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第5回 守備がもっと楽しくなる!「デュアルテクノロジーグラブ」にかけた2人の思い 【連載Vol.03】2016年10月21日

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【目次】
[1]「デュアル・テクノロジー」は縁の下の力持ち
[2]MLBの守備の名手が高く評価する「デュアル・テクノロジー」

 第3回はグラブ開発に携わる両氏が「縁の下の力持ち」に徹する理由など、「デュアル・テクノロジー」に込められた深い想いをお2人に話して頂きます!

「デュアル・テクノロジー」は縁の下の力持ち

グラブは「縁の下の力持ち」

――第2回でも話がありましたが、「デュアル・テクノロジー」をテストした選手からは具体的にはどんな声があがっているのですか?

日高 泰也氏(以下、日高):ほとんどの選手から言われるのは「捕球しやすくなった」「エラーが減りました」という意見です。これは私たちにとっては一番の褒め言葉です。「なんで捕球しやすくなったの?」と聞いても「わからないんです」という答えが返ってくるんですが、それでいいと思っています。

麻生 茂明氏(以下、麻生):プロの世界でもそうですよ。「こだわり」はリクエストできますが、「なんでよくなったか。捕球できやすくなったか」を理解している選手はなかなかいないと思います。

――それでも構わないんですよね?

麻生:はい。グラブは「縁の下の力持ち」でいいんです。

日高:打球をうまく捕球できない選手には「こんな型のグラブを使った方がいいのでは?」とアドバイスすることもあります。でも、「捕球しやすい。エラーが減った」と言ってくる選手には、一切その理由を言わないようにしています。

――「そんな理由は考える必要がない」ということですね。

麻生:「余計なことを考えることなく直感で捕球できる」。それこそ、私たちが考える守備の理想です。

日高:私たちは選手の守備力が上がるよう、技術と心理の両面からサポートする。そこが大事です。

麻生:私が長年アメリカで仕事をしてよかったと思うことがあります。私は30代で英語の勉強を始めたものですから、決して流暢に話せるわけではありません。でも、私が質問を繰り返すと、選手たちは何度でも丁寧に説明してくれる。その結果、グラブについてお互い突っ込んだ議論ができる。そんなやり取りの集積も今回の「デュアル・テクノロジー」に活かされていると思います。

――日米両国のノウハウが融合して完成したのが「デュアル・テクノロジー」ということですね。

麻生:そのとおりです。

日高:少しでも気になる点は1つ1つ改良を加えて仕上げた商品です。高校球児が日々の練習で磨いている守備力をさらに一段引き上げる。「守備は難しい」という心理的な悩みを払拭させる。そんなグラブになっていると思います。

麻生:1つだけ付け加えます。実はグラブのヒール(土手)の部分は、日高さんからの提案で、いままでの日本の型より少し狭くしています。それは地を這うようなゴロを簡単につかむようにするため。土手が広いと、イレギュラーのない人工芝の打球ならいわゆる「当て捕り」ができる反面、土や芝のグランドで必要な「つかむ動作」が難しいんです。日高さんは「日本の高校球児のためには、欠かせない改良」だと言っていました。本人は忘れているようですが(笑)。

日高:すっかり忘れていました(笑)。とにかく5年もの時間をかけて、細部までこだわり抜いて作りましたからね。

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プロフィール

麻生 茂明
麻生 茂明(あそう・しげあき)
  • ウイルソン・アメリカ本社 ボールグラブ・イノベーション マスター・クラフトマン
  • 1945年生まれ、茨城県出身。母型の先祖をたどると楠木 正成に至り、兄は芸術家。取手二高では男子バスケットボール部を創設。関西大卒業後、革製品の検品担当を務めるうちに野球グラブの奥深さに魅せられてグラブづくりの世界へ。1996年ウイルソンジャパン株式会社(当時)入社。1999年よりアメリカ本社勤務。グラブ・カテゴリーのグローバル責任者を務めると同時に、グレッグ・マダックス、バリー・ボンズ、野茂 英雄など、MLBの一流選手のグラブを数多く手がけてきた。アメリカでは「Glove Guru」(グラブの神様)と呼ばれる。「ニューズウィーク日本版」で「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた、日本が世界に誇るグラブ・デザイナー。

プロフィール

日高 泰也
日高 泰也(ひだか・やすなり)
  • ウイルソン・チームスポーツ プロダクトマーケティングチーム グラブ担当
  • 1975年生まれ、三重県出身。伊勢高では遊撃手。「中学時代から使っているグラブならスムーズにプレーできるのに、高校生になって購入した投手モデルを内野で使ったら、ゴロの捕り方がわからなくなって『守備イップス』になった」。そんな経験が「グラブを開発する際のフラットな発想に活きている」と語る。2007年アメア スポーツ ジャパン株式会社入社。日本国内のグラブ開発責任者として、2010年「ウイルソン・スタッフ」を立ち上げ。現在も商品開発の合間をぬって日本全国を駆け回り、プロ・アマ選手との交流を続ける。
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