Column

県立不来方高等学校(岩手)

2017.01.23


集合写真(県立不来方高等学校)

秋の躍進は自分の戦い方のビジョンが明確だったからこそ

■秋、快進撃を見せた不来方!

岩手県紫波郡矢巾町にある不来方高等学校は1988年に創立され、2012年の第94回岩手大会では、ベスト4入り。そして昨秋は選手10人ながら快進撃を続け、決勝進出。決勝では盛岡大附に敗れたが、初の東北大会出場を決め、不来方旋風を巻き起こした。そして昨年12月、21世紀枠の東北地区の候補校に選ばれ、甲子園に出場する可能性を残している。今、吉報を待っている不来方ナインの取り組みを追った。

■10人だからこそ強みにできるものがある

選手10名、マネージャー3名で活動している不来方は、室内練習場の施設がないため、トレーニング室などを他部と共有して使用している。10人で活動している強みは、一人一人が使える練習時間が非常に多く、練習試合での打席数も増える利点があることだ。

 菅原 岳人選手にこのチームの好きなところについて聞くと、
「10人ということもあり、一人一人のつながりが強いところです。また、練習中みんな常に元気で楽しく野球をしているところが好きです」
と話すように、結束力の強さが、どこにも負けない密度の濃い練習を生んでいった。

■自分の戦い方のビジョンが明確だった秋季大会

そして10人ながら快進撃を続けた秋季大会。勝ち上がれた要因として、菅原選手は「結束力が強く、自分たちの戦い方のビジョンが明確だったことだと思います」と語るように、ウリである「思い切りのよいスイング」と「打線の力強さ」を発揮し、一戦一戦勝ち上がるごとにまとまり、県大会準優勝を果たした。

 東北大会に進んだ不来方初戦八戸学院光星と対戦。「試合中も試合前もワクワクしていました」と語る菅原選手。強豪校に臆することなく、不来方ナインは9回まで戦い抜き、0対2と善戦を演じた。試合後には観客から温かい拍手が送られた。八戸学院光星の戦いぶりを見て、菅原選手は秋の大会を通して、いろいろな課題が見つかったと振り返る。

「秋は運良く公式戦をやるチャンスをたくさんもらって、今までにないくらい良い経験をさせてもらいました。そんな中、135~140km/hのストレートを投げられる投手に対して、攻撃が上手くいかないことが多くありました。なので、これからはとにかくスイングの量とパワー値を上げて、速球に負けない攻めをしたいです。今以上に強い打球、鋭いスイングができなければならないと実感しました」と話すように、今は打線強化のため、厳しい冬のトレーニングに励んでいる。

 菅原選手は秋活躍した選手としてエースで主将の小比類巻 圭汰選手の名前を挙げ、「プレー面でも一番頼れる選手です!」と全幅の信頼を置いている。
そして春へ向けて期待したい選手として背番号10でベンチ入りしていた齊藤 圭汰選手の名前を挙げた。

■課題が明確になった秋季大会 この冬はパワーアップを目指す

春の大会や夏の岩手大会の目標はもちろん優勝。その目標実現に向けてこの冬は、「モットーである打ち勝つスタイルを変えずに、今以上にさらに打ち勝てるチームになります!」と話した菅原選手。

冬の練習に向けて、どんな課題を持って取り組んでいるのかを伺うと、
東北大会に出場できて、自分たちの線の細さ、体の小ささを痛感しました。なのでこの冬は、夏に向けて体重と筋力の増加を一番に考え、チームの一人ひとりがホームランを打てるような体にトレーニングしていきます。そのために、ご飯をとにかく食べること、ベンチプレスのMAXを上げることを目標に取り組んでいます!」

 菅原選手の目指す選手像は「チーム一のパワーヒッター」。秋の東北大会では8番レフトでの出場だったが、10人の底上げが春の躍進につながると考えている。
そして1月27日、不来方ナインの下に吉報が届くか注目だ。

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[page_break:不来方の魅力は笑顔が絶えないこと]

ベンチの様子(県立不来方高等学校)

不来方の魅力は笑顔が絶えないこと

 ショートを守る1年生・鷹觜 零志(たかのはし・れいじ)選手にお話を伺いました。

Q. この秋を振り返って、見つけた課題を教えてください。

鷹觜:速球への対応とチャンスでの勝負強さが課題です。

Q. この冬はどんな冬にしていきたいですか?

鷹觜:毎日辛い練習が待っていると思いますが、そこで手を抜いたりすぐに疲れてしまっては、もっと上を目指すことができないと思うので、高い目標を持ち全力で取り組んでいきたいです。

Q. 野球をする上でモットーにしている、好きな言葉は何ですか?

鷹觜:「獅子は兎を撃つに全力を用う」です。

Q. このチームの好きなところ、または他のチームに負けていないところはどんなところですか?

鷹觜:全員が仲良しなところ、笑顔が絶えないところです!

Q. このオフシーズン、『自分はここまで成長するぞ!』と、いうこの冬の熱い宣言を最後にお願いします!

鷹觜:筋力、体重増加!そして支えてくださっている方々、応援してくださっている方々の期待に応えられるよう、もっと高みを目指して、甲子園出場を果たします!

 鷹觜選手、ありがとうございました!

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[page_break:全ては夏に勝つために全力で取り組んでいこう]

マウンドに集まる選手たち(県立不来方高等学校)

全ては夏に勝つために全力で取り組んでいこう

 最後に小山 健人監督にお話を伺いました。

Q. 今年のチームは、新チームが始まってから、どんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか。秋の大会の振り返りならびに、冬でのテーマも教えていただけたら幸いです。

 今年は選手10人、マネージャー3人でしたので、逆に人数が多いチームにはできないことを徹底的にやることを考えました。結果、チームの状況や目標を考えて「打撃練習9割」で取り組みました。冬の期間も、背伸びせずに今できることを全力でやっていきたいです。

Q. 最後に、これから厳しい冬のトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします。

「冬の貯金=夏の結果」だと信じています。「全ては夏勝つために」一つひとつのことを全力で取り組んでいきましょう。

 不来方高校の皆様、ありがとうございました。吉報が届くことを祈っております。


今年も大好評!
冬が僕らを強くする 特設ページ
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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