Column

3年生座談会 宜野座高等学校(沖縄) 「バラバラだったチームは最後の夏で1つになった」 【後編】

2016.08.23

 前編では、この夏の沖縄大会ベスト8に進出した宜野座ナインに、今大会の全試合を振り返っていただきました。後編では、夏を迎えるまでのチームのお話を伺いました。

夏を迎えるまでチームはバラバラだった

ランナーをタッチアウトした奥間 太一選手(宜野座高等学校)

――先ほどは大会で光ったサインプレーについてお聞きしましたが、やはり全員が意思疎通の中で動いているわけですね。では少し前に戻って新チームの時から振り返ってみましょうか。

佐久田:新人中央大会は地区大会も無敗で正直勝てる自信がありました。一年生中央大会で負けた八重山を意識していました。準決勝で負けて3位決定戦浦添商でも、勝てたけどなあ。

玉城:ピッチャーが居なかったな。でも第一シードの八重山と同じ山ということで、八重山に勝つということが頭にあって。それで那覇商に負けました。

奥間:那覇商は、藏下にバントヒット許して、そのあと四球連発から満塁とされてセンター前へ運ばれて。ホントに八重山しか見えてなかったです。

玉城:負けて冬。ひらすら走りました。

仲田:前チームからのレギュラーが多く残ることで、周りからは今年は宜野座だと。その中で新人中央と負けて。そしてやってやるぞという気持ちで冬を乗り切ったは1回戦負けでした。

奥間:解禁日からの試合でも全然勝てなかったな。練習試合で嘉手納仲地玖礼から1安打、美里工辺土名 海から3安打しか打てず完封負け。

仲田:何故打てないのか、何故勝てないのかが分からなくて。

大嶺:逆に、相手がどういう練習をしてきたのかとか。春、嘉手納に負けてヤバイ、という感じがありました。

奥間:春優勝して、九州出発前日の糸満とやって勝てた(4対2)ことから、少しずつ自信が回復していきました。そのあとの5月の福岡遠征で、九州国際大付東海大福岡、神崎清明などと試合をしました。

玉城:九州国際大付は体が出来ていて、まるで大学生に見えました。

奥間:それでもチームとしてはバラバラでした。夏の直前まで。

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[page_break:「これから逃げていたら社会に出たら苦労するぞ」監督の言葉でチームは変わる]

「これから逃げていたら社会に出たら苦労するぞ」監督の言葉でチームは変わる

仲田 尚徳選手(宜野座高等学校)

佐久田:メンバー落ちした選手が練習に顔を出さないようになってしまって。

奥間:3年生が31名いたからな。20人発表で落ちて泣いている仲間の分まで頑張らないとらいけないなと。

佐久田:外れた仲間に声掛けして。それで中部商戦に良い勝ち方した翌日、川平先生(この新チームから監督)がみんなを集めて、今のチーム状況はおかしいぞと。

仲田:外れたメンバーが練習に1時間遅く来たりとか。川平先生が、サポートは大変だろうけど、これから逃げていたら社会に出て苦労するぞと。その後から、メンバー外が自主的に審判してくれたり、トスを上げてくれるようになりました。

佐久田:一時は、あいつらはあいつら、オレらはオレらと思っていたほど壁がありました。

――先生の的確なミーティングと、それに答えた仲間との一致があったからそのあとの北山沖縄尚学にも勝てたんですね。では最後の質問です。皆さんにとって高校野球とはどのようなものでしたか。

佐久田:自分にとって高校野球とは、キャプテンを通して感じたことでもあるのですが、一つになれないと勝てないと思います。自分も成長しつつ、仲間との関係も深めていける最高の2年半でした。

奥間:終わってしまったけど、あの大観衆の中で楽しくプレーすることが出来たし、良い仲間とも出会えたとても濃い2年半でした。自分に野球の楽しさを改めて教えてもらった高校野球でした。

仲田:甲子園に行くと決めて宜野座に集まったメンバー。最後は悔しかったけど仲間は最高のメンバーで、グラウンド内外でも楽しかった高校野球でした。

玉城:甲子園には行けなかったけど、たくさんの人たちの前でマウンドに立てて凄く楽しかったです。

大嶺:準々決勝で負けてしまったけど、しっかりやってきたことは出せたのでそこは良かったです。高校野球はみんなと一緒にやってこれたので最高でした。

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[page_break:お世話になった先生方へメッセージ]

お世話になった先生方へメッセージ

(上段)仲田 尚徳選手、玉城 楓選手、大嶺 二千翔選手(下段)奥間 太一選手、佐久田 来樹選手(宜野座高等学校)

みんなから仲間監督へ
声掛けしていただいて3年間お世話になりました。自分のご家族もあるのに、僕らのために練習へ来てくれて、自信に繋がる言葉をかけて下さった。選手との距離が近くて話しやすく、的確であるとともにスッと身に入ってくるアドバイスなどありがとうございました。

みんなから玉元先生へ
関わった時間は短いものでしたが、メンタル的なアドバイスなどありがとうございました。

みんなから比嘉先生へ
バッティングや守備などの教えも有難いものでしたが、相談に乗ってくれてありがとうございました。

みんなから宜野座コーチへ
配球や牽制などしっかりした教えが頭に残っています。内野のカバーリング方法なども宜野座コーチが僕らに授けたものでした。ありがとうございました。

みんなから渡久地先生へ
相手のクセを見抜いて教えてくれたり、ベンチで大きな声で僕らを支持してくれたので凄く守りやすかったです。ありがとうございました。

 2014年の準決勝沖縄尚学を相手に9回を終えて2対2の同点という熱戦を繰り広げた當眞 圭介主将ら先輩たちを見て育ったのが彼らだった。ベスト8という結果だけを見れば先輩たちに追い付いたとは言えないかもしれないが、その先輩たちがあと一歩というところで敗れ去った沖縄尚学に2年越しのリベンジを果たしたのは紛れもなく彼らだ。そんな彼らが、全力でプレー出来たのも、最後の夏のベンチ入りを逃して悔し涙を流した仲間の献身的な支えと声援があってのものでもあった。

 高校野球はグラウンドメンバーだけではない。野球部全てが、一人として欠けてはいけないということを知らされたと同時に、社会に出て行った後も周りの支えが大切なものなのだと気付いた熱い夏だったのではないだろうか。

(文=當山 雅通


今年も大好評!
【僕らの熱い夏2016 特設ページ】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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