Column

3年生座談会 県立小禄高等学校(沖縄)「全国的にも話題になった浦添商戦をどう戦ったのか?」vol.2

2016.09.25

 第1回小禄の3年生メンバーに夏の大会について振り返っていただきました。第2回では全国的にも話題にもなった浦添商戦の話を振り返りつつ、1試合ずつどんな思いで試合に臨んだかを振り返っていきます。

全国的にも話題となった浦添商戦を振り返る

上原 琉依(県立小禄高等学校)

【3回戦 vs浦添商戦】

琉依:両チームにとって気持ちの良い終わり方ではありませんでした。8回表、2点取られてリードされていて。内容でも向こうは格上。自分たちの繋ぎのバッティングが出来て大量点を取ったとはいえ、ジリジリと来ました。それでも全員が気持ちを切らすことなく、スタンドも含めて全員がひとつになれました。それでああいう運が転がりこんできたのかも知れません。

銘苅:ベンチから、アウトコースに絞っていこうと。それが上手くいっての大量点だったと思います。雨で30分ほど中断した8回裏は、リードされていることもあって負けのムードがありました。それでもゲームセットの声を聞いた時は、相手の気持ちが痛いほど分かったので、みんなに騒ぐなということを話しました。

琉依:自分が打席に立ってすぐにタイムが掛かって。自分たちも終わるつもりは無かったので、しっかりと出来ることをやろうと後ろで素振りをしていました。ボーっとしていたらスイッチが切れてしまう。コミュニケーションを大事にしていました。

銘苅:自分たちは打って勝つチームで、点は取られることは想定内。だからこそ8回裏でも取り返すぞということはみんな知っていたんじゃないかな。だからそこは僕が言わなくても各自で準備していました。試合が終わったあと、野原先生が浦添商の気持ちを背負って明日の那覇商戦は戦わないといけないぞと。那覇商には練習試合などで一度も負けたことがないけど、だからこそ怖いものもあったから、家に帰って体のケアなどしっかりやって翌日に臨みました。

浦添商
200 110 3 | 7
000 710 0 | 8
小禄
浦添商:大嵩、大嶺、大嵩−金城
小禄:上原悠、阿波根−上地
二塁打:大城(小)砂川(浦)
※8回表、浦添商が2点を加えるも雨でその裏の攻撃を終了することが叶わず、均等回に戻って小禄の勝利

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那覇商に勝てた要因とは

プレー中の前武當 一斗(県立小禄高等学校)

【準々決勝 vs那覇商戦】

優作:浦添商大嵩 博人は友達。LINEしようか迷ったけど、向こうから送られてきた言葉が、絶対、試合に勝てよ!と。それで気持ちの切り替えが出来ました。試合当日、グラウンドへの移動中に大嵩自身がもう一度声を掛けてくれました。携帯メールも嬉しいけど、実際に顔を合わせて声を掛けられるのはやっぱり違います。さらに気合いが入った瞬間でした。

 ゲームでは初回からみんなの気持ちが爆発してて。3回に那覇商に詰められたけど、そこは締めて。最後にあと2点取ればコールド勝ちという場面で自分に打席が回ってきました。ランナー二・三塁、ここで打つのが4番、頂きますと。良い感じで準決勝へ入れたんじゃないかな。

銘苅:那覇商は打撃のチームで、自分たちもある程度打たれるのは覚悟の上でした。ドンドン打ってピッチャーを楽にしようと。気付いたらコールドになっていました。

前武當:自分が先発したゲームでした。初回、2回と点を取ってくれて。3回に1点差まで詰め寄られてしまったけど、味方が点を取ってくれると信じていたので同点にはさせないぞと。取った点以上の点をやらなければ負けない、そんな気持ちで後続を斬りました。勝利の瞬間は嬉しかったです。

琉依:守りでピッチャーを助けてやれない場面があっりました。その分、しっかりバッティングで返していかないとと。自分の後ろ(優作以下)が調子を上げているものだから、繋ぎの気持ちで毎回打席に立ちました。それが得点という結果に繋がりました。この試合4安打を放って、翌日の新聞に載った!と思ったら写真を飾ったのは優作だった(笑)。ま、勝てたのが一番ですね。

那覇商
003 010 0 | 4
220 302 2×| 11
小禄
那覇商:上間、照屋−松永
小禄:前武當、阿波根−上地
三塁打:上原琉(小)松永(那)
二塁打:屋良(那)

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準決勝では大勢の観客の前にプレーができる幸せを噛み締めた

上原 優作(県立小禄高等学校)

準決勝 vs美里工

銘苅:抽選会後、上手くいけばここまで行けると。それが実現しました。報道の方々も多かったです。みんなも気持ちを切らさずいつも通りやってくれました。自分がミーティングで、この一週間前から試合は始まっているんだぞ、と話したことをみんなが受け入れてやってくれました。その意味でもしっかりとした準備が出来ていたので負ける気はしなかったです。

大城:実感はなかったけど、インタビューされたりして、徐々にベスト4に進んだんだなと思いました。

銘苅:準決勝は観客の数も桁違いで、この舞台でやれる幸せを噛み締めました。自分たちは強豪ではない。ノーマークからの勝ち上がり。プレッシャーなんてなく伸び伸びとプレー出来たんじゃないかと思います。

 走塁などで相手に流れがいく野球をしてしまいました。優作がホームランを打ったけどその後に点を奪うことが出来ませんでした。足を痛めた自分も代打で立たせてもらったけど、相手は凄く研究してて。アウトコースを上手く捉えたつもりだったけど、セカンドがそこに来ることを知っていたかのようなポジションでした。1本出ていたら流れを持って来れたなと思うと、悔やまれる打席でした。ただ、負けてしまったけど、出し切ろう!と話していたので、悔しさもあるけど達成感もあり思い出に残る試合でした。

優作:先制された次の回。琉依が決めて旭が帰ってきて同点。思い切りいこうと打席に立ちました。インコースは得意な方ではないけど、何故かあの打席では体が勝手に開いてくれて。打った瞬間スタンドへ行ったぞと。ポールから切れるのかどうかだけだと思ってたけど、みんなはサードフライかよと(笑)。でもホームランはホームラン!公式戦で初めて!嬉しかったです。

琉依:相手バッテリーのエラーで同点になって。だからこそここで追加点を奪えば相手にダメージを与えられると思っていました。そしたら優作が打ち上げて。ホント、サードフライかよっていうくらいでしたけど、でも入ってくれて。相手もメンタル下がっただろうなと思ったけど、相手も研究していました。自分たちはいつでも打ち返せるという自信があったけど上手くいかなかったです。そこは美里工さんの良いところだなと思いました。

銘苅:旭の当たりとかも正面で、相手が一枚上手だったなと思ったよな。

前武當:優作のホームランで4点を奪ったとき、心のどこかで勝った!行ける!という部分がありました。最後まで諦めない野球を続けていたけど、その心の隙が負けに繋がってしまったのかなぁ。

銘苅:自分たち3年生29名は誰一人野球部を辞めず最後まで続けてきました。同じようにキツイ練習をやってきて、ベンチに入ることが叶わなかったメンバーに対して勝ってやれない悔しさがあったと同時に、小学校からやってきた野球がこれで終わったのかと、込み上げてきて涙が出ました。

美里工
010 211 101 | 7
004 000 000 | 4
小禄
美里工:辺土名−松川
小禄:上原悠、前武當−上地
三塁打:大田、屋我、新垣(美)
二塁打:屋我、新垣、辺土名、大田(美)

 最終回は3年間の振り返り、そしてお世話になった先生方へメッセージ、そして高校野球で学んだことを語っていただきます。

(取材・写真=當山 雅通

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【僕らの熱い夏2016 特設ページ】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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