも声を出し、良い雰囲気になるようチーム全体で意識しようとしています。

Q. ではこのオフシーズン、「自分はここまで成長するぞ!」というこの冬の熱い宣言をお願いします!

島村:県ナンバーワンの「島村」になります!
平澤:甲子園で勝つということが目標だから、それにふさわしい選手、チームになれるように、この冬で大きく成長します!

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[page_break:全力疾走、全力発声]

チューブトレーニングの様子(県立富山東高等学校)

全力疾走、全力発声

 最後に前原 猛監督にお話を伺いました。

Q. 新チームが始まってからどんなテーマを持ち、チームを作り上げてきましたでしょうか。

 先輩たちが成し遂げることができなかった甲子園出場のために、何をすれば良いのか考えることからのスタートでした。最後に勝つことができないのは技術・体力・生活態度などすべての面において徹底しきれていない面があり、それが最後に大きな差になっていると考えました。大会で勝つにはやはり良い練習をすることが全てだと考え、これまで徹底しきれていなかった細かな点まで意識して練習をすることを心がけました。また大会と同じような雰囲気を普段の練習から出せるように全力疾走、全力発声を意識して行ってきました。

 それにより、大会でも普段通りの野球をすることができて勝利に結びついたのだと思います。この冬は強豪校との力の差を埋めるため、体づくりや技術の向上などテーマや目標をしっかりと持って取り組んでいきたいと考えています。

Q. 厳しいトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします!

 目標を高く持ち、甲子園の上位のチームにも引けを取らない体を目指し、頑張ってほしい。食べることや体を鍛えることは非常に大変で、高い意識を持っていないと非常に難しいことです。毎日、繰り返しの練習や地道な基本練習は面白みに欠けるもので、手を抜いてしまいがちになるところです。

 それを乗り越えるために個人の意識はもちろんのこと、チーム全体の雰囲気も高め、みんなで励ましあってこの冬を乗り切ってほしいです。それによって大きな土台ができ、頂点に到達することができるようになるはずです!

 前原監督、富山東野球部の皆様、ありがとうございました!


今年も大好評!
冬が僕らを強くする 特設ページ
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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