Column

暁星国際高等学校(千葉)

2017.01.12


集合写真(暁星国際高等学校)

ベンチワークを磨き、久々のベスト16!

■あの小笠原 道大を輩出した暁星国際!

かつて小笠原 道大氏(現・中日ドラゴンズ二軍監督関連記事)や、北川 哲也氏(元・ヤクルトスワローズ)など名選手を輩出した暁星国際。その後、中々勝てない時期が続いたが、昨秋の千葉県大会ではベスト16入りを果たし、復活の兆しを見せている。現在、部員28名で活動する暁星国際に、昨秋の県大会の振り返りと、県大会の経験を踏まえて現在取り組んでいることについて、語っていただいた。

■飛躍につながった大阪遠征

秋の県大会を振り返るとロースコアを制す試合が多かった暁星国際守屋 秀明主将は、大阪遠征が大きかったと語る。この大阪遠征では、昨秋の大阪府大会優勝の上宮太子と対戦した。暁星国際は、9回表までに1点をリード。しかしその裏、失策で先頭打者に出塁を許すと、このイニングに2点を失って逆転サヨナラ負けとなった。

 この試合でナインは1つのミスが命取りなることや、1つのプレーの大切さ、1点の重みを知ることができた。そして試合の教訓を胸に刻んだナインは、県大会で勝ち進む。2回戦では千葉商大付と対戦し、9回表に1点を勝ち越して、そのまま逃げ切り3回戦進出。大阪遠征の教訓をしっかりと大会で発揮することができた。

■差を大きく感じた習志野戦
暁星国際県大会3回戦習志野と対戦し0対2で敗れたが、スコア以上に差を感じたようだ。
習志野は技術、スイングスピード、体格など全てにおいてレベルが違いました。習志野戦では送球ミスで負けてしまい、日頃のキャッチボールを突き詰めてできていなかったのが敗因です。その為、習志野高校に負けてからは『日本一のキャッチボールをする』という目標を立てて、送球に対しての意識を上げていきました」(守屋主将)

 秋季大会での収穫や手ごたえについて聞くと守屋主将は、日ごろから取り組んできた選手がプレーしやすいように「ベンチワーク」を発揮できたことが粘り強さにつながり、ベスト16まで勝ち進めたと振り返ってくれた。

■ベスト16入りの原動力となった選手と春期待のキーマンを紹介

秋の大会では、常に最少失点で切り抜け勝利に導いた塚田 大翔投手や、千葉商大付戦で捕殺を記録するなど、堅い守備を見せ、さらにはこの試合の9回表、セーフティバントを決めて、決勝点のホームを踏んだ山田 将伍選手、県大会3回戦までの計9試合でタイプの異なる3人の投手を粘り強くリードした宇野 裕貴選手の3人が特に活躍を見せた。守屋主将は春期待のキーマンとして、塚田選手、宇野選手、梅田 龍選手、百瀬 新太選手に期待を込めていた。

 さらに守屋主将はチームに欠かせない選手として、田面 耕哉選手を挙げてくれた。ムードメーカーでチームの悪い雰囲気を一気に変える声掛けができるそうだ。

■漠然とではなく、自分に必要な練習に取り組める冬にしたい
暁星国際はある取り組みを行っている。それは秋季大会後から行っている目標達成シート。冬が明けたときの各自の理想選手像を掲げて、それに近づくために具体的なアクションを記入していくというものだ。この冬はただ漠然と練習するのではなく、目標達成シートに沿って、自分に必要なことが何かを考えて、自発的に練習に取り組む冬にしたいと意気込む暁星国際ナイン。
「冬が明けたとき、全員が理想とする選手像に近づきレベルアップをしていれば、必ず結果はついてくると思います」と語った守屋主将。きつい冬のメニューも、自分たちのためと思い、ひたすら走り続ける。

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[page_break:副主将とエースに訊く!なりたい自分]

副主将とエースに訊く!なりたい自分

 ここからは、副主将を務める沢津橋 達也二塁手や寮長を務める塚田 大翔投手にお話を伺いました。

沢津橋 達也選手(暁星国際高等学校)

Q. 秋季大会を振り返って、課題に感じた部分は何ですか?

沢津橋:この秋はベスト16に残りましたが、ベスト8をかけて戦った習志野戦では相手投手の速球に振り負けるなど、基礎体力不足を感じました。スイングスピードなどを上げていかなければ秋以上の成績は残せないと痛感しました。
塚田:秋の大会では自分の決め球であるスクリューで打者を抑えてきました。ですが終盤になるとスクリューを見切られてしまいましたので、スクリューをより生かせるようにキレのあるストレートを投げたいです。

Q. お2人はそれぞれの課題に対してこの冬はどんな冬にしたいと考えていますか?

沢津橋:この冬は自分の目標に向かってひたむきにバットを振り込み、ボールを捕り込んでいきたいです。
塚田:昨年の冬は、ただ一日一日きついトレーニングをこなすだけで精一杯でした。しかし、今年の冬は月ごとに「ここまでできるようにしよう」と計画を立て、一つずつできることを増やしていきたいです。この冬はそういう事をふまえ「考える」冬にしたいです。

塚田 大翔選手(暁星国際高等学校)

Q. それぞれ課題をもって取り組んでいるのが分かりました!では野球をする上でモットーにしている好きな言葉などはありますか?

沢津橋:「一生懸命」です。自分達のチームでは、“誰にでもできることを誰にもできないくらいやり続ける”を合言葉にしています。自分は誰にでもできることを誰よりも一生懸命することをモットーにしています!
塚田:「百戦錬磨」です。今までの試合で得た経験値が今の自分の自信になっていて、この言葉が自分の中にあることで自覚をもって練習、試合に入っていけるので、この言葉が好きです。

Q. ではチームの好きなところや、ここは他のチームに負けない!というところは何でしょうか?

沢津橋:試合でのベンチの雰囲気です。自分達のチームでは、たとえ負けていても勝っているかのようなベンチの雰囲気にするということを実践しています。実践してからは、試合で先制されても焦らず粘り強く戦うことができ、逆転勝ちをすることが増えてきました。その為、ベンチの雰囲気では他のチームには負けていないと思います。
塚田:チームのまとまりです。部員のほとんどが寮生で、24時間共同生活ということもあり仲が良いです。それもあって、チームが盛り上がると一気に自分達のペースにできます。試合では、負けていても自分達が勝っているように、勝っていたら突き放すようなベンチでの声出しをしています。これはどこのチームにも負けません。

Q. このオフシーズン、『自分はここまで成長するぞ!』というこの冬の熱い宣言を最後にお願いします!

沢津橋:自分は下位打線を打つことが多いですが、バントやファールでの粘り、選球眼など小技で勝負しています。この冬でこれらの小技を極め、暁星国際中島 卓也と呼ばれるまで成長をします。
塚田:ストレートと変化球の緩急をさらにレベルアップさせて、春にはどこが相手でもゲームメイクをして、チームを必ず勝利に導く投手になります!

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[page_break:夏の一瞬一瞬の為に厳しい冬の鍛錬を乗り越えよう]

練習風景(暁星国際高等学校)

夏の一瞬一瞬の為に厳しい冬の鍛錬を乗り越えよう

 最後に中川 将志監督に今年のチームについてお話を伺いました。

中川 将志監督(暁星国際高等学校)

Q. 今年のチームは、新チームが始まってから、どんなテーマを持ってチームを作り上げてきましたでしょうか。秋の大会の振り返りならびに、冬でのテーマも教えていただけたら幸いです。

 新チーム結成後は、「粘り強さ」をテーマにチーム作りをしてきました。その為、夏の大会後の練習試合では、強豪校との練習試合を多く組み、いかにして粘り強く食らいつくかを意識して試合に臨みました。具体的な取り組みの一つが、「ベンチの雰囲気作り」です。以前は先制されるとベンチの雰囲気が悪くなり、あっさりと負けていました。そこで、負けているときにこそ、勝っているかのようなベンチの雰囲気を作り、しぶとく食い下がることを指導者、選手全員で意識しました。その成果もあり、秋の大会では逆転勝ちや接戦をものにするゲームが増えました。

Q. では課題にしていることを教えてください。

 ベスト16に入ったことで上位進出校との差をより痛感させられました。特に差を感じた部分は、“力強さ”です。投手の投球、打者のスイング・野手の動きなど全てにおいて差を感じました。この“力強さ”の差を埋めるのが、この冬だと思います。しかし、闇雲に量をこなすだけではこの差は埋まらないと思います。量を求める中にも、各選手が目的を明確にすることが大切だと思います。

 本校では、秋の大会後に冬明けの理想選手像を各自掲げております。苦しい時こそ、自分の上手くなった姿を思い浮かべ、目的意識をもった中で練習に臨んで欲しいと思います。そういった意味でも、この冬は量と質の両方を求め、“力強さ”を備えた状態で夏の大会を迎えたいと考えております。

Q. 最後に、これから厳しい冬のトレーニングに挑む選手たちへメッセージをお願いします。

 昨年の厳しい冬の練習を乗り越えた2年生の活躍によって秋ベスト16という結果が出たと思います。また、勝ち進めたことで強豪校との差を肌で感じることができました。ただ、この差を埋めることは並大抵のことではないはずです。現状維持では、夏に秋と同じ結果を残すことすら厳しいでしょう。「鍛錬千日 勝負一瞬」。夏の一瞬一瞬の為に、この冬厳しい鍛錬をしましょう。冬に苦しい思いをしたチーム、選手が夏の大会で良い思いをするはずです。厳しい練習を全員で乗り越え、自信と実力をもって夏の大会に臨みましょう。

 ご協力いただき、ありがとうございました!


今年も大好評!
冬が僕らを強くする 特設ページ
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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