Column

3年生座談会 都立高島高等学校(東京)・前編「秋、春の敗戦が強打を生み出す」

2016.10.29

 今年、東東京大会の夏は関東一が優勝を決め甲子園へ出場を果たしたが、とくに今年の東東京大会は都立高が飛躍を見せた年でもあった。その中でも都立高島は16年ぶりのベスト16入りを果たし、驚異の打撃力を見せつけた。この夏の打撃力はどういった練習から生まれたものだったのか、そしてベスト16という勝ち上がりまでの過程はどういったものだったのか。東東京の大きな快音を響かせた都立高島野球部の3年生に、この1年間を振り返っていただいた。

登場メンバー
清水 海斗…主将
大竹 諒…4番キャッチャー
山崎 翔真…3番サード
柴田 葵…5番ファースト 
佐藤 魁…1番ショート
藤原 一貴…投手

3年生全員がキャプテン!

3年生座談会 都立高島高等学校(東京)・前編「秋、春の敗戦が強打を生み出す」 | 高校野球ドットコム

清水 海斗(都立高島高等学校)

――新チームとしてのスタートはどういったものでしたか?

清水:新チーム最初の始まりは練習ではなくて、まず伝統なのですが、新チームになってから一週間ほど環境の整備をします。草むしりであったり、ボールの数を数えたりなどといったことから始まります。その環境の整備がしっかりと終わってから本格的に始動していく感じですね。チームとして練習を始めていったのですが、最初は転々バラバラという感じでした。

――そういった始まりの中、清水君はキャプテンとしてチームをこうしていこうなどはありましたか?

清水:自分はその時はまだキャプテンではなかったですね。自分たちの代は、秋の地区予選抽選会ギリギリまでキャプテンを順番に回していました。そういう形で行っていたので一人ひとりがチームを見ていくことが出来ていき、そのおかげで秋季大会のあたりではまとまることができました。

 キャプテンに任命されたのは抽選会の少し前ぐらいですが、改めて任命されて重圧というかプレッシャーはありました。自分は生活面のキャプテンを務めていて、試合などのゲームキャプテンは大竹が務めてくれていました。一応キャプテンでしたけど、キャプテンはみんな経験はしていたので3年生全員がキャプテンみたいなものでした。

 3年生全員がキャプテンとして始まった新たな都立高島野球部。チームがやっと一つにまとまってきている中、迎えた秋季大会について伺った。

[page_break:強豪・東亜学園との戦いでみつけたもの]

強豪・東亜学園との戦いでみつけたもの

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大竹 諒(都立高島高等学校)

――地区予選では強豪・東亜学園と対戦しましたが、この試合で課題となったものはありますか?

大竹:スコア上では1対2で敗れているのですが、スコア以上に相手との壁がありました。ヒットの本数も変わってはいなかったのですが、チャンスで一本が出なかったことや、残塁が9つあったことなどが課題でした。あと先生からは、試合に向かうにあたって生活面のことで注意され、勝つべきチームではなかったと指摘されました。まず生活面で普通の生活ができない者に勝ちは繋がってこないと言われました。

――そこから生活面に対しての意識が変わりましたか?

全員:はい!

清水:大会前に比べたらだいぶ変わったと思います。

――色々なものが得られた秋季大会でしたが、冬に向けてはどういった課題で取り組みましたか?

山崎:冬は1日2000本をノルマにして振ってきて、春と夏に向けていかに打撃力を向上させてスイングスピードを高めていくかを意識して練習していました。

柴田:冬練に入る前に足を怪我してしまい1ヶ月くらい松葉杖の生活だったので、その間は上半身を鍛えることに専念しました。怪我から復活した後は苦手としていた守備を中心に取り組み、ノックをひたすら受けました。

大竹:2000本スイングをチームの目標にしていたので、それより多く振るということを意識していました。そしてただ振るのではなく、1球1球どこに打つのか、変化球なのかストレートなのかなどを考えながら振り込んでいきました。

清水:自分も冬に2000本のノルマを振り込んでいました。その中でも振り方を全部同じではなく、変えながら振っていたのですが、自分はリストが元々弱かったので八の字というスイングを取り入れながら手首の強化を課題にして取り組みました。

佐藤:走攻守のすべてを強化するためにウエイト系の練習を中心に下半身の強化に取り組んでいました。

藤原:2000本は振り込んでいたのですけど、ピッチャーなので投げることの方をメインとしていました。特に課題としていたことは、自分は球があまり速い方ではないので、一番自信のある変化球であるカーブの精度を上げようというのを心がけて取り組んでいました。

 チャンスで一本が出なかった秋季大会であったが、都立高島にとっては夏の強打に繋がる一戦であったかもしれない。そして各々の課題をもって冬を越したが春も結果を出すことができなかった。次は悔しさが残った春について伺った。

[page_break:自分たちの野球ができなかった春]

自分たちの野球ができなかった春

――駒大高に敗れ、県大会出場が叶わず終わってしまいましたが、ここでの課題は?

清水:冬に取り組んできたことが全く出せませんでした。みんな試合前から緊張でガチガチの状態で、冬振り込んできた成果が全然出せませんでした。試合自体はエラーから始まって点を取られて、ピッチャーを助けられませんでした。バッティング面も、点は1点しか取れなかったのですが、それも相手のエラーで取ったものだったので全体的に見てダメダメでしたね。

大竹:春になって、3年生が全ポジションでレギュラーとして出場したのですが、全く機能することが出来ずに負けたということは、とても悔しかったです。

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山崎 翔真(都立高島高等学校)

――その春の負けからどういった課題に取り組んでいきましたか?

山崎:バッティング面においては個人的には冬の成果が出たと思うのですが、守備の面においては緊張やプレッシャーのせいかエラーをしてしまったので、夏に向けては守備面を意識してノックを中心に取り組んでいきました。

柴田:駒大高戦では130キロを超えるストレートに全く太刀打ちが出来なかったので、速い球を意識して振り込むことに取り組んでいきました。また、ファーストの守備で送球を後ろに逸らしてしまったことがあったので、どんな送球でもカバーやショートバウンドを捕れるような練習をしていきました。

大竹:清水が怪我をしてしまい自分が清水の代わりとしてキャプテンをしていたので、自分のことよりチームを向上させることで頭がいっぱいでした。

清水:駒大高戦のあとの自主練の最中に鎖骨を骨折してしまい、3月から5月は全く野球ができない状態でした。大竹にキャプテンを代理で勤めさせるなどチームに迷惑をかけてしまったなという思いでいっぱいでした。6月からは復帰して、まずはチームを見ることを優先していきました。個人的なことに関しては、体力がだいぶ落ちていたので走り込みであったり、食事面であったり夏を戦いきるための体力つけていきました。

佐藤:自分も清水が怪我をした2日か3日後くらいに、球技大会でサッカーをしている時に足を蹴られて剥離骨折の怪我をして、そこから野球が出来なくなりました。夏の大会の1ヶ月前くらいには復帰したのですが、怪我をした左足が細くなってしまっていたので左足の強化を行っていました。

藤原:は自分が投げたのですが、冬に取り組んでいた変化球を打たれてしまいました。ですので冬に行っていたカーブをより磨いてくことが夏に繋がるのではないかと思い、夏に向けてもひたすら変化球の練習をしていきました。

 主力のケガなどでチームに不安が漂う中で幕を開けた夏の大会。しかし夏の大会で都立高島は快進撃を見せる。後編では夏の大会を振り返っていただきつつ、それぞれにとっての「高校野球」についても伺っていきました。

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【僕らの熱い夏2016 特設ページ】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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