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星稜、金沢、遊学館の3強時代から日本航空石川も加わり4校の競い合い【石川県・2018年度版】

2018.04.15

星稜、金沢、遊学館の3強時代から日本航空石川も加わり4校の競い合い

星稜、金沢、遊学館の3強時代から日本航空石川も加わり4校の競い合い【石川県・2018年度版】 | 高校野球ドットコム
今年のセンバツで好投を見せた奥川 恭伸(星稜)

 2017(平成29)年の夏、日本航空石川は5点差を終盤追いつき延長で星稜を下し決勝では遊学館に快勝して8年ぶり2度目の出場を果たす。秋は決勝で星稜日本航空石川に逆転勝ちするものの、その後の北信越大会でも再び決勝で対戦した両校、今度は日本航空石川が10対0と圧勝した。夏は木更津総合に勝ち、明治神宮大会でも日大三を下して、石川県からの新勢力登場ぶりを全国にアピールした。

 18年センバツは星稜も選ばれ石川県からは24年ぶりに2校選出となった。

 70年代半ば以降、石川県の高校野球をリードしてきたのは何といっても星稜だ。タマゴ色のユニホームと青い帽子に「星」のマークは、全国的にもすっかり定着した。その星稜が最初に注目を浴びたのは1976(昭和51)年夏。小松 辰雄投手(中日)を擁して甲子園に登場し石川県勢として初めてのベスト4に進出したときだ。

 次に全国に知られるのは79年夏の3回戦だ。今も語り継がれる箕島との延長18回の死闘である。延長に入って先攻の星稜が2度までもリードしながら、ついに18回裏にサヨナラ負けを喫してしまう。しかも、延長戦での同点劇がことごとく相手の本塁打というのもよりドラマチックだった。黙々と208球を投げて破れた堅田 外司昭投手(その後審判員)には全国のファンが共鳴した。

 そして、星稜が再び全国の注目と同情を集めたのは松井 秀喜(読売→ヤンキースなど)が主将で4番サードとして登場した1992(平成4)年の夏である。2回戦で明徳義塾と当たったが、松井は5打席全部敬遠四球。甲子園の最後の試合は20球を見送るだけで終わってしまった。試合終了後は球場全体がパニック状態になり、まさに甲子園の高校野球としては前代未聞の騒動となった。この出来事が松井選手そのもの評価も高めたが、いろいろな意味で高校野球の球史に残る試合だったといっていいだろう。

[page_break:星稜の最大のライバル金沢と新勢力の遊学館]

星稜の最大のライバル金沢と新勢力の遊学館

星稜、金沢、遊学館の3強時代から日本航空石川も加わり4校の競い合い【石川県・2018年度版】 | 高校野球ドットコム
今年のセンバツでサヨナラ本塁打を放った原田竜聖(日本航空石川)※写真提供 共同通信社

 星稜の最大のライバルとして競い合ってきたのが金沢だ。毎年のように県大会の決勝で顔を合わせてきた。甲子園での実績や通算成績では星稜にいささか水を開けられているような印象もあるが、金沢のスカイブルーのさわやかな青もすっかり甲子園になじんできている。

 その金沢が甲子園で快挙を達成している。94年の春のセンバツ大会1回戦で、開幕初日の第3試合。開会式があって観客も少なくなっていて、いささか寂しいスタンドではあったが、島根の江の川を相手に中野 真博投手(青山学院→東芝)が史上2人目の完全試合を達成したのだ。これで甲子園での金沢の立場も星稜に肩を並べる存在になったと言っても過言ではあるまい。

 こうして、石川県ではますます星稜金沢の一騎打ち的な図式が強くなっていった。金沢は96年、97年と夏に連続出場し、01年には春夏連続で甲子園出場し、03年夏と04年春にも甲子園に立て続けに出場を果たした。

 ところがその両雄対決の構図に割って入ってきた新勢力があった。02年夏に創部1年4カ月、1・2年生ばかりで甲子園を勝ち取った遊学館だ。しかも、甲子園でも2勝してベスト8進出を果たし一躍全国の脚光を浴びる存在となった。

 あたかも彗星のごとく突如登場した遊学館は明らかに県内の高校野球の構図に刺激を与えた。遊学館の山本雅弘監督が長年星稜中学で指導していたということもあって、星稜関係者も慌てたのではないだろうか。遊学館は03年のセンバツにも出場して、安定した力を示した。石川県内に限らず、全国から入部希望者が集まってくる土壌もありますます力を充実させていきそうだ。

 遊学館も安定した実績を残していることで、今後は星稜金沢との三すくみの形になってさらに石川県のレベルを向上させていくことは間違ないだろう。さらには、ここへ日本航空石川が加わってきて、3強の構図は4強の競り合いという構図になってきた。これにさらには、14年夏の石川大会決勝では8点リードを9回に逆転されて甲子園を逃したことで逆に話題になったのが小松大谷(旧北陸大谷)や大相撲の遠藤を輩出するなど相撲部が全国レベルの金沢学院や北陸学院なども近年は上位に食い込んでいる。

 これら私学勢に対して公立勢では06年春に21世紀枠で出場した金沢桜丘や金沢市立工など伝統のある金沢市内勢と小松市勢も健闘。99年夏に出場の小松や翌00年夏に出場した小松工(旧小松実)に83年夏に出場している小松明峰なども頑張っている。女子バスケット部が強豪で県内では早くから体育科(現スポーツ健康科学科)を設置していた津幡なども上位を窺っている。

(文:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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