Column

3年生座談会 日本大学豊山高等学校 「劇的な逆転劇で勝ち上がった最後の夏」【後編】

2016.09.08

 と結果を残せていなかったため、ノーシードで迎えた夏の大会。ノーシードの為この夏は7回勝たなければ甲子園への切符を掴めない。そういった状況の中、日大豊山は苦しみながらも16年ぶりの甲子園出場を目指し、確実に勝ち上がっていく。

 前編では、新チームになってから春までを振り返っていただいたが、後編ではまず東東京大会5回戦岩倉戦から振り返っていただいた。この対戦は日大豊山の「我慢する野球」を発揮する試合となる。

ついに日大豊山の夏が幕を開ける

秋庭 蓮選手(日本大学豊山高等学校)

■5回戦・岩倉戦(試合レポート

――ここまでの戦いで打撃が好調でしたけど、勝てばベスト8への進出を決める岩倉戦。試合前の気持ちはどうでしたか?

秋庭:岩倉は一人一人力があって元気もありますし、簡単には勝たせてくれないとは思っていました。最後まで気を抜かずにどんな状況でも諦めずにやっていれば勝つことができると、試合前の選手ミーティングで話して、一人一人の心の準備は出来ていましたし、負けている状況でも誰一人諦める選手は一人もいませんでした。気持ちでは勝っていると思いました。

――試合を振り返っていきますと、この試合、両チームとも点を取り合う試合展開でした。8回終わって6対8で負けていたが9回表に2点を入れて同点に追いつきました!この時の、ベンチでの様子はどうでしたか?

秋庭:負ける雰囲気は全くなかったですね。ですけど、山本は打たれていたので泣いていましたね(笑)。ベンチに戻ると、1年生の西村 達貴という選手がいるのですけど、その西村が山本のことを励ましているのを見て、まだ大丈夫だなという感じでした。

山本:もう自分はベンチに下がっていて声を出すことしか役に立てなかったのですが、9回の負けている時に西村が同点のホームランを打ってくれて、西村がベンチに帰ってきて「もう一回マウンドに立たせます」という言葉を掛けてくれました。そこにウルっとしてしまいました(笑)。

――延長10回表に勝ち越しをして、見事にベスト8進出を決めました!試合が終わった後はどういう感じでしたか?

秋庭:点は取っていたのですけど、相手の攻撃力が非常に高く、油断なんかしたらすぐに逆転されて終わってしまうと思っていたので、どんな状況でもとにかく冷静に状況判断をしていました。そういった状況の中、試合が終わって一気に安心したというか緊張がほぐれたという感じで、改めてすごい試合だったなと思いました。

 激しいシーソーゲームを制した日大豊山。甲子園まで残すところ3勝のとこまで登り詰めたが、次の相手は第3シードの東亜学園との決戦。日大豊山にとっては厳しい試合となる。

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[page_break:我慢の野球をするも一歩及ばず]

我慢の野球をするも一歩及ばず

横尾 祐太選手(日本大学豊山高等学校)

■準々決勝・東亜学園戦(試合レポート

――激しいシーソーゲームの末、岩倉に勝利を収め、このまま突き進みたいところではありましたが、東亜学園に惜しくも敗れ、夏が終わりました。準々決勝東亜学園戦も打撃戦となりましたが、振り返るとどうでした?

秋庭:打撃戦という展開は岩倉戦でも実力を出せて自信はあったのですが、1回崩れて立ち直すという、課題にしていた我慢の部分で、東亜学園には一歩及ばなかったという感じです。

横尾:自分の打撃は出来なかったのですけど、守備ではピンチの場面でも守れることが出来たので良かったです。しかし、打撃は自分たちの負けだなと痛感しました。

奥村:自分の中で打つというイメージは出来ていたのですが、難しい球に手を出してしまいました。その影響か分からないですけど、3打席目とか高めのボール球とかに手を出してしまって自分のバッティングが出来なかったという感じですね。

山本:3人で終われる回は無くて、勝ち越しをしてもらった次の回に5点取られてしまったのですけど、春の関東一試合レポートの時にも5回に5点取られて、岩倉の時のも途中で崩れてしまったので悔しい気持ちがあり、どうしても一人で投げ切りたいという気持ちはありました。ですが、あそこまで自分が崩れてしまうと野手も焦りだして、代わった投手も焦って、そのあとは本当に自分たちの野球が出来なかったので、やっぱり春からの反省をいまいち生かせず夏を迎えてしまったかなと、終わった後に気が付きました。

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[page_break:日大豊山野球部での2年半とは]

日大豊山野球部での2年半とは

左から山本 日向選手、奥村 優太選手、秋庭 蓮選手、横尾 祐太選手(日本大学豊山高等学校)

――2年半やってきて、日大豊山野球部であったからこそ学べたものって何かありますか?

秋庭:練習の時から明るいチームなので、悩んでいたりしても仲間が声を掛けてくれたりとか、監督さんとかも自分の中ですぐ切り替えられるような言葉を掛けてくださって、そういうことを思うと、仲間の大切さなどを教えてくれた日大豊山野球部には感謝しています。

横尾:野球面ではなく学校生活もしっかりしろと言われていたので、挨拶とか落ちているゴミを拾うとか、常識ある行動が身につきました。日大豊山野球部だからこそ学べたので、良かったと思います。

奥村:自分も似たような感じですけど、普段の生活をしっかりしろと言われていたので、通学時とかも日大豊山野球部として見られているので、普段から野球部というのを意識して行動していました。そういった行動は日大豊山野球部だったからこそ学べたと思います。

山本:自分は春の大会が終わった後に、コーチをしてくれていた先生が入れ替えという形で中学野球の方にいってしまったんですけど、その人からずっと信頼しろと言われ続けられました。マウンドで自分がキレたら、お前のせいで負けるぞと、常にその言葉を掛けられていたので、守ってくれている野手への信頼など、日大豊山野球部だったからこそ身についたことだと思います。

――最後の質問になりますが、2年半の高校野球は自分にとってどういったものでしたか?

秋庭:高校野球を終えて思うことは、高校野球をやっている時は誰もが一度は辞めたいと思うのではないかと思いますけど、自分は一回も辞めたいと思うことはありませんでした。野球が無ければ日大豊山に入ることはなかったと思いますし、こんなに真面目にもなっていなかったと思います(苦笑)。野球のおかげっていうのがあるので、野球が大好きですし、引退をしましたけど、やっぱりもう一回、あと一年だけでもいいから高校野球をやりたいなっていうのはありますね。

横尾:高校野球をやってきて、仲間が大切だなと感じました。打てない時でも声をかけてくれる仲間がいるのは高校野球の素晴らしいところだと思います。

奥村:小学生の頃から高校野球はカッコイイというイメージがあって、やっぱり高校でも野球がしたいと思っていたので、結果としては甲子園には行けませんでしたけど、人生において大切な2年半だったと思います。この悔しさを晴らす為に、今後の野球人生に繋げられればいいなと思います。

山本:正直、辛い時のほうが多かったです。ですが、最後の夏は色々な方に応援してもらい、ベスト8まで勝ち上がることができました。自分達は甲子園が目標だったので満足できる結果ではなかったのですけど、本当にたくさんの方に応援してもらって、改めて感謝を知れた2年間半でした。

 ベスト8という結果で夏の幕を閉じた日大豊山だったが、冬の成果が顕著に表れた強打で最後まで分からない試合展開を繰り広げ、この夏の東東京を盛り上げたことは間違いない。

 大学でも野球を続けるのか聞くと、4人とも力強く頷いてくれた。この悔しさを今後の野球人生で晴らしていくことを期待して見守りたい。


今年も大好評!
【僕らの熱い夏2016 特設ページ】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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