第16回 大藤 敏行・侍ジャパンU-18ヘッドコーチ 「高校野球に触れる君たちへ」第4回2017年08月30日

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【目次】
[1]「楽しかった」甲子園練習で優勝を確信
[2]2009年夏準決勝・花巻東戦の出来事
[3]練習で苦しみ、試合で楽しめ。甲子園はいいぞ!

 今年9月1日から10日間、カナダ・サンダーベイで行われる「WBSC第28回U-18ワールドカップ2017」で世界一を目指す侍ジャパンU-18代表。昨年、優勝を果たした「第11回BFA U-18アジア選手権」に続き、小枝 守監督(前:拓大紅陵<千葉>監督)の下でヘッドコーチを務めるのが、前・中京大中京(愛知)野球部監督・現在は同校顧問を務める大藤 敏行氏である。

 監督時代は春5回・夏4回甲子園に出場し、2009年夏には堂林 翔太(現:広島東洋カープ)をエースに43年ぶり7度目の全国制覇。NPB通算2167安打の稲葉 篤紀(1990年度卒・2017WBC侍ジャパントップチーム打撃コーチ)、東北楽天ゴールデンイーグルスの女房役・嶋 基宏(2002年度卒)など、プロ野球やアマチュア野球界にも数々の人材を送り込んでいる名将。そんな大藤氏が今回、新入生に向けたメッセージを様々な角度から語って頂いた。

 題して「高校野球に触れる君たちへ」。最終回となる第4回では、中京大中京2009年夏・甲子園優勝時の秘話を明かし、新入生たちへ向かって熱いメッセージを送ります。

【大藤 敏行・侍ジャパンU-18ヘッドコーチ 「高校野球に触れる君たちへ 4回連載】第1回 / 第2回 /第3回/第4回

「楽しかった」甲子園練習で優勝を確信

堂林 翔太(中京大中京ー広島東洋カープ)

 2009年、センバツ準決勝で報徳学園(兵庫)に敗れた後の中京大中京にはいろいろなことがありました。エースだった堂林 翔太(広島東洋カープ)が内側じん帯を切ったり、河合 完治(法政大~トヨタ自動車)も顔面に打球を受けて骨折。それでも徹底的に練習をしてきて「なるようにしかならない」という気持ちになれました。

 実は私も監督就任5年目から昼休みは視聴覚教室で野球部の選手たち全員と一緒に昼食を食べるようにしていたんです。思っていること、感じていることを身にしみて感じたいと思っていたので。預かっている子供たちとのコミュニケーションも図っていました。

 そういえば愛知大会中、大事な試合を前にこんなことがありましたね。マネジャーが「監督、堂林が呼んでいます」。そこで堂林はこう言うんです。「監督、嘘つき」。

 実は堂林は4月に負傷して全治3か月のところで、自分で2か月でギブスを取って最後の夏にかけていた。そこで私は「よし、大事な試合はお前に任す」と言っていたんです。ところが先発でない。それで「嘘つき」と言われたんです。すぐに書き直して堂林を先発にしたんですが、いきなり無死満塁(笑)。でも、堂林はそこで0に抑えてチームも大勝しました。そんな遠慮ない会話ができる代でした。

 甲子園。公式練習を終えるとキャプテンの山中 渉伍(中京大~東邦ガス)がこう言いました。「先生、楽しかったぁ」。間違いなく優勝すると思いました。
「気持ちいい」でなく、「楽しかった」という感想ははじめてでした。そんな瞬間っていうものはあるんですよね。

 逆に翌年の夏は前年、選手たちは全国制覇していますから、愛知大会で優勝してもグラブを合わせるだけ。逆に私はこの年で退くことを決めていましたから万歳をしているんです。あとで映像を見て「これは負けるかな」と思いました。勝ち負けは別として「共に戦う。悔いのない戦いをする」というものはそういったものだと今になって思います。

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プロフィール

寺下友徳
寺下 友徳
  • 生年月日:1971年12月17日
  • 出身地:福井県生まれの東京都東村山市育ち
  • ■ 経歴
    國學院大學久我山高→亜細亜大。
    幼稚園、小学校では身長順で並ぶと常に一番後ろ。ただし、自他共に認める運動音痴から小学校入学時、早々に競技生活を断念。その後は大好きなスポーツに側面から関わることを志し、大学では応援指導部で4年間研鑽を積む。亜細亜大卒業後はファーストフード販売業に始まり、ビルメンテナンス営業からフリーターへと波乱万丈の人生を送っていたが、04年10月にサッカーを通じて知り合った編集者からのアドバイスをきっかけに晴れてフリーライター業に転進。07年2月からは埼玉県所沢市から愛媛県松山市へと居を移し、現在は四国地域を中心としたスポーツを追いかける日々を過ごす。
  • ■ 小学校2年時に福岡からやってきた西武ライオンズが野球と出会うきっかけ。小・中学校時代では暇さえあれば足を運んでいた西武球場で、高校では夏の西東京予選の応援で、そして大学では部活のフィールドだった神宮球場で様々な野球を体感。その経験が取材や原稿作成の際に「原体験」となって活きていることを今になってつくづく感じている。
  • ■ 執筆実績
    web上では『ベースボールドットコム』(高校野球ドットコム、社会人野球ドットコム、独立リーグドットコム)、書籍では『ホームラン』、『野球太郎』(いずれも廣済堂出版)、『週刊ベースボール』(ベースボール・マガジン社)など。『甲子園だけが高校野球ではない2』(監修・岩崎夏海、廣済堂出版)でも6話分の取材・文を担当した。

    さらに野球以外でもサッカーでは、デイリースポーツ四国3県(香川・高知・愛媛)版・毎週木曜不定期連載中の『スポーツライター寺下友徳・愛媛一丸奮闘記』をはじめ、「週刊サッカーダイジェスト」(日本スポーツ企画社)、『サッカー批評』、web『スポーツナビ』など多数媒体での執筆実績あり。また、愛媛県を熱くするスポーツ雑誌『EPS(ehime photo sports)』でも取材協力を行っている。
  • ■ ブログ:『寺下友徳の「四国の国からこんにちは」』■twitterアカウント@t_terashita
    ■facebook: http://www.facebook.com/tomonori.terashita
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